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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

【大海神(オオワタツミ)】海を司る神様の神話とは?

2019年10月31日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

大海神(オオワタツミ)は、その名の通り、日本神話に登場する海の神様です。

日本神話では複数の海の神様が登場するのですが、オオワタツミはイザナミとイザナギによって産み出された日本で最初に誕生した海の神様なのです。

橋本ユリ
そんな海を司る偉大な神様である、オオワタツミについて詳しくご紹介をさせて頂きます。


それでは参りましょう!

大海神とは

オオワタツミはイザナギとイザナミの間に生まれた海の神様です。

漢字では「大綿津見神(オオワタツミノカミ)」と書かれることもあり、

・ワタ=海の古語
・ツ=「の」を表す上代語の格助詞
・ミ=神霊(しんれい)の意味

これらのことからオオワタツミというのは「海の神霊」という意味があるとされています。

また、「ツミ」は「司る」という意味もあることから、オオワタツミは「海を司る神様」という意味であるとも言われています。

 

別名

オオワタツミは古事記と日本書紀においてそれぞれ様々な別名があります。

古事記における別名

  • 綿津見神(ワタツミノカミ)
  • 大綿津見神(オオワタツミノカミ)

日本書紀における別名

  • 少童命(ワタツミノミコト)
  • 海神(ワタツミ)
  • 海神豊玉彦(ワタツミトヨタマヒコ)
他にも漢字表記を変え、
  • 和多都美神
  • 和多津見神
  • 綿摘神
  • 大海津美神
などと書かれることもあります。

また「海童(ワタツミ)」という風に表記されることもあるのですが、これは古代の日本において「海などの水にまつわる神様は子供の姿をしている」というような信仰があったからです。

なお「海神」は「わたつみ」「わだつみ」「うながみ」「かいじん」など色々な読み方がありますが、日本神話においては「わだつみ・わたつみ」と読むのが一般的です。

 

ご神格

オオワタツミのご神格は、海の神様です。

また日本神話において、オオワタツミが魚や農作物に流れる水を自在に操る場面があったことから、海の幸や農の水を司る神様であるとも言われています。

 

ご利益

オオワタツミには海や水に関わるご利益があるとされています。
  • 航海安全
  • 漁業繁栄
  • 海上交通安全
  • 豊漁
  • 水難除け
また、「綿津見三神(ワタツミノサンシン)」と呼ばれる海の三神はイザナギの禊によって産み落とされたことから、
  • 祓い
  • お清め
  • 浄化
などといったご利益があると言われることもあります。

古来よりオオワタツミは漁業や航海に関わる人々からの信仰を受けており、今もなおその信仰は受け継がれています。

 

大海神の神話

さて、海を司る神であるオオワタツミは、日本神話の中では一体どのように描かれていたのでしょうか?

『古事記』をベースにオオワタツミが登場する神話を見ていきましょう。

 

「神産み」

イザナギとイザナミはこの国の島々をつぎつぎに産み落とした後、国を守る神々を産み出していきました。

岩の神、土の神、家の神、屋根の神、戸口の神、海の神、川の神、風の神、火の神……などなど、それはたくさんの神々を産み出すのです。

イザナミが産み出した神様の名前は下記の通りです。
  • 大事忍男神(オオゴトオシオ)
  • 石土毘古神(イワツチヒコ)
  • 石巣比売神(イワスヒメ)
  • 大戸日別神(オオトヒワケノカミ)
  • 天之吹男神(アメノフキオノカミ)
  • 大屋毘古神(オオヤヒコノカミ)
  • 風木津別之忍男神(カザモツワケノオシオノカミ)
  • 大綿津見神(オオワタツミノカミ)
  • 速秋津日子神(ハヤアキツヒコノカミ)
  • 速秋津比売神(ハヤアキツヒメノカミ)
  • 志那都比古神(シナツヒコ)
  • 久久能智神(ククノチノカミ)
  • 大山祇神(オオヤマツミ)
  • 鹿屋野比売神(カヤノヒメノカミ)
  • 鳥之石楠船神(トリノイワクスブネノカミ)
  • 大宜都比売神(オオゲツヒメノカミ)
  • 火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ)
オオワタツミはイザナミが産み出した子の中で、8番目に産まれた神様ということになりますね。

さて、ヒノカグツチという火の神を産み出したイザナミは、体に大やけどを負ってしまいます。

イザナミは苦しみながらも、国を守るために必要な鉱山の神や土器の神々を産み続けます。
  • 金山毘古神(カナヤマビコノカミ)
  • 金山毘売神(カナヤマビメノカミ)
  • 波邇夜須毘古神(ハニヤスビコノカミ)
  • 波邇夜須毘売神(ハニヤスビメノカミ)
  • 彌都波能売神(ミツハノメノカミ)
  • 和久産巣日神(ワクムスビノカミ)
たくさんの神々を産み出したイザナミでしたが、その後やけどが原因で亡くなってしまうのです。

