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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、新米巫女の橋本ユリが、
神社に関する知識をわかりやすく解説します。

豊受大神とは 【天照大御神のお食事担当】

2019年10月14日 2019年10月13日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

豊受大神(トヨウケオオカミ)とは伊勢神宮の外宮に鎮座し、天照大御神(アマテラスノオオミカミ)の食事を司る穀物と食物の神様です。

宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)などの食物神と同一視されることもありますが、宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)は京都伏見稲荷大社の主催神です。

橋本ユリ
天女の羽衣伝説の大元でもあると言われていたり、多くの神々と同一神とされていたりと謎が多い神様でもあります。
そのような中、天照大御神(アマテラスノオオミカミ)の食事を司る重要な役割を持っている豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)は一体どんな神様なのでしょうか?その謎を紐解いて行きます。


それでは参りましょう!

豊受大神とは


豊受大神(トヨウケオオカミ)は、別名を豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)ともいいます。伊勢神宮の外宮である『豊受大神宮』に祀られている女神です。

食物を育てる霊力を象徴する和久産巣日神(ワクムスビノカミ)の娘であり、天照大御神(アマテラスノオオミカミ)の食べる食物を調達する役割を持っています。

その役割から食物を司る神と言われていて、ほぼ同じ性格を持つ宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)、オオゲルヒメ神、ウケモチ神、ワカウカノメ命と同一神とされることが多いです。
これらの御神名に共通するのが『ウケ』『ケ』という食物を意味する言葉が含まれていることです。豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)の『ウケ』もやはり食物を指しており、『トヨ』は豊かなという意味です、『ビメ』は女性を表す言葉なので、豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)とは豊かな食物の女神という意味の名前になります。

同一の神と考えられる宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)は京都の伏見稲荷大社の主祭神であり、稲荷神(お稲荷さん)として全国各地で信仰されている穀物神、
食物神です。そのため稲荷神社の中には豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)も同時に祀っている所も存在します。

また伊勢神宮内宮を総本社とし、天照大御神(アマテラスノオオミカミ)を主祭神とする神明神社では、ともに祀られることがほとんどです。

一方、外宮の神職である度会氏(わたらいうじ)による伊勢神道(度会神道)では、豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)と国之常立神(クニノトコタチノカミ)と同じ神と考え、世界に最初に現れた始源神としました。そのため天照大御神(アマテラスノオオミカミ)よりも豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)を重視していると言われています。

 

別名


御神名の『ウケ』は、食物という意味です。その食物という関係性から、記紀神話において大宜都比売神(オオゲツヒメ)、宇迦之御魂神(ウケノミタマ)、あるいは大年神(オオトシノカミ)や保食神(ウケモチノカミ)などとも同一神だとも考えられています。

例えば延喜式祝詞(えんぎしきのりと)の大殿祭(おおとのほがい)という宮廷殿舎の災害を予防し、平安を祈願する儀式に出てくる祝詞の中に、屋船豊宇気姫命(やふねとようけひめのみこと)が出てきます、屋船豊宇気姫命(やふねとようけひめのみこと)は稲の霊として記されていてまた豊受大神と同一神とされています。

豊受大神(トヨウケノオオカミ)は日本書記には登場せず、古事記にこのように記述されています。『登由気(トユケ)の神、こは度会に坐(いま)す神ぞ』。
豊受大神(トヨウケノオオカミ)は同一神とされている神々がいますが、呼称や読み方も多数あります。以下に豊受大神の呼称を記載します。

  • 豊受大御神(トヨウケノオオミカミ)

  • 豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)

  • 豊宇気美売神(トヨウケビメノカミ)

  • 豊由宇気神(トユウケノカミ)

  • 豊受気媛(トヨウケノヒメ)

  • 登由宇気神(トユウケノカミ)

  • 大物忌神豊岡姫(オオモノイミノカミトヨオカヒメ)

  • 屋船豊宇気姫命(ヤフネトヨウケヒメノカミ)


 

ご神格


豊受大神(トヨウケノオオカミ)は稲作、五穀、食物全般の豊穣を司る食物の神として知られています。

なお中世には、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)、国之常立神(クニノトコタチノカミ)といった重要な神々と同神ともされ、さらには天照大御神(アマテラスノオオミカミ)を祀る皇大神宮と同じく、皇の字をつけて、豊受皇大神宮(トユケコウタイジングウ)と呼ぶことも見られました。

 

