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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

大国主命(オオクニヌシ)の波乱万丈記すぎる神話

2019年10月1日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

橋本ユリ
大国主命(オオクニヌシ)は、とても数奇で波瀾万丈な神話をもった神さまです。その神話を知った上で、ゆかりのある神社を参拝することで得られるものが変わってきます。

そんなオオクニヌシについてをお伝えさせていただきます。


それでは参りましょう!

オオクニヌシ(大国主命)とは?

オオクニヌシと聞いて「ああ、大黒様ね」と思った方もいらっしゃるでしょう。

それも広い意味では正解なのですが、オオクニヌシは、スサノオノミコトの6代目の子孫、と古事記では書かれています。
80人の兄弟がいて、その中からヤガミヒメ(因幡の国の神)から選ばれたイケメンだったようです。

古事記や日本書紀の中で、正妻のスセリヒメも含め15人の女神と結婚しています。ルックスだけでなく、やさしい神だったことは神話の中に描かれているので、モテない訳がありません。

それだけに、各地で様々な信仰や物語となっています。オオクニヌシを表す名前がいくつもあるのです。

 

オオナムチオオアナモチは出雲の国風土記での呼び名。

ヤチホコノカミはヌナカワヒメとの物語での名前。

根の国に追いやられていたときには、侮辱する意味合いも込めて、アシハラノシコヲ(葦の原から来た醜い男)と呼ばれたりしています。その根の国から帰還してつけられた名がウツクシニタマノカミ

イワノオオカミは播磨国風土記の中でアメノヒボコとの国をかけた戦での名前です。

 

このような物語で付けられた名前を列記してみました。
  • オオクニタマノカミ
  • アメノシタツクラシシオオカミ
  • クニツクリオオナムチノカミ
  • カクリゴトシロシメスオオカミ
  • キヅキノオオカミ
  • カクリゴトシロシメスオオカミ
等々。

物語だけでなく祝詞の中にも登場します。

大国主命は祝詞『幽冥神語』の中で、幽世大神(カクリヨノオオカミ)と記述されています。
これだけの呼び名があるということは、古より大切な神として崇められてきたのでしょうね。

橋本ユリ
冒頭で述べましたが、大黒天をオオクニヌシと同じ神として語られてもいます。
では、なぜ大黒天とオオクニヌシが同じ神と言われるようになったのでしょうか?


 

オオクニヌシと大黒天の関係

オオクニヌシは、スサノオノミコトの6代目子孫で、国津神の代表格とも言える神。
つまり、元をたどれば天照大御神にも繋がる日本古来の神なのです。

一方で大黒天は、ヒンドゥー教のシヴァ神の一種なので系列が異なります。この神は「マハーカーラ」と言い、マハーは「大いなる」を意味しカーラは「暗黒」なので、大黒天となりました。

 

では、なぜオオクニヌシと大黒天が混同されたのでしょうか?

理由は2つ考えられます。

まずは読み方。
オオクニヌシは漢字で「大国主」ですから、音読みすると「だいこく」と読めます。「だいこく」の神様と聞くと大黒天が思い浮かぶ人も多く、ごちゃまぜになってしまったのでしょう。

もう一つは姿です。
大黒天は大きな袋を背負っています。財福を司る神様なので、その袋の中には金銀やサンゴなどの七宝が入っています。大黒天の絵を見ると、とても大きな袋ですよね。

実は、オオクニヌシも大きな袋を担いでいる姿が書かれているのです。

有名な因幡の白兎の神話の中で、赤剥けになった白兎を助けた神は、大きな袋を背負っていました。この神こそオオクニヌシなのです。

神話の章で詳しくお話ししますが、オオクニヌシは兄弟80人分の荷物を1人で背負わされていたのです。そして因幡の国にさしかかったときに、白兎と出会って傷の手当をしてあげました。この袋を担いでいる姿が大黒天そっくりだったので、「一緒の神様」ととらえられたのでしょう。

さらに、オオクニヌシの神話の中で、オオクニヌシはネズミに助けられています。一方で、大黒天が使者として使う動物がネズミだとする説があり、大黒天につき従うネズミが描かれている絵もあります。

別々の系譜であるオオクニヌシと大黒天ですが、様々な共通点があるのですね。古くから混同されていた部分もあるので、同一の神として信仰しているところもあり、今となっては全くの別物とは言えないかもしれませんね。

 

オオクニヌシの家系図

もう少し詳しくオオクニヌシの由来を述べてみます。

先程、スサノオノミコトから6代目と述べましたが、スサノオノミコトはイザナギとイザナミの息子です。そうすると、天照大御神とも繋がっていることになります。
スサノオノミコトの子にヤシマジヌミノカミがいらっしゃいます。多くの島を持つ主宰神という意味です。ヤシマジヌミノカミの子がフハノモヂクヌスヌノカミ。そのひ孫がアメノフユキヌノカミでオオクニヌシの父になります。


アメノフユキヌノカミは主要な国津神の1人で、出雲から能登まで赴き、能登を平定したと伝えられています。そのため、石川県輪島市にある重蔵神社にも祀られています。

アメノフユキヌノカミは天之冬衣神と漢字で表記されており、天上界の冬服をまとった神と読むことができます。
アメノフユキヌノカミの妻はサシクニワカヒメで、息子のオオクニヌシを助けたことで有名です。

