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【タネ明かし】みんな神様だった…。新海誠「すずめの戸締まり」衝撃の裏側。

2022年11月30日 2022年11月30日

あなたの心に火を灯す、東洋思想及び神道研究家の羽賀ヒカルです。

今話題の映画、「すずめの戸締り」は、多くの方が解説の動画を挙げられていますが、ここでしか聞くことができない神道的解説~神話的に紐解いていきたいと思います。

ストーリーに関してもそこまでネタバレしないので、既にご覧になった方も、これから観る方も、どちらの方でも楽しめる記事となっています。

神話がベースになっている?


私は神道研究家なので、こういうアニメや物語、映画を見ると「これは、あの神話と似ているな」と思うのです。

今回の「すずめの戸締り」も「これは、この神様の働きだな」「ここは、あの神話のこの部分だな」と思うところがあったので、それをお伝えします。

新海誠監督の過去作品「君の名は」や「天気の子」を観ていても感じましたが、日本の神話や神社、精神世界やスピリチュアルなことに関して、かなり研究を重ねられています。

こういうメッセージを、意識的に込めているかもしれませんし、無意識のうちに動かされているところもあるかもしれません。




映画「すずめの戸締り」のあらすじ


まずは、すずめの戸締りのあらすじについて簡単に説明します。

廃墟となったところに、「後ろ戸(うしろど)」という、いわば霊的な扉が開きます。


例えば、ボロボロになった遊園地、昔使われていた病院、廃村の学校などが最近は増えていますが、そういう廃墟に後ろ戸ができます。

後ろ戸からは、日本人のネガティブな想念、うらみや怨念といったものがブワっと溢れ出て、天変地異を引き起こします。

物語の主人公の一人である宗像草太(むなかたそうた)くんは、そんなネガティブな想念がバーッと出てくるのを鎮める役割を、ずっと行なっている一族です。

これが宗像一族の、宗像草太くんなんですね。

もう一人の主人公、ヒロインの岩戸鈴芽(いわとすずめ)ちゃんと、宗像草太くんの2人が出会うところから物語が始まります。

世界中で行われてきた鎮魂の儀式


神社チャンネルでずっとお伝えさせていただいているように、例えばコロナ騒動、もしくは金融危機、経済危機、これから起きるかもしれない戦争などは、全て人間の意識の乱れが引き起こすと考えています。

昔から日本人は天変地異が起きるのは、積もり積もった罪穢れ(つみけがれ)、負の想念があふれ出てきたからだと考えてきました。


だから、日本人は昔からそれを「祈り」によって鎮めてきたのです。


神道には、様々なお祈りがあります。

禊祓え(みそぎはらえ)という祈りもありますし、周りの人やみんなの幸せを願う祈りもありますが、その中の一つとして「鎮魂(ちんこん)の祈り」があります。

つまり、意識が荒ぶって、ネガティブな想念が鎮まっていない状態が天変地異に繋がるのですが、それを鎮めるのが鎮魂です。

神道では鎮魂の祈りがありますが、日本だけでなく海外でも怨念や不成仏な思いを鎮める祈りはあり、その一つとして鎮魂の歌「レクイエム」があります。

そうやって世界的にも怨霊を鎮めてきたのですが、特に日本人は鎮魂を行い、ネガティブな想念を鎮めるための祈りを昔から行なってきました。

作品の中では、主人公の宗像草太くんと岩戸すずめちゃんが、ネガティブな怨念を鎮魂していきます。

〇〇を抜いてしまった…どうなる?!


物語は、主人公の一人である岩戸すずめちゃんが、後ろ戸を発見するところから物語が始まります。


戸をパッと開けてしまったら、そこに石が刺さっていたのです。

「何だろうこれ?」と思い、その石をカッと抜いたら、それが地震や天変地異を鎮める「要石(かなめいし)」でした。

その要石が可愛い猫ちゃんに化けてしまい、各地で暴れまわります。


こういう感じの石がグッと刺さっており、地震や天変地異を鎮めていたのですが、それを抜いてしまった、「さあ、どうなる?」という物語です。

※ここからネタバレ注意

要石はあの神様の象徴!?


白猫ちゃんは「ダイジン」、もう一つの要石の黒猫ちゃんは「サダイジン」という名前です。


後ろ戸から出現した、天変地異を引き起こす魔物がバアッと襲いかかって来ます。

まるで化け物のような、集合的無意識の悪想念が積もり積もった巨大な獣と、黒猫ちゃん(サダイジン)が戦うのですね。

僕は、この戦うシーンをみて思ったのです。

この二匹の猫ちゃんは、元々要石です。


要石としてグッと大地に刺さって天変地異や地震を鎮めていたのですが、これは「タケミカヅチ」と「フツヌシ」の象徴です。

実際に、要石は香取神社と鹿島神社の二つの神社にあり、香取神社がフツヌシ、鹿島神宮がタケミカヅチです。



どちらが力強く勇ましいかと言いますと、これはタケミカヅチで、黒猫ちゃんの方なんです。

ワーッと、黒猫ちゃんが天変地異を引き起こす魔物と戦うシーンがありましたが、白猫ちゃんは後ろの方でしっかり見守りながら天変地異を鎮めていました。

これは実はフツヌシで、香取神社の要石の象徴として描かれているのです。

要石の神様は一柱ではなく、タケミカヅチとフツヌシの二柱セットです。

間違いなく、新海誠監督は「要石って何なのかな。これ表と裏があるよね。鹿島と香取だな」と多分調べられていたと考察しています。

宗像草太くんは、あの神様の象徴!?


