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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

カミムスビ(神産巣日神)【日本で3番目に生まれた大地母神】

2019年10月21日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

今回は、天地開闢(てんちかいびゃく)の際に出現されたとされる『造化三神(ぞうけさんじん・ぞうかさんしん)』の一人、カミムスビ(神産巣日神)についてお話しします。

世界が天と地に分かれたとき、高天原に最初にアメノミナカヌシ(天之御中主神)、次にタカミムスビ(高御産巣日神)、最後にカミムスビ(神産巣日神)が生まれ、宇宙開闢の祖となりました。

橋本ユリ
世界のはじまりに関わり、国造りに大きな役割を果たしたカミムスビについて、詳しく紹介していきます。


それでは参りましょう!

カミムスビ(神産巣日神)とは


神名の由来は、美称の「神」、「ムス=苔がむす・産巣・産=生産・生成・生命」と、「ヒ=太陽・霊=神霊」が続いたものです。

意味は「高く神聖な生成してやまぬ太陽」で、万物を創造する神様であり、農業の起源にまつわる神話があることから、大地に力を与える属性がある大地母神とも言われています。

 

神様の中でも特別の存在である『造化三神』は、性別のない独神(ひとりがみ)でしたが、タカミムスビが男神の属性、カミムスビは女神の属性で、男女対の神とされてきました

タカミムスビとカミムスビは、もともと「産霊(むすび)・産日(むすひ)」の霊能をもつ一つの神だったのが、古代人の二元論的な思考方法に修飾語をつけて二つの神格として分けたとも考えらえています。

また国造りに貢献したオオクニヌシ(大国主神)を蘇らせたり影響を与えたことから、国津神系(出雲系)ともいわれ、出雲大社の創建にも深く関わっています。

 

別名

カミムスビは三つの書物に登場しており、それぞれ名前や読み方が違っています。
  • 古事記:カムムスビ・カミムスヒ(神産巣日神)
  • 日本書記:カンミムスヒノミコト(神皇産霊命)
  • 出雲風土記:カミムスヒノミコト(神魂命)
古事記においても、名称については、タカミムスビ(高御産巣日神)と対いる立場であることから、カムミムスヒ(神御産巣日神)が正式な名前だったと考えられています。

ただカムミムスヒとなると、同じ音が重なって読みにくいため、「ミ」を脱落させて文字化した後、カムムスヒ(神御産巣)と書き、神名であることから「御」を補って解釈する形となって、この名前に行きついたのですが、今は「御」を脱落させた名前が一般化されています。

また他に、カミムスビノミオヤノミコト(神産巣日御祖命)があります。

古文書では御祖(ミオヤ)が母親という意味で使われているため、カミムスビの母親と訳されていますがそれは間違いです。
そもそもカミムスビは天地開闢の祖なので母がいるわけがなく、ここでは「全ての命の母」と捉え、カミムスビの尊称とみるべきでしょう。

カミムスビのムスは「苔のむす(生す)まで」と謳われる「君が代」にもあるように、生命の誕生を表しています。
高天原が誕生し、三番目に生まれたカミムスビは、生命に関わる大きな存在として、その後も葦原中つ国(地上)だけでなく、黄泉の国にも影響を及ぼします。

 

ご神格


カミムスビは造化三神の一人で、別天津神ともいわれています。
また母なる神として、御祖神としても崇められています。

天の生成神・生成力の本源神で、いわゆるすべての生命に関わり、生だけでなく死も操ることができました。
食物の神から生じた五穀をに撒き、地を豊かにした農耕神でもあります。

また、オオクニヌシノカミ(大国主神)の国造りを助け、出雲大社創設の指揮をとり、杵築大社の造営にも関わったことから、出雲の神々の祖神とも讃えられています。

 

ご利益

  • 五穀豊穣
  • 縁結び
  • 延命長寿
  • 無病息災
  • 厄除け
  • 開運招福
カミムスビのご利益は、母なる大地の恵みと「むすぶ」縁です。

天地開闢後に世界を開き、豊かな大地を育む土壌を作りました。
オオクニヌシを蘇らせた力と、医療の神となったスクナヒコノの誕生などもあり、長生きや病除け・厄除けの祈願も叶います。

造化三神を祀る神社や、オオクニヌシ・スクナヒコノの国造りを祀った神社でも崇められています。

 

カミムスビ(神産巣日神)の神話


橋本ユリ
カミムスビが生命を司る神、生産の神、出雲の神々の祖であるという神話を紹介していきます。


 

五穀の祖

アマテラスオオミカミ(天照大御神)から高天原を追い出されたスサノオ(須佐之男命)は、お腹が空いたので食物の神であるオオゲツヒメ(大宜都比売)を訪ねると、おいしい料理でもてなしてくれました。
しかし、その食材が体の穴から出ているのを見てしまい、汚らわしいと殺してしまいます。

