【玉依姫】神武天皇の母!タマヨリヒメの神話やご利益とは?
こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。
玉依姫命(タマヨリヒメノミコト)は日本神話に登場する女神様です。初代天皇である神武天皇(じんむてんのう)の母とされています。
神武天皇は初代天皇として有名ですが、その母である玉依姫命についてはあまり広く知られていません。
橋本ユリ
神武天皇を産んだ玉依姫命は、神話の中で一体どのような神様だったのでしょうか?
今回の記事では、玉依姫命の神話やご利益について紹介をしていきます。
それでは参りましょう!
玉依姫命とは
玉依姫命は『古事記』や『日本書紀』の中では後半の方の物語に登場します。海の守護神である大海神(オオワタツミ)を父に持ち、また、豊玉姫(トヨタマヒメ)を姉に持っています。
玉依姫命は非常に美しい女神様だと言われることが多く、「神の御霊が依り憑く女神」として信仰されています。
また、玉依姫命は姉である豊玉姫の息子と結婚をしています。玉依姫命から見たら甥に当たる存在と結婚しているなんて驚きですよね。しかし、神話の世界において近親婚は珍しいことではありません。
玉依姫命は夫との間に四柱の息子を授かります。その息子の中の一柱が日本の初代天皇に当たる神武天皇なのです。
別名
玉依姫命は『古事記』と『日本書紀』でそれぞれ表記名が違います。
『古事記』
- 玉依毘売(タマヨリビメ)
- 玉依毘売命(タマヨリビメノミコト)
『日本書紀』
- 玉依姫(タマヨリヒメ)
- 玉依姫命(タマヨリヒメノミコト)
玉依姫は玉のように美しく、また「神の御霊の依り代」であったと言われています。神の御霊の依り代というのは、つまり巫女のことです。
玉依姫の名前には「玉のように美しい巫女」といった意味が込められているのかもしれません。
ご神格
玉依姫命は大海神の娘であることから、海や水の神様だと言われることが多いです。
また、神武天皇の母であることから、聖母のご神格も持つともされています。
ご利益
聖母のご神格から以下のご利益があるとされています。
- 安産
- 子宝
- 子授かり
- 子育て
玉依姫命には他にも様々なご利益があります。
- 縁結び
- 海上安全
- 厄除け
- 方除け
- 開運招福
玉依姫命は非常に美しい神様だと言われています。そのため、玉依姫命は美しさを守護するとされ、主に女性からの信仰を集めています。
玉依姫命の神話
玉依姫命は、日本神話の中では終盤の方で初めて登場します。玉依姫命の神話を見ていきましょう。
物語は、玉依姫の姉である豊玉姫の結婚から始まります。
豊玉姫のお産
玉依姫命の姉である豊玉姫は、火折尊(ホオリノミコト)という神様と結婚しました。豊玉姫は海で生まれた女神様ですが、ホオリは海ではなく中つ国で生まれた神様です。
ホオリの父であるニニギノミコトは天照大神の孫にあたり、中つ国をおさめるよう命じられて天下ってきました。そこでコノハナサクヤヒメを娶り、生まれたのがホオリだったのです。つまりホオリは天照大神のひ孫にあたります。
豊玉姫とホオリは、ホオリがワタツミの宮を訪ねた際に出会いました。父の大海神に祝福され、ふたりは結婚します。
ある日、ホオリは兄に会うため地上に戻ります。兄との諍いが無事におさまり、ホオリが中つ国をおさめることになった頃、豊玉姫が地上にやってきます。
豊玉姫はホオリに「いよいよあなたとの赤ちゃんが生まれます。お産のために地上へやってきました」と伝えます。
喜んだホオリは、大急ぎで豊玉姫のための産屋を建てさせました。そのうちに赤ちゃんが生まれるときが迫り、豊玉姫は産屋にこもることになります。
心配するホオリに対し、豊玉姫は「海の国のものである私は、お産の際に真の姿に戻ります。お願いですからホオリさまはその姿を決して見ないでください」と告げるのです。
ホオリは承諾し、外でお産が終わるのを待っていましたが、どうしても産屋の中の様子が気になってきました。そしてとうとう我慢できずに産屋を覗いてみると……
そこには、非常に巨大な鮫が身をくねらせ、のたうち回っていたのです。ホオリは恐ろしくなって思わず逃げ出してしまいました。
その後、豊玉姫は無事に男の赤ちゃんを出産します。その子は鸕鶿草葺不合命(ウガヤフキアエズ)と名付けられました。
豊玉姫は、ホオリが産屋を覗いていたことを知り、ひどく怒りました。ホオリが謝っても豊玉姫は許そうとせず、とうとう子供を残してワタツミの宮へ帰って行ってしまうのです。