ご利益


豊受大神(トヨウケノオオカミ)は穀物、食物の神と言われていますが、食だけではなく、次のような御利益もあります。

  • 農業守護

  • 衣食住守護

  • 産業振興

  • 開運招福

  • 厄除け


農業はもちろんですが、工業や漁業などで生み出した産物が豊かに収穫でし、恵みが人々にもたらせられるように見守ってくださっている女神さまなのです。なので産業を復興させ、開運招福、厄除けもあげられます。

 

豊受大神の神話


豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)には、伊耶那岐命(イザナギノミコト)と伊耶那美命(イザナミノミコト)の御子である和久産巣日神(ワクムスビノカミ)の御子として誕生したという古事記の話のほかに『丹後国風土記』には奈具社(羽衣伝説の元)の縁起として次のような話が記述されています。

ある日、丹波国の泉に天女が舞い降りて水浴びをしていました。それを見ていた老夫婦が一人の天女の羽衣をを隠してしまいます。
羽衣を隠された一人の天女は天に帰れなくなってしまい老夫婦の養女となります。この天女が豊受大神(トヨウケノオオミカミ)なのです。

豊受大神(トヨウケノオオミカミ)は酒造りがうまく、その酒が高く売れて老夫婦は大金持ちになります。当時の人にとって米と酒は一番大切な食べ物でした。
その水と米を兼ね備え、人を陽気にさせる酒はとても貴重な物でした。

伊勢神道では天照大御神(アマテラスノオオミカミ)が祀られている内宮を北極星、外宮を北斗七星に対応させたといいます。

北斗七星は柄杓の形をしています。柄杓を意味する『斗』が豊受大神(トヨウケノオオミカミ)の『ト』に当てられたと言われています。そして北斗七星は富貴や寿命を司る神様だとされています。また江戸時代みんなの憧れだった伊勢神宮の参拝では柄杓に片手を持って歩くと、その柄杓にお金や米などの施しを頂いたそうです。

上記の天女の羽衣の話は、静岡県静岡市清水区に伝わる『三保の松原』天女の羽衣伝説の大元だと言われています。

 

豊受大神の伊勢神宮秘話


『古事記』には豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)は天孫降臨のあと外宮の度会(わたらい)に鎮座したと記されているのみで、いつ頃、どんな経緯で祀られるようになったのかは記されていません。

伊勢神宮外宮の社伝である『止由気宮儀式帳(とよけぐうぎしきちょう)』によれば、雄略天皇の夢枕に天照大御神(アマテラスノオオミカミ)が現れ、『一人では安らかに食事ができないので、丹波国(現在の京都府中部と兵庫県北東部)の比沼真奈井(ひぬまのまない)にいる御饌(みけとは天照大御神(アマテラスノオオミカミ)の食事のこと)の神を近くに呼びなさい』と神託を受けました。そこで、丹波国から伊勢国の度会に遷宮させたといいます。

この呼び寄せられた神様ですが、一説には丹波国の奈具社(なぐやしろ)に祀られた穀物の女神、豊宇賀能売(トヨウカノメ)の神ではないかと言われています。御神名も酷似しており、興味深いことです。

 

豊受大神と伊勢神宮外宮先祭とは?


伊勢神宮には『外宮先祭』という言葉があり、重要な祭りはすべてまず『外宮』から始められることになっています。

何故『内宮』からではなく『外宮』からなのでしょうか?

諸説あるのですが、天照大御神の御神託で丹波国(京都)から伊勢へ遷宮した際に、天照大御神が約束事として言ったという説もあれば、豊受大神は天之御中主神と同一神ともされています。

天之御中主神は古事記において一番最初に姿を表し宇宙の中心とされています。すなわち天照大御神よりも上の神様だと考えられているからです。

なので、そちらへ敬意を表して先にお参りする先に祭りごとを行うと言われています。

 

豊受大神を祀る神社


豊受大神(トヨウケオオカミ)は、どこの神社に祀られているのでしょうか?