また物語には色々なキャラクターが登場するのですが、実は「名前」が神話の神様の働きを象徴しています。

例えば、岩戸閉じ師の「宗像草太」くん。


全国の廃墟にできてしまった後ろ戸を「ネガティブな想念、出てくるな」と祈り閉じて、天変地異が起きないように鎮魂の儀式を行なっている閉じ師が、宗像一族です。

宗像一族は歴史上でも存在しますし、今もいらっしゃいます。

その宗像一族が守っている神社が、宗像三女神を祀る「宗像大社」です。


宗像大社は、辺津宮・中津宮・沖津宮の三社あり、下の画像の通り、福岡から海の方にずっと続いてあります。


この方向の向こう側に伸ばしていくと、何があるでしょうか?

朝鮮半島、もしくは中国になります。

宗像一族は、朝鮮半島や中国など海外から余計なもの・文化が入ってこないように日本を守ってきた一族なのです。

まさに、岩戸閉じをしていた一族と言えます。


宗像大社で祀られているのが宗像三女神(むなかたさんにょしん)で、宗像三女神の親神様は、須佐之男命(すさのおおのみこと)です。

つまり、宗像草太くんは須佐之男命であり、宗像三女神の象徴として描かれています。

岩戸すずめちゃんは、あの神様の象徴!?


では、宗像草太くんのペア、岩戸すずめちゃんはどうでしょう?


これは、実は天照大神の象徴です。

岩戸すずめちゃんは物語のヒロインで、名前を聞くとやはり「岩戸開き神話」を連想すると思います。

実際に岩戸すずめちゃんは、物語の中で最初に後ろ戸を開けてしまうのです。

つまり、岩戸を閉じているのは男性原理性である宗像草太くんで、岩戸を開いてしまうのは女性原理性である岩戸すずめちゃんという関係性です。

やはり、岩戸締め&岩戸開き神話ということで、天照大御神、いわば岩戸開きの神なる働きを示しているということですね。


岩戸開き神話で活躍した神様ですが、まとめて五伴緒神(いつとものをのかみ)と言います。

  • 天児屋命(あめのこやねのみこと)

  • 太玉命(ふとだまのみこと)

  • 天鈿女命(あめのうずめのみこと)

  • 石凝姥命(いしこりどめのみこと)

  • 玉祖命(たまのおやのみこと)


この5柱の神様が、岩戸開きのときに活躍した神様です。

つまり、岩戸すずめちゃんは天照大神であり、五伴緒神(いつとものをのかみ)の象徴としても解釈することができます。

この辺りが少し難しいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「岩戸開きの象徴」として岩戸すずめちゃんが描かれています。


岩戸開きの時に活躍した神々を、どうして五伴緒神と言うのでしょうか。

それは岩戸開きをして終わりではなく、天孫降臨(てんそんこうりん)する時に「私達もお供します」として、邇邇芸命(ににぎのみこと)とお供の五柱の神様が一緒に降りてきたから、五伴緒神と言うのですね。

これが実は、この物語とリンクするのです。

天孫降臨(てんそんこうりん)神話の異説


岩戸すずめちゃんは東北出身で、東北から宮崎の方に引っ越してきたキャラクターです。

実は歴史にも同じような説があります。

東北から宮崎に降りることが、高天原から天孫降臨することだという「東北高天原説」です。

つまり、高天原(たかあまはら)は、実は東北にあり、天孫降臨は海から来たのではなく、東北から降りてきた人たちではないかということです。


それが、邇邇芸命を中心とする五伴緒神の一族で、岩戸すずめちゃんはその象徴なのですね。


岩戸すずめちゃんは東北出身で、東日本大震災を経験しました。

その結果悲しい出来事があり、宮崎に引っ越さざるを得なくなり、ずっと暮らしていた宮崎で、ある日に宗像草太くんと出会ったところから物語は始まります。


これはやはり、天孫降臨してきた女神の象徴としてすずめちゃんが描かれているのです。

そして、このすずめちゃんが岩戸を開いてしまいました。

この物語で岩戸開きは、負の想念の蓋(ふた)を開いてしまう、ネガティブな行為として描かれています。

しかし、扉を開いてしまったからこそ、鎮まるものもあったのです。

結果的には、「それでよかった」という物語として描かれています。

本当に、これからの時代を生き抜く上で必要なメッセージが、この映画の中に多く含まれていると思っています。


先ほども言いましたように、ネガティブな想念、悪想念の鎮魂、魂鎮めもしていかなければいけません。

それは、自分の中にある荒ぶる想念やネガティブな想念をしっかり鎮めていくことです。

また、岩戸開きは、新しい時代を開いていくことです。

これは誰かがやってくれるのではなくて、私達1人ひとりがやっていかなければならないことだと思います。


今回は映画「すずめの戸締り」を、神話的に神道の神様的に解説することを行ないました。

映画「すずめの戸締り」の、登場人物はこのキャラクター、この神様だったとお届けさせていただきました。

あなたの開運をお祈りしております、羽賀ヒカルでした。


岩戸締め~伊勢FINAL


私達ゆにわ塾は、年末の最重要イベントとして、伊勢の団体参拝を行ってきました。

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この記事をまとめた人

ゆうすけ
ゆうすけ
ゆにわ塾歴2年。25歳のフリーターです。毎日、ゆにわの学びを実践するつもりで、仕事や家事と向き合っています。座右の銘は、「大丈夫、なんとかなる!」(笑)

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