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スサノオ神話に隠された壮大な秘密|小名木善行×羽賀ヒカル

2023年1月27日 2023年01月27日

あなたの心に火を灯す、東洋思想及び神道研究家の羽賀ヒカルです。

今日も仲良しの国史啓蒙家、むすび大学の小名木善行先生とお届けしていきたいと思います。

よろしくお願いします。

今日のテーマは「みんな大好き、スサノオノミコト」ということで、小名木先生からスサノオ神話についてお伝えしていただきたいと思います。



ヤマタノオロチ退治は、カッコいい?


【羽賀ヒカル】

この地図は、どこでしょうか?



【小名木善行】

これは奥出雲の鳥髪村(とりかみむら)で、ヤマタノオロチ退治の場所です。

古事記も日本書紀も同じ場所を描いていますので、間違いなく特定されているところです。

ここに小さな稲田神社があり、クシイナダヒメ(櫛稲田姫)をお祀りする神社が、今でもちゃんと残っていますね。


【羽賀ヒカル】
古事記の神話の話というより、実際の場所だということですね。


【小名木善行】
おそらく何らかの事実があっただろうと容易に想像がつきますが、それが一つの神話のストーリーとなって、現在まで残っています。

スサノオというと、ヤマタノオロチを退治した、めちゃめちゃ強いおっちゃんだというイメージで語られることが多いんですけれども・・・。


「父ちゃん、スサノオってカッコいいよね、どうやってヤマタノオロチを倒したんだい?」

「ヤマタノオロチにお酒を一杯飲ませて、酔っ払って寝たところを首をチョン切ったんだ。」

「父ちゃんそれ、全然カッコよくなーい!」っていう話になってしまうんですね。

それだったら、ゴジラとキングギドラの方がよっぽどカッコいい!


【羽賀ヒカル】
ガチンコで、正面切って戦っていますからね。


【小名木善行】
酔っぱらったところで首をチョン切っただけの話が、なぜこれほどまでに男の鏡のように今でも伝えられているのか?

実はそこの裏側に、もうちょっと大きな、そして我々の生活にすごく大切なメッセージが込められています。

ここをしっかりと学んでいく必要があると思う訳です。

スサノオ神話~おじいさんとおばあさんの秘密


【小名木善行】
そもそも、スサノオは高天原で大暴れをして、最後は八百万の神々に捕まり、ヒゲを全部剃られ、両手足の爪を全部引っこ抜かれて、痛そうですよね。

男性のヒゲと手足の爪は霊力の象徴でした。

だから、スサノオは神様としての霊力を全て奪われた状態で、千両の車に乗せるぐらいの、ものすごい罰金を負わされて、地上に放逐される訳です。


ヒューッと降りたところが、この斐伊川(ひいかわ)の川下の方です。

ポツンと降り立ち、もう着ている物もボロボロですよね。

両手両足は爪がなく、顔だけツルンとしていて、ヒゲだけ揃っている訳ですよ。


ヒドイ状態で、これからどうしようかなと思っていたところ、斐伊川の上流の方から箸がフワフワっと流れてきた。

この箸を見た瞬間にスサノオは、「おっ、上流に人がいるに違いない、よし行ってみよう!」と思ったのです。


この時の箸ですが、我々が普通に使うお箸は2本あり、その1本だけ流れてきて、それを見た瞬間に、お箸って分かる人はいないですよ。

では、なぜ分かったのか?