あくまで想像ですが、サシクニワカヒメが母でなかったならば、オオクニヌシはここまで活躍できなかったかもしれません。なにしろ、二度死んだ息子を蘇らせたのですから。

ちなみに、オオクニヌシは国津神の主宰神です。国津神とは地上に降臨した神々のことで、スサノオノミコトもその1人です。
国津神に対応する言葉に天津神があります。これは高天原にいらっしゃる神々のことを指しており、主宰神はもちろん天照大御神です。

オオクニヌシは天照大御神の子孫ですが、地上に降りたので国津神、というのは少し不思議な感じですね。
あの偉大なスサノオノミコトの子孫ですから、尊い流れをくむ神であることは、間違いありません。

 

オオクニヌシ神話

オオクニヌシはとても活躍した神なので、神話も多く残されています。

橋本ユリ
少し長くなりますが、面白い話ですからご一読ください。


 

大国主命(オオクニヌシノミコト)と八十神

オオクニヌシは、アメノフユキヌノカミとサシクニワカヒメの息子で、スサノオノミコトの子孫にあたりました。

兄弟は80人いて、オオクニヌシは一番年下でした。ですから、いつも損な役回りをさせられていたのです。
この80人の兄弟(八十神)は、美人で評判だった因幡の国の女神に求婚するため、旅に出たのです。女神の名はヤガミヒメと言い、自分で見て80人の中からお婿さんを決めることにしたのです。

兄たちは様々な贈り物を用意して、準備を整えて出発しました。その荷物は全てオオクニヌシに背負わせて、自分達は意気揚々と先に行ってしまいました。
オオクニヌシは、なんとかついて行こうとしたのですが、荷物があまりに多かったため、兄達の姿が見えないほど距離が離れてしまったのです。

 

因幡の白兎との出会い

オオクニヌシが因幡の国にさしかかると、白兎が泣いていました。見ると、背中の毛皮が無く、皮膚がむき出しで赤く爛れていたのです。
オオクニヌシがその理由を白兎に聞きました。

白兎は、隠岐の島から中津国に渡れず困っていたところ、ワニが声をかけてきました。「俺たちが次のワニの尾を噛んでいたら、橋ができる。俺たちの背中を歩いて渡れよ」


白兎は喜んでワニの橋を渡っていったのですが、中津国の岸に到着する寸前、ワニが口を開いて兎の背中に噛みついたのです。命からがら逃げた白兎ですが、背中の毛皮は噛みちぎられて、赤い皮膚がむき出しになってヒリヒリと痛みました。

白兎が泣いていると、先行していた八十神の兄達が通りかかりました。兄達は面白がって「その傷は、海水につけて風にさらしたら良くなるぞ」とウソを教えたのです。ウソとは知らない白兎は言われた通り、海水に浸かって皮膚を乾かしていたのですが、余計皮膚が爛れてしまったのです。

泣いている白兎を可哀そうに思い、オオクニヌシは治療法を教えました。


「まず、きれいな水で傷口をよく洗って、それから蒲の穂の上に寝てじっとしていなさい。」
白兎がその通りにすると、みるみるうちに傷が良くなって、毛皮も生えてきたのです。

白兎はお礼にオオクニヌシに予言をしました。「あなたは、ヤガミヒメから選ばれて結婚するでしょう」
オオクニヌシはお礼を言って先を急ぎました。

 

ヤガミヒメとの結婚と大国主命の死

ヤガミヒメのもとにたどり着くと、白兎の予言通りヤガミヒメはオオクニヌシを選び二人は結婚しました。
しかし、嫉妬に狂った兄達は、オオクニヌシを殺そうと企みます。兄達は、オオクニヌシに赤いイノシシを退治するよう命じ、オオクニヌシは山のふもとで待っていました。兄達はそこに、赤く焼いた大きな石を転がして落としたのです。オオクニヌシは、焼けた石に巻き込まれて死んでしまいます。

 

母(サシクニワカヒメ)による甦り

オオクニヌシが亡くなって母はとても悲しみました。

そこで天の神に助けを求め、キサガヒヒメとウムギヒメを遣わしてもらいました。
3人は協力してオオクニヌシの体を岩から剥がし、体に薬をぬりました。すると、見事にオオクニヌシは生き返ったのです。

しかし、兄達はオオクニヌシを狙い、大木の下敷きにして再びオオクニヌシを殺したのです。

サシクニワカヒメは必死の想いでオオクニヌシを探し出し、またしてもオオクニヌシを生き返らせました。
「しかし、このままでは、またいつか襲われるに違いない。」そう思った母は、紀の国のオオヤビヒコのもとに、オオクニヌシをかくまってもらいました。

 

根の国への逃亡とスサノオノミコト

執念深い兄達は、オオクニヌシの居場所をつきとめ、オオヤビヒコを脅します。
「オオクニヌシを渡さなければお前を殺す」

オオヤビヒコは慌てることなく、オオクニヌシを木の股の間から逃がし、根の国に行くようにアドバイスしたのです。
根の国に着くとスサノオノミコトとその娘スセリヒメがいました。