最後に豊玉姫は「これからも海の道を通り、あなたと我が子のもとへ通うつもりでしたが、真の姿を見られてしまった以上もうここへ来ることはできません」と言い残し、海へと続く道を閉ざしてしまいました。
豊玉姫の子を玉依姫が育てる
ホオリとウガヤフキアエズは中つ国に残されます。もう海の国へ行くことはできません。
豊玉姫はワタツミの宮へ帰ってからも、我が子のことが忘れられずにいました。そこで、御子の世話をしてもらうために、妹の玉依姫を中つ国へつかわします。
玉依姫は海の国と中つ国を頻繁に行き来し、豊玉姫に子供の様子を伝え、ホオリには豊玉姫からの歌を伝えていました。そしてホオリと共に、ウガヤフキアエズを大切に育てたのです。
やがてウガヤフキアエズが成長すると、玉依姫と結婚をします。
一方のホオリは遠い海の底にいる豊玉姫を思いながら中つ国をおさめ続け、五百八十歳まで生きたといいます。
玉依姫が四柱の子を生む
ウガヤフキアエズと結婚した玉依姫は、夫との間に四柱の男の子をもうけます。男の子たちの名前はそれぞれ以下の通りです。
- 彦五瀬命(ヒコイツセノミコト)
- 稲飯命(イナイノミコト)
- 三毛入野命(ミケイリノノミコト)
- 彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)
最後に生まれた彦火火出見尊こそが後の神武天皇です。神武天皇は生まれながらにして聡明で、15歳のときに皇太子になったと言われています。
玉依姫の神話は以上です。日本神話において玉依姫命は目立った存在ではありませんが、日本の初代天皇の母という非常に重要な神様だったのです。
玉依姫命を祀る神社
下鴨神社
京都府にある下鴨神社は正式には「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」という名前です。下鴨神社の主祭神である賀茂建角身命(カモタケツヌミノミコト)が名前の由来となっています。
下鴨神社の中には「河合神社」という摂社があり、ここで玉依姫命を祀っています。玉依姫命は玉のように美しかったことから、美麗の神として信仰を集めています。
河合神社には、美麗祈願のための女性に人気の祈願絵馬があります。手鏡の形をした絵馬に普段使用しているコスメで顔を描き、裏面に願い事を書きます。そうすることで内面も外面も美しくなれるようにと祈願をする意味があります。
また、下鴨神社は縁結びのご利益があることでも有名です。このことからも女性からの人気が非常に高いです。
住所:〒606-0807 京都府京都市左京区下鴨泉川町59
アクセス:京都市営地下鉄「北大路駅」よりバスで「下鴨神社前」下車
ご祭神:賀茂建角身命、玉依媛命
ご利益:縁結び、安産、子育て、美麗祈願、厄除け、学業成就、交通安全
竈門神社
竈門神社(かまどじんじゃ)では玉依姫命を主祭神として祀っており、縁結びのご利益があることで有名です。
玉依姫命は「魂(玉)を依り合わせる」という意味があることから、男女の良縁を結ぶと言われています。恋愛だけでなく、家族や友人、仕事などでも良い縁を結んでくれる神様として信仰されています。
竈門神社では「むすびの糸」と呼ばれる恋守りが女性に人気です。他にいちごやてるてる坊主の形をした可愛らしいお守りも販売されています。
縁結びのご利益が欲しい人や、可愛いお守りが気になる人はぜひ一度竈門神社へ行ってみてください。
住所:〒818-0115 福岡県太宰府市大字内山883
アクセス:西鉄電車「太宰府駅」より徒歩5分
ご祭神:玉依姫命
ご利益:縁結び、子宝、安産、方除け、厄除け、家内安全
神明神社
神明神社の末社である「石神社」は、女性の願いをひとつ叶えてくれるという言い伝えがあり、「石神さん」として古くから信仰されてきました。
神明神社の主祭神は天照大神ですが、石神さんでは玉依姫命が祀られています。
石神さんにはピンク色の祈願用紙が置かれており、願い事をひとつ書いて「願い箱」に入れ参拝をすると願いが叶うと言われています。
石神さんは、芸能人やスポーツ選手がお忍びで通っていることでも有名なほどご利益のあるパワースポットです。何か叶えたい願いがある人は、ぜひ一度足を運んでみてください。
住所:〒517-0032 三重県鳥羽市相差町1385
アクセス:JR「鳥羽駅」よりバスで「相差」下車
ご祭神:天照大神、玉依姫命
ご利益:縁結び、安産、子宝、厄除け、方除け、開運招福
玉前神社