昔は「古代箸」といってトングの形をして、二本の箸がちゃんとくっついているのです。


そんなお箸が流れてきたので、これは上流に人がいるに違いない。

とにかく両手や足が痛いし、腹も減ったし、どこかで飯食わしてくれたらと思って、川をずっと遡っていく訳です。

着いたところが、この奥出雲の鳥髪村でした。


そこで1軒の家があり、アシナヅチ・テナヅチという、おじいさんとおばあさんが泣いていました。

このように言われることが多いのですが、アシナヅチ・テナヅチというのは、実は村長さんぐらいのまだ若い年代なのです。

クシイナダヒメという、まだ幼い女の子がいる父ちゃんと母ちゃんが、じいさんとばあさんではない、まだまだ現役世代の2人が泣いている訳です。


泣いている様子を見て、スサノオが言いました。

「お前たちは、なぜ泣いておる」

「いや、実は毎年ヤマタノオロチがやってきて、このキレイに整った娘たちをさらっていくのです。今年もまたやってきて、ついにクシイナダヒメをさらってしまう。それが悲しく泣いているのです」と言うのです。

スサノオは、「よし、わかった!じゃあ、その娘を俺にくれ」

人が困って泣いている訳ですよ?

スサノオ神話~本当の心配ごと


【小名木善行】
地図でご覧いただくと分かりますが、山間の盆地で、斐伊川が流れています。

ここは四方八方から別の川が流れ込んできている、まさに八俣(やまた~8は多いという意味)です。


大雨が降った日には、たくさんの俣から激流が流れ込んで、斐伊川が氾濫する。

結果、この盆地は水浸しになるんです。

その証拠が、この山です。


この盆地の真ん中に山があって、周りが平地になっています。

大雨が降る度に洪水が起こって、そのために土砂が運ばれてくるのです。

結果、山間の谷がどんどん土砂で埋まって、この地形が出来上がった。


そういう地形ですから、雨に弱い。

台風が来るたびに、必ず水に浸かってしまう。

水に浸かってしまうから、田んぼも畑も全部やられる。


どうしようかと思って、両親そろって泣いているところへ、いきなりヒゲもなくて、両手両足の爪もなくて、ボロボロの服を着た、まるで乞食同然のおっさんが来て、「娘は俺にくれ」と言いました。

普通は怒りますよ。

ところが、アシナヅチ・テナヅチは、怒らないのです。

「分かりました。そのようにいたしましょう」と。


これはなぜか、分かりますか?

実は昔、高貴なお方は自ら名前を名乗らないっていう習慣があった。

例えば「吾輩は天照大神様の弟のスサノオである」なんて名乗った瞬間に、困っている人たちは、みんな頼りにしますね。

当然のことながら、頼りにされたら、ちゃんと応えなくてはいけないのです。

上に立つ人はそれだけ責任がある。

責任があるのに、軽々と名前を名乗ってしまって、相手から「よろしくお願いします」なんて言われたのに、「よっしゃ、よっしゃ」として何にもしない、現在の政治家みたいなことをやっていると、もうグサッとやられてしまう。

そもそも、そんな環境だから、スサノオは名前を言わない、でも噂はちゃんと広がっているのです。


高天原の天上界でスサノオが大暴れして、どうやら地上に放置されたらしい。

そういう話はちゃんと広がっている。

そこへ、目の前におっさんが現れる。

「もしかすると?」と思う訳です。

「分かりました。つきましては、恐れ入りますが、お名前を聞かせていただけませんか?」

「自分はスサノオである」

「では、よろしくお願いいたします。」


ここでスサノオがそこで何を請け負ったのか?