すると、オオゲツヒメの遺体のあちこちから「生産にまつわる種」が生まれます。
  • 頭から蚕
  • 二つの目からは稲
  • 二つの耳からは粟
  • 鼻から小豆
  • 陰部から麦
  • お尻から大豆
カミムスビはそれを取り集め、地に撒き、地上を豊かにしました。

 

オオクニヌシの蘇り

因幡の白兎の後のお話です。

オオクニヌシ(大国主神)が兄弟の八十神らの嫉妬によって殺されてしまいます。
嘆いたオオクニヌシの母・サシクニワカヒメ(刺国若比売)がカミムスビに救済を願い出ます。

すると、「母の乳汁」をキサカイヒメ(蚶貝比売)とウムカイヒメ(蛤貝比売)に託し、それを患部に塗ったところ、オオクニヌシは見事生き返りました。

オオクニヌシはその後もまた兄弟たちに殺されてしまいますが、今度はサシクニワカヒメが蘇らせたのことです。

 

スクナヒコナの噂

オオクニヌシが出雲の御大之御前(みほのみさき)にいるとき、沖から天の羅摩船(ガガイモの船)に乘り、蛾の皮をまとった小さな神様がやってくるのが見えました。
誰か知りたいと思い、ヒキガエルに聞くと「これは久延毘古(かかし)が知っているでしょう」と言うので尋ねます。

久延毘古は「それはカミムスビ様の子供、スクナヒコナ(少彦名命)だ」と答えました。

オオクニヌシがカミムスビに直接聞くと
「確かにスクナヒコナは私の手のひらの指の間から生まれた子供です」
と認めました。

この時に出てくるヒキガエルは害虫を食し、かかしは穀物を守る役割をしていたことから、五穀を司るカミムスビの象徴の一つとも考えられているようです。

 

オオクニヌシとスクナヒコナの国造り

カミムスビは、「あなたたちは兄弟になって葦原中つ国をおさめなさい」と告げます。
そこで二人は国々を回り、穀物の栽培法や守るためのまじないの法を定めて、国造りを行いました。

カミムスビからの五穀豊穣の教えを伝えるために生まれたスクナヒコナ。
指ほどの小ささですが、オオクニヌシとともに大きな仕事を成し遂げました。

国造りの途中、スクナヒコナは常世の国に行ってしまい、二人は分かれます。

スクナヒコナは病の時の湯あみでの回復したことなどから、温泉の神・医療の神と祀られるようになりました。

 

カミムスビ(神産巣日神)を祀る神社

造化三神は誕生後、のちの神が活動しやすいよう、すぐに身を隠してしまい、あまり表に出てくることはありませんでした。
そのため、御祭神として祀られている神社はそう多くはなく、ひっそりと構える社に佇むことも。

橋本ユリ
それでは、大地母神カミムスビのご利益がいただける神社を紹介していきましょう。


 

出雲大社(いずもおおやしろ)


国造りを終えたオオクニヌシは国譲りの後にひっそりと暮らすことを望みます。
その隠遁場所として出雲大社が造営されますが、そのために全国から神々を集め、指揮をとったのがカミムスビです。

御本殿の内殿に御神座、その向かいに御客座五神があり、カミムスビは一神として祀られています。

境内にはいたるところに因幡の白兎にちなんだ「うさぎ」がいて、縁結びの手助けもしてくれるようです。

住所:島根県出雲市大社町杵築東195

御祭神:大国主大神

御客座五神:天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神・宇摩志阿斬訶備比古遅神・天之常立神

ご利益:むすびの神から、縁結び(恋愛・人間関係・仕事など人との縁)・子宝

 

命主社(いのちぬしのやしろ)

出雲大社境外社として、東へ約200m先に命主社という小さい社があり、この御祭神がカミムスビです。
カミムスビのムスビ(産霊神)は、「全ての生命の根源」という意味合いがあることから、「命主」と命名されたようです。

小規模ながら、この境内には多くの見どころがあります。

 

・磐座(いわくら)

古代では岩が神社の代わりに磐座が祭祀されてきており、社が建てられる前から神聖な場所でした。
現在は本殿後方にあり、社とともに御神体として鎮座しています。

 

・ムクノキ

樹齢1000年・高さ20mで、幹の太さ約6m・枝張り総長約19mの巨大なムクノキ。
最大の特徴は、地中から根っこが約1.5mほど盛り上がっていることで、独特の雰囲気があり、パワースポットとしても話題になっています。

 

・真名井遺跡(まないいせき)

社の殿舎の裏側で発見された遺跡で、江戸時代に執り行われた出雲大社の大造営の際に切り出された石の裏側から2つの宝物が発見されました。
  1. 銅戈(どうか) 矛(ほこ)のことで、剣のような形状。九州の北部で制作
  2. 硬玉製勾玉(こうぎょくまがたま) 三種の神器の「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と同じ素材
現在、出雲大社・宝物館に展示されています。