玉前神社は縁結びや子宝のご利益があるパワースポットとして有名です。
境内には「子宝・子授けイチョウ」と呼ばれるイチョウの木が生えており、触れてお参りをすることで子授けのご利益があるとされています。
また、玉前神社には子宝・安産を始めとする女性に嬉しいお守りが色々販売されています。「月日守」というお守りは、女性の生活リズムを守護し、心と身体に健康をもたらしてくれるということで人気を集めています。
住所:〒299-4301 千葉県長生郡一宮町一宮3048
アクセス:JR外房線「上総一之宮駅」より徒歩8分
ご祭神:玉依姫命
ご利益:子授け、子宝、子育て、安産、縁結び、家内安全
高千穂神社
高千穂神社では、夫婦の神様が祀られています。
- ニニギとコノハナサクヤヒメ
- ホオリと豊玉姫
- ウガヤフキアエズと玉依姫
このように、三代に渡る神様が夫婦で祀られているという少し珍しい神社です。
境内には「夫婦杉」と呼ばれる大樹があり、この杉の周囲を夫婦や恋人などで手を繋いで回ると、縁結び・家内安全・子授かりの3つの願いが叶うとされています。
ぜひ恋人や夫婦で訪れてみてください。
住所:〒882-1101 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字大字三田井10
アクセス:高千穂バスセンターより徒歩15分
ご祭神:高千穂皇神、瓊瓊杵尊、木花開耶姫命、彦火火出見尊、豊玉姫命、鵜鵝草葦不合尊、玉依姫命
ご利益:縁結び、家内安全、子授かり、子宝、子孫繁栄、夫婦円満
龍口明神社
龍口明神社(りゅうこうみょうじんじゃ)では、玉依姫命と共に、一身五頭の龍神である五頭龍大神(ごずりゅうおおかみ)が祀られています。
こちらの神社では、玉依姫命は龍神を束ねる存在であったと伝えられています。また、五頭龍大神は江の島弁財天と結婚したとされています。
龍口明神社は鎌倉市に鎮座しています。近くの江の島に鎮座する「江島神社」では弁財天が祀られており、龍口明神社と合わせて夫婦神社と言われます。
せっかくなので龍口明神社にお参りに行く際は、江島神社にも合わせて参拝に行ってみてください。まず夫である龍神が祀られている龍口明神社へ先にお参りをし、その後で江島神社へお参りに行くのがおすすめです。
住所:〒882-1101 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字大字三田井10
アクセス:高千穂バスセンターより徒歩15分
ご祭神:高千穂皇神、瓊瓊杵尊、木花開耶姫命、彦火火出見尊、豊玉姫命、鵜鵝草葦不合尊、玉依姫命
ご利益:安産、縁結び、家内安全、子授かり、子宝、海上交通
宇美八幡宮
宇美八幡宮では、玉依姫命の他に聖母のご神格を持つ神功皇后(じんぐうこうごう)が祀られています。そのため、宇美八幡宮は安産のご利益があるとして信仰を集めています。
境内には「子安の石」と呼ばれる石が積まれており、安産祈願を終えた妊婦が石を持ち帰り大切に持っていると無事に出産を終えられるとされています。
他にも「子安の木」「産湯の水」など、神功皇后の伝説にまつわるものが境内にあります。
安産祈願をしたい人におすすめの神社です。
住所:〒811-2101 福岡県糟屋郡宇美町宇美1丁目1-1番1号
アクセス:JR「宇美駅」より徒歩5分
ご祭神:応神天皇、神功皇后、玉依姫命、住吉大神、伊弉諾尊
ご利益:安産、子宝、子授かり、子育て
まとめ
玉依姫命は海や水、そして母といった美しいイメージの強い女神様です。特に女性に対するご利益があるとされており、古来より女性からの信仰を集めてきました。
玉依姫命が祀られている神社のご利益は、女性にとって嬉しいものばかりだったのではないでしょうか?
橋本ユリ
また、今回紹介した神社はパワースポットとしても人気です。
縁結びや良縁祈願、そして子宝や安産などのご利益を頂きたい女性はぜひ一度お参りに行ってみてください。
縁結びや良縁祈願、そして子宝や安産などのご利益を頂きたい女性はぜひ一度お参りに行ってみてください。
この記事をまとめた人
- 神社チャンネルのメインキャラクター。北極神社の新米巫女。2017年、神社参拝セミナーで羽賀ヒカルと出会い、日本人の良さと伝統を伝えていきたい!という思いから、この神社チャンネルサイトが始まりました。(という設定です。)
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