それは、この土地の洪水を鎮めることを請け負っている訳ですね。

スサノオ神話~ヤマタノオロチの正体


【小名木善行】
そもそもヤマタノオロチという名前を、日本書紀は「八岐大蛇」と書いています。

でも、古事記では「八俣遠呂智」です。


これは「声を用いる」と言って、漢字一文字一文字は、全く意味がない。

大和言葉の「お・ろ・ち」だという訳です。

「おろち」をスマホで変換すると、「愚地」「悪路地」という漢字が出てきます。

これは、昔から使われている言葉です。


「愚地」は愚かな地で、例えば雨が降る度に土砂災害が起こるような土地、崖崩れが起こるようなところ。

そこは人が住んじゃいけません、田んぼ作っちゃいけません、ここは愚地だからということです。


こちらの「悪路地」は、雨が降る度に、洪水で土石流が流れてきて、埋まってしまうような場所です。

たくさんの股に分かれて、四方八方から水が流れ込んでくる、まさに「悪路地」

「八俣の悪路地」と、古事記は書いていると見ることもできるんです。

これは「ヤマタノオロチは越後盗賊」説とか、諸説ありますよ、

けれども、文字を見る限りは、「愚地」「悪路地」だったと言えます。


【羽賀ヒカル】
おそらく、意味は重なっているんでしょうね。

北陸の辺りに来た方たちと、掛け言葉になっている可能性はありますね。


【小名木善行】
この斐伊川(ひいかわ)は「火のような川」ということで、「なぜ火なのか?」というと、川が真っ赤なんです。

今でも斐伊川の下流の方に行くと、結構、川底が赤くなっています。

「なぜ赤いか?」というと、斐伊川の上流の方に鉄鉱石がたくさんあり、錆(さび)が出るんです。

赤錆が出るので、雨が降るとその赤錆の成分が川の水に溶けて流れていき、川底が鉄錆の成分で真っ赤になっています。

だから、日が当たると底が赤く見える珍しい川です。


その真っ赤な川が、鳥髪盆地を襲うような状況にある。

この惨状を見たスサノオの命が何をしたかというと、

「よっしゃ、分かった!ヤマタノオロチを成敗してくれよう」

ということで、村人たちみんなと力を合わせて堤防工事をする。

いよいよ台風がやってきて、大雨が降った。

その時に、ものの見事に真っ赤な土石流がダーッと堤防の向こう側を流れ、その結果、鳥髪盆地の作物は守られました、という話になります。

スサノオ神話~見てはいけない剣の秘密


【小名木善行】
ヤマタノオロチの尻尾から最後に「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」、別名で「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」と言う、大変立派な刀が出てきた。

ヤマタノオロチの尻尾が出てきたということは、物語の最後に、素晴らしい刀が登場したということ。


ここでは元々、「たたら製鉄」をやっているのです。

「たたら製鉄」は一件分ぐらいの鉄鉱石を、ずっと火で燃やして溶かすのです。

一件分の鉄の塊の中から、ちょうど野球のボール1個分ぐらいしか取れない、錆びない鉄を「玉鋼(たまはがね)」と言います。


この最高の錆びない鉄で作った刀が、おそらく天叢雲剣で、ヤマタノオロチの尻尾から出てきた剣であろうと言われています。

今、天叢雲剣は、熱田神宮に奉納されています。


実は江戸時代の中頃に熱田神宮が火災にあって、神官の方5人で、このままでは御神体である天叢雲剣が燃えてしまうということで、神宮の外に持ち出したと言うんです。

その時にたまたま中を見てしまった記録が残っていて、蓋を開けて中を見たところ、何百~何千年前か分からない、一切手を触れることもなかったその剣が、白く輝いていた。

青銅だったら、もうとっくの昔にサビてしまって、緑色になるはずなのに、天叢雲剣は白く光っていた。

要するに、ステンレス~錆びない鉄で作った刀がそのままの状態で、残っていたのです。


ただし、普通の人は見ちゃいけない。

神官の方々も5人の人が見て、5人ともその後すぐに全員亡くなったと伝えられています。


【羽賀ヒカル】
三種の神器は誰も見てはいけないんですね。

伊勢の鏡も見てはいけません。


【小名木善行】
その通りで、大事なものは隠す。

隠してあるものを見ちゃいけないんですね。

スサノオが現代人に告げること


【小名木善行】
洪水を制圧したスサノオを考えてみてください。

高天原を追い出された時点で犯罪者ですよ。

自分の霊力から全て奪い取られている訳です。

丸裸のただの1人の人間、いや、もっとひどい状態なっている。

それだけボロボロの状態になっていても、男子たるもの、目の前に困っている人がいたら、その人たちのために自分の持っている全力を尽くし、守っていく。


これが「日本男児の生き様である!」という一つのストーリーになっている。

スサノオの命に関する色々な解釈や物語があると思いますが、その中の一つを、今回ご紹介させていただきました。


日本男児は、何があっても途中で「もう駄目」だとか、「もうお仕舞だ」とかじゃない。

どんな目にあっても、どんなことがあっても、常に堂々と前向きに、自分の持っている全知全力を持って、目の前の問題を解決していく、雄々しく生きる、これが日本男児の生きる道である。