 

「禊」

イザナミを失ったイザナギは深い悲しみに暮れ、ヒノカグツチの首を切り落とし殺してしまうのですが、それでも気は晴れず、とうとうイザナミに会うため黄泉の国へ向かいます。

しかし、そこにいたのはあの美しい妻ではなく、朽ち果てた姿のイザナミでした。

変わり果てた姿を見られ怒ったイザナミは、イザナギを捕えるため追いかけますが、イザナギは何とか黄泉の国からこの世に戻ります。

イザナギは黄泉の国の穢れを落とすため、禊を始めます。

イザナギが身に着けていたものを投げ捨てると、その品々から神様が生まれ、体を洗うと、こすり落とした垢から神様が生まれ……そうしてイザナギの禊によって次々に神様が誕生していくのです。

そして、イザナギが水の中で体を清めている際に海の神が三神生まれました。
  • 底津綿津見神(ソコツワタツミノカミ)
  • 中津綿津見神(ナカツワタツミノカミ)
  • 上津綿津見神(ウワツワタツミノカミ)
この三神は、総称して綿津見三神(ワタツミノサンシン)と呼ばれています。

なお、綿津見三神はオオワタツミとは別の神様とされていますが、神社によっては同一神としているところもあるようです。

 

「海幸彦と山幸彦」

海の三神誕生から時は流れ、中つ国が平定された後の出来事です。

兄の海幸彦は海の幸を取って暮らしており、弟の山幸彦は山の幸を取って暮らしていました。

ある日、山幸彦は「自分も海の魚を取ってみたい」と兄に頼み込み、互いの道具を取り換えそれぞれ海と山に向かいましたが、お互いに狩りも釣りも上手くはいきません。更に山幸彦は兄の大切な釣り針を失くしてしまうのです。

怒った海幸彦は「他の釣り針を持ってこられてもだめだ。あの釣り針を取り返してこい」と山幸彦に命じます。

困り果て、浜辺で泣いている山幸彦のところに、シオツチという神様が通りかかります。

山幸彦から事情を聞いたシオツチはにこりと微笑むと小さな船を用意し、「この船に乗ってまっすぐ進み、ワタツミの宮という立派な御殿をたずねなさい」と助言をしてくれました。

山幸彦は船に乗り海の中へと進み、深い海の底でワタツミの宮を見つけます。そこで山幸彦は、ワタツミの娘であるトヨタマビメに出会い、ひと目で互いに心惹かれ合うのです。

トヨタマビメはさっそく父のワタツミに山幸彦を紹介します。ワタツミはトヨタマビメと山幸彦が強く惹かれ合っていることに気付き、すぐに婚礼の準備を整えます。

こうして山幸彦はワタツミの娘であるトヨタマビメと結婚し、ワタツミの宮で幸せな日々を送ります。

それから三年の月日が流れたある日、山幸彦は兄の釣り針のことを思い出し、そのことをワタツミに相談します。

するとワタツミは海中の魚を呼び集め、釣り針の行方を聞き、鯛の口の中から海幸彦の釣り針をあっという間に見つけ出してしまいます。

次にワタツミは鮫を呼び、山幸彦を地上に送り届けるように命じます。こうして山幸彦は無事に兄に釣り針を返すことができたのです。

地上に帰る前、ワタツミは山幸彦に「兄上が高いところに田を作ったらあなたは低いところへ、兄上が低いところに田を作ったらあなたは高いところへ田を作りなさい」と伝えていました。

その助言通りにすると、山幸彦の田にはたくさんの稲が実りました。
一方、海幸彦はどこに田を作っても稲が実らなかったのです。これはワタツミが水の流れを操り、山幸彦の田を潤してくれていたからなのです。

これらの神話から、ワタツミは大海原のような寛大な心を持ち、また魚や鮫、水の流れを自在に操る偉大な神様であったことが分かりますね。

 

大海神にまつわる神社

オオワタツミを始めとする海の神様を祀る神社は全国各地にたくさんあります。
  • 志賀海神社(福岡県)
  • 志賀神社(福岡県)
  • 風浪宮(福岡県)
  • 渡海神社(千葉県)
  • 穂高神社(長野県)
  • 二見興玉神社(三重県)
  • 大海神社(大阪府)
  • 志賀神社(大阪府)
  • 林神社(兵庫県)
  • 小江神社(兵庫県)
  • 田土浦坐神社(岡山県)
  • 由加神社本宮(岡山県)
  • 沼名前神社(広島県)
  • 水上神社(島根県)
  • 浜殿神社(長崎県)
  • 高千穂神社(宮崎県)
  • 鹿児島神社(鹿児島県)
  • 飯倉神社(鹿児島県)
  • 永尾神社(熊本県)
いずれもオオワタツミ、海の三神、ワタツミの娘であるトヨタマビメなど海に関わる神々を祀っています。