 

安達太良神社(あだたらじんじゃ)

JR本宮駅の北東1㎞のほどの菅森山の丘の上に鎮座する安達太良神社は、1146年宇奈明神としてタカミムスビ・カミムスビを勘請して創設され御祭神とし、安達太良山の神々と大名倉山の神々とともに祀られた神社です。

願掛けの参拝だけでなく、安達太良山を無事に登山できたことへの感謝をするために訪れる人もいるとか。

住所:福島県本宮市本宮字舘之越232

御祭神:高御産巣日神・神産巣日神(造化三神)飯豊和氣神・彌宜太刀自神・飯津比賣神・陽日温泉神(明神)

ご利益:万物生成の神、地域開拓の祖神等のご加護で、商売繁盛・産業発展・縁結び・厄除け・家内安全

 

東京大神宮(とうきょうだいじんぐう)


東京大神宮は、伊勢神宮への参拝を懇願した東京の人々の思いから、明治天皇の御裁断を仰ぎ、伊勢神宮の遥拝殿として明治13年に創設されました。

「東京のお伊勢様」として良縁を願う人が多く参拝しており、優美な舞が奉納される神前結婚式は明治時代の皇太子ご婚礼にあやかったもので、厳粛かつ神聖な儀式で執り行われます。

月ごとに開催されるご祭事も人出が多く、伊勢神宮大麻の御札だけでなく、独自の縁結びの可愛いお守りも願いが叶うと人気があります。

住所:東京都千代田区富士見2-4-1

御祭神:天照大御神・豊受大御神(伊勢神宮)天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神(造化三神)倭比賣命

ご利益:縁結びのご利益がある神社として知られており、「心結び・縁結び・幸結び」

 

四柱神社(よはしらじんじゃ)

松本城・松本市役所の近くに鎮座する四柱神社は、明治天皇御新政にあたり、惟神(かんながら)の大道を中外に宣布することを申し出、松本に神道院教院として創設されました。

主祭神を造化三神の三神と、天照大神の四柱とし、さらに一社を興して四柱神社となりました。

全ての願いが相叶うという「願い事むすびの神」として崇敬されていて、境内の「縁結びの松」はパワースポットとして注目されています。
毎朝7時から神主さんが朝のおつとめで祝詞をあげたあとに、神社の入口でお詣りをしていると、神主さんにお祓いをしていただけるそうです。

住所:長野県松本市大手3-3-20

御祭神:天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神・天照大神

ご利益: 縁結び・安産祈願・商売繁盛・社運隆昌・病気平癒・厄除け・交通安全・合格成就

 

高牟神社(たかむじんじゃ)

地下鉄東山線・千種駅から3分ほどのところにある高牟神社は、131年の第13代成務天皇の御代に鎮座し、第56代清和天皇の御時御造営の際に勅し、応神天皇を配祀せしめられました。

応神天皇の御神像は、束帯乗船の香木で、出船八幡そして古井八幡と称されたため、「古井の八幡さま」と呼ばれています。

御神徳として、造化三神の二柱におけるむすび信仰と、応神天皇の強運と才能と110歳長寿などをあやかり、文武の祖として崇敬されています。
境内の井戸から湧き出る水は「古井(こい=恋)の水」と呼ばれ、この水を飲むと恋愛成就すると話題になっています

住所:愛知県名古屋市千種区今池1-4-18

御祭神:高御産巣日神・神産巣日神・応神天皇

ご利益:えんむすび・開運招福・安産祈願・厄除け・交通安全・病気平癒のほか、地鎮祭・上棟祭・竣工祭など

 

まとめ


造化三神として三番目に生まれた大地母神、カミムスビについて多くの事を見てきました。

造化三神は後から誕生する神々のために身を隠し、表に出ることはあまりありませんでした。
ただ、産巣日(ムスビ)が名につくタカミムスビ(高御産巣日神)とカミムスビ(神産巣日神)は、「むすぶ」二柱として、後に多くの功績を残します。

カミムスビの功績は、豊かな大地の創造。
そしてオクニヌシを蘇らせ国造りを推奨し、支え、子供のスクナヒコノを供にさせたことです。

出雲大社は、出雲の神々を集めて造営し、八百万の神の拠り所となりました。

毎年、11月18~24日までの1週間は、八百万の神々が出雲大社を訪れ、様々な神議(かみはかり)をなされる神在祭が行われますが、これもカミムスビの思いがあってこその祭事です。

橋本ユリ
目立つことなく全ての命の母として、密かに国営に関わった大きな存在です。

豊かな大地を創ってくださり、命をつなげてこられたことに感謝しましょう。

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