そのことをスサノオノミコトは、しっかりと現代にまで伝えてくれているのではないかと思います。


【羽賀ヒカル】
女性の中にもやっぱり男性性はあります。

例えば、何かチャレンジ・挑戦していく時に、「私、自信がなくて」「僕、経験なくて」など、自信がない方が結構いるんですよね。

でも、スサノオノミコトは自信がなくても、ヤマタノオロチに立ち向かいました。

これから本当に、自分の人生を幸せにしていくためにも、また世の中を良くしていくためにも、「立ち向かう精神」は、全員重要なことなのではないのかと思います。



【小名木善行】
大事なことは、「自信がある・ない」とか、「自分にできる・できない」とか、そういうことじゃないんです。

逆に、できないのは、やる気がないか、能力がないか、二つに一つなんです。

あるいは、やる気・能力の両方ともないのも含めると三つですよね。


「どうしよう、できる気がしない」

これはやる気がないということです。

やる気があっても、能力がなければ、やっぱりできないんです。

やる気と能力があるのに、やらないのは卑怯なんです。


人間、能力がどうしたらついてくるかと言えば、実際に始めてしまえば、やらざるを得なくなるから、自然と能力は後からついてくるんです。

とにかく前に向かって堂々と進んでいくしかないと思います。


【羽賀ヒカル】
まさに、今の時代に必要な神話だと感じています。

人生を切り開く力を授かる参拝


【羽賀ヒカル】
最後に、ゆにわ塾の初詣セミナーです。

熱田神宮と氷川神社は、両方ともスサノオにまつわる神社ということで、今回はこちらの神話を紹介させていただきました。

人生を切り開く力を授かる功徳は、熱田神宮にも氷川神社にもあります。

両方申し込んでいただいた方にはスサノオ特典で、参拝セミナーの振り返り音声もお届けします。


熱田神宮の方は、日本武尊の神話について、小名木先生が語っていて、氷川神社の方は、これから収録していきます。

ご興味ある方は、2023年最高のスタートダッシュを切るために、ぜひお越しいただけたらと思います。


【小名木善行】
熱田神宮は、今回ご紹介した天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)があるところ。

そして、氷川神社は、先ほど申し上げた斐伊川(ひいかわ)が、同じ音で氷に代わって、氷川となっています。

だから、元々は「斐伊川神社」なんですね。


【羽賀ヒカル】
出雲の辺りにいた、まさにスサノオ系民族が関東地方にやってきて創建したと言われているのが、この氷川神社です。

関東圏、東京にお住まいの方は、氷川の産土力を授かる非常に重要な神社ので、ぜひチェックしていただけたらと思います。


スサノオセット(熱田神宮、氷川神社)



詳細・申し込みはコチラから↓


今回は、小名木善行先生と、スサノオの秘密をお届けさせていただきました。

最後までご読みいただき、誠にありがとうございました。

それでは、2023年のあなたの開運を心よりお祈りしております、羽賀ヒカルでした。


・神社チャンネルのこちらのYouTubeバージョンもご覧ください。↓


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この記事をまとめた人

のんのん
のんのん
ゆにわ塾歴8年、初期から神社チャンネルのライターをやっています。これからの激動の時代、人は神様と一緒に頑張らなくっちゃ!神様と人をもっと繋いで行きたーい、と願う神社大好きっ子です。

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