同一神とされている神様も多いため、たくさんの神社でお参りすることができます。

 

伊勢神宮・外宮(三重県伊勢市豊川町)


今から約1500年前に、天照大御神のお食事を司る神様として丹波国(京都府)から伊勢神宮にお迎えされたのです。内宮の鎮座から約500年後のことです。

 

篭神社(京都府宮津市大垣)


篭神社は『伊勢神宮のふるさと』と言われています。境内には伊勢神宮との深い結びつきがうかがえる箇所が何か所もあります。そして貴重な秘宝も受け継がれているのです。

 

豊受大神(神奈川県海老名市)


創建時期は不明ですが、祀られている神様は豊受大神で拝殿には江戸期の絵馬3面が伝わっており、いずれも海老名市指定の重要文化財となっています。

豊受大神(トヨウケオオカミ)と同一神と考えられている宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)は京都・伏見稲荷大社の主祭神です。宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)は『お稲荷さん』と呼ばれ信仰されています。

 

豊受大神(トヨウケオオカミ)の御眷属


豊受大神(トヨウケオオカミ)は、前述したように宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)と同一神として考えられていて、宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)は『お稲荷さん』と親しまれているようにキツネと深い関係があります。

神社でよく見かけるキツネの像、あのキツネは『お稲荷さん』つまり宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)のお供であると言われています。

何故キツネと縁深いのでしょうか?宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)は別名を『ミケツカミ』といい、その『ケツ』という言葉がキツネの古い言い回しと言われています。そのために縁があると考えられるようになりました。またキツネは冬眠から覚めて春になると下山してくるという習性から五穀豊穣を連想させる点も多いです。

 

豊受大神(トヨウケオオカミ)の父神


豊受大神(トヨウケオオカミ)の父神、和久産巣日神(ワクムスビノカミ)は伊耶那美命(イザナミノミコト)が火の神火之迦具土神(ヒノカグツチカミ)を出産した際にやけどを負い病床に伏せってい時に「ゆまり(尿)」から現れた神様です。

尿は肥料になることから、ゆまりから現れた和久産巣日神(ワクムスビノカミ)は大地に活力を与える存在だと考えられています。御神名の『ワク』は若々しい、『ムスビ』は生成の霊力を意味するので、水の持つ若々しい生成力を象徴する神様ろ解釈するのが一般的です。

水は農耕にいおいて欠かせない大切な存在であり、こうした和久産巣日神(ワクムスビノカミ)は豊穣をもたらす農耕神、生産神と考えられるようになりました。

このようなところから、和久産巣日神(ワクムスビノカミ)の娘である豊受大神(トヨウケオオカミ)は食物神、穀物神であり、このことから和久産巣日神(ワクムスビノカミ)が穀物神としての性格をもっていることが分かります。

一説には、豊受大神(トヨウケオオカミ)は現れる前段階として考えられたのが、和久産巣日神(ワクムスビノカミ)とも言われています。
和久産巣日神(ワクムスビノカミ)の頭から桑と蚕が、ヘソの中に五穀が生じたといわれていて、オオゲツヒメノカミやウケモチカミと同じ五穀の起源にまつわる神様で、五穀の神、食物の神です。

愛宕神社(京都市右京区)では娘の豊受大神(トヨウケオオカミ)とともに祀られています。ご利益は農耕守護、五穀豊穣のほか、水の神様であることから祈雨・止雨の神徳もあるとされ、特に農業に関係する人々からの信仰が厚いのです。

 

まとめ


生きていくうちに欠かせない食材、神様への献上にも地元の名産品が捧げられることがよくあります。それは、例えばお酒だったら『このおいしいお酒をまず神様に召し上がっていただこう』という素直な心が大切なのです。そして食材には神霊の力が込められています。

神拝の作法には『直会(なおらい)』という作法があります。

そして、食前食後の神歌というものがありその歌の中に『朝よいに物食うごとに豊受(とようけ)の神のめぐみを思え世の人ごちそうさま』という節があります。これは伊勢神宮・外宮の神、豊受大神(トヨウケオオカミ)への感謝を表しています。

このように豊受大神(トヨウケオオカミ)は食物の神として人々に欠かせない神様です。

橋本ユリ
そして、食事は身体を作り上げるとても大切な源です。普段好き嫌いが多かったり、食事を粗末にしてしまう、感謝の心を忘れて、「ここのごはん美味しくないね」など軽く言ってしまうことがあったりしませんか?

どんな食材も食事も神様のめぐみを得て私たちに届けられているのです。そのありがたい心を忘れないようにしていけたらいいですね。

この記事をまとめた人

橋本ユリ
橋本ユリ
神社チャンネルのメインキャラクター。北極神社の新米巫女。2017年、神社参拝セミナーで羽賀ヒカルと出会い、日本人の良さと伝統を伝えていきたい!という思いから、この神社チャンネルサイトが始まりました。(という設定です。)

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