オオクニヌシとスセリヒメは互いに一目ぼれして、結婚したいとスサノオに申し出ました。

スサノオは、オオクニヌシがスセリヒメに相応しい男か、3つの試練を与えます。
  1. 蛇がうようよいる部屋で一晩過ごすこと。このとき、スセリヒメが蛇除けのヒレを渡し、難を逃れました。
  2. ハチとムカデのいる部屋にいること。これも同様に、スセリヒメの助けで無事に過ごすことができたのです。
  3. スサノオが野原に放った鏑矢を、探し出して持って帰ること。
オオクニヌシが野原に入ると、スサノオは野原に火を放ちます。火はオオクニヌシを囲み、逃げられなくなってしまいました。そのとき、ネズミが現れて地面を思い切り踏みしめるように、助言してくれました。その通りにすると、ぽっかりと穴が開いて、オオクニヌシは火から逃れることができました。

これでスサノオはオオクニヌシのことを認めましたが、まだ結婚は許してくれません。

そこで、オオクニヌシはスサノオが眠りこんだ隙に、御殿の柱にスサノオの髪を結び付け、スセリヒメと地上まで逃げ出しました。
二人が逃げ出したことを知り、スサノオは飛び起きましたが、髪が柱に結ばれているので、動く事ができません。ようやく髪をほどいて、二人を追いかけます。しかし、二人ははるか遠くまで行っており、とても追いつけませんでした。

スサノオは観念して言いました。
「これからお前は地上に戻って八十神を討伐し、国の王になれ!そして大国主と名乗るがよい」

それまでオオナムチという名だったのですが、この時からオオクニヌシとなったのです。

 

天照大御神へ国譲り

こうして出雲の国を治めたオオクニヌシだったのですが、それを見ていた天照大御神は、「この国は元々、イザナギとイザナミが造った国なのだから、私の子の国であるべきです」と言いました。

そこで、オオクニヌシのもとに刺客を送り込みましが、うまくいきません。
ついに天照大御神は、タケミカヅチアマノトリフネを、国譲りの使者として遣わします。

オオクニヌシは、二人の息子に判断を委ねます。

1人目のコトシロヌシは、話し合いの末、天照大御神に国を譲ることを承諾します。
2人目はタケミナカタです。タケミナカタはタケミカヅチと力比べ(相撲の起源とされています)をして負けたので、オオクニヌシは潔く、天照大御神に国を譲ることにしました。

こうして、出雲の国はニニギノミコトが治めることとなり、この功績が天照大御神に認められて、オオクニヌシのための宮殿が、出雲の国に造られました。
これが出雲大社なのです。

 

大国主命を祀る神社

オオクニヌシ(大国主命)が祀られている神社はたくさんあります。数々の神話や、物語に登場するためです。また、国津神の主宰神でもあることから、派生する神様は多くなって当然です。さらに、大黒天と関わりのある神社も挙げられます。

その中でも特に関係の深い神社をご紹介し、他に縁のある神社の名前を、列挙したいと思います。

 

出雲大社

先の神話の中でも天照大御神に認められて造られたわけですから、大国主命が主祭神として祀られています。10月に出雲大社に神々が集まるのは、大国主命が国津神の筆頭だからです。

 

日吉大社

滋賀県大津市にある日吉大社も、大国主命に縁のある神社です。西本宮のご祭神である大己貴神の別名が、大国主神なのです。全国各地の日吉・日枝神社の総本宮でもあります。

 

大國魂神社

この神社は武蔵国の守り神である、大國魂神が祀られています。この主祭神は大国主命であると言われており、古に大国主命がかの地を訪れて、医術などを授けたとされています。東京都府中市にある神社です。

他にも、
  • 物部神社
  • 二荒山神社
  • 一切神社
  • 砥鹿神社
  • 大前神社
  • 愛宕神社
などがあります。

 

大国主命のご利益

オオクニヌシの一番の特徴は、多くの妻と子供たちです。妻は15人と述べましたが、その子はなんと100人以上。

そのため、ご利益としてまず挙げられるのが、
  • 縁結び
  • 子授かり
  • 夫婦和合
です。

また、因幡の白兎の神話から、病気平癒もあります。国を治め豊かにしてきたことから五穀豊穣・商売繁盛もあります。商売繁盛は大黒天との関連もありそうです。

とにかく、多くのご利益をお持ちの神様なのですね。

縁結びといっても、単なる恋愛成就だけでなく「人との良い出会い」もありますから、人生を豊かにしてくれる神様と言えるでしょう。

 

まとめ

各地で信仰されているオオクニヌシは、偉大な神であり数々の神話や物語に登場します。

橋本ユリ
これだけ愛されているオオクニヌシ。その理由には優しさと賢さ、逆境をバネにして天照大御神に認められるなど、生きる勇気をくれるからかもしれません。

どこか人間くさくて、親しみの持てる神さまですから、神話を知って縁ある神社を参拝すれば、新しいご縁ができるかもしれません。

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