また、他にも海の三神を祀っている神社は、
  • 綿津見神社
  • 海神社
  • 海童神社
  • 少童神社
  • 和多都見神社
などがあります。

これらの神社は全国各地に点在しており、海の三神を祀っていることが多いのですが、オオワタツミの娘であるトヨタマビメを祀っている神社もあります。

このように、オオワタツミを始めとするとする海の神様を祀っている神社は全国に多数あるため、よろしければぜひ一度お参りに行ってみてくださいね。

 

おすすめの神社

上記で紹介させてもらった中でも、特におすすめな神社を紹介させてもらいます。

志賀海神社(福岡県)

博多湾の志賀島に鎮座している志賀海神社は、古来より「海神の総本社」や「龍の都」などとと称えられ、海上交通を守る総鎮守として篤い信仰を集めてきました。

志賀海神社では、イザナギが禊をした際に生まれた海の三神を御祭神として祀っています。

パワースポットとしても人気があり、森と海に囲まれたとても美しい神社です。玄界灘(げんかいなだ)という九州の海域を一望できる素晴らしい景色を眺めることもできます。

住所:〒811-0323 福岡県福岡市東区大字志賀島877
アクセス:都市高速香椎浜インターより志賀島方面25分
御祭神:底津綿津見神、仲津綿津見神、表津綿津見神
御利益:海上守護、交通安全、再生回帰の神、災厄祓除、病気平癒、健康長寿、家内安全、子供守護

 

大海神社(大阪府)/志賀神社(大阪府)

この二つの神社は大阪府にある有名な神社「住吉大社」の摂社です。

大海神社では、豊玉彦命(トヨタマヒコノミコト)と豊玉姫命 (トヨタマヒメノミコト)を、志賀神社では海の三神をそれぞれ祀っています。

オオワタツミとトヨタマビメ、そして海の三神、これら全ての神様を祀っている神社はなかなかありません。

住吉大社へ参拝に訪れた際には、ぜひ大海神社と志賀神社へのお参りも忘れずに行ってくださいね。

住所:〒558-0045 大阪府大阪市住吉区住吉2丁目 9-89
アクセス:南海本線「住吉大社駅」から東へ徒歩3分
御祭神:豊玉彦命、豊玉姫命、底津少童命、中津少童命、表津少童命
御利益:航海安全、豊漁、漁業繁栄、海上守護、災厄祓除、交通安全

 

大海神社の御朱印

先ほどご紹介させて頂いた、住吉大社の摂社である大海神社では御朱印を頂くことができます。

大海神社は摂社の中で最も社格が高く、国の重要文化財にも指定されています。

さて、そんな立派な神社である大海神社の御朱印はぜひとも頂いておきたいところですよね。しかし、大海神社の御朱印はいつでも頂けるわけではないのです。

大海神社では年に一度の10月13日に大海神社例祭(だいかいじんじゃれいさい)という例祭が行われます。この日は漁業協同組合や関連業者が多く訪れ、参拝客で賑わいます。

その大海神社例祭が行われる10月13日にのみ、大海神社の御朱印を頂くことができるのです。

年に一度しか頂くことのできない非常に貴重な御朱印なので、御朱印巡りをしている人は要チェックです。

 

綿津見神社の御朱印

綿津見神社は全国各地にあるのですが、熊本県荒尾市にある綿津見神社では少し変わった御朱印を頂くことができます。

正確には綿津見神社の隣にある四山神社で御朱印を頂くことになるのですが、どんな御朱印なのかというと、トヨタマヒメノミコトの可愛いイラスト付きの御朱印なんです。

アニメのようなイラストなので好き嫌いはあるかもしれませんが、ちょっと変わった御朱印が欲しい人にはぴったりだと思います。

四山神社では、トヨタマヒメノミコトの他にも、造化の三神・宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)・猿田彦大神(サルタヒコノオオカミ)のイラスト付き御朱印をそれぞれ頂くことができます。

熊本県荒尾市にある綿津見神社に参拝された際には、ぜひ隣の四山神社で御朱印を頂いてくださいね。

 

まとめ

海を司る神様であるオオワタツミについての紹介をさせてもらいました。

漁業、航海、農業など、海や水に関わる仕事をしている人にとってオオワタツミは非常にご利益のある神様です。

橋本ユリ
仕事だけでなく、これから船旅に行かれる方や海に遊びに行かれる方も、安全を祈願する目的でオオワタツミが祀られている神社を訪ねてみるのも良いと思います。

また、日本神話の中でオオワタツミが登場する「海幸彦と山幸彦」の物語は読み応えのある面白いお話なので、気になったらぜひ読んでみてくださいね。


これらの記事も合わせて読むと、開運の秘訣がわかります。

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