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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

【豊玉姫】乙姫様のモデル?豊玉姫の悲しい恋の神話とは

2019年12月6日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

豊玉姫は『古事記』や『日本書紀』などの神話に登場する女神さまです。初代天皇である神武天皇の祖母として知られています。

豊玉姫の名前を聞く機会は少ないかもしれませんが、竜宮城の乙姫様と言えば誰もが知っているのではないでしょうか?

橋本ユリ
実は豊玉姫は、昔話『浦島太郎』に登場する乙姫様のモデルとなった女神様なのです。


では、浦島太郎のモチーフになった豊玉姫の神話とはどのようなものだったのでしょうか?今回の記事では豊玉姫の神話やご利益について紹介をしていきます。

それでは参りましょう!

豊玉姫(トヨタマヒメ)とは

豊玉姫は海の神様である大海神(オオワタツミ)のもとで生まれ、ワタツミの宮で育ちました。ワタツミの宮は海の奥深くにあり、竜宮城のモデルになったとされています。

ある日、ワタツミの宮に山幸彦(ホオリノミコトの別称)が兄の釣り針を求めてやって来ます。そこで豊玉姫と出会い、お互いひと目で心惹かれ合ってワタツミの宮で結婚します。

豊玉姫と結婚をした山幸彦が、浦島太郎のモデルとなった神様です。

山幸彦は、海底から地上に帰るときに、豊玉姫から「潮満珠(しおみつたま)」と「潮干珠(しおひるたま)」を持たされます。この2つの玉は、潮の満ち引きを操れる不思議な力を持っており、玉手箱のモデルになったとされています。

浦島太郎のストーリーと違うところはありますが、このように豊玉姫と山幸彦の物語がモチーフになっています。

 

別名

豊玉姫は『古事記』と『日本書紀』でそれぞれ表記名が違います。

『古事記』

  • 豊玉毘売
  • 豊玉毘売命

『日本書紀』

  • 豊玉姫
他に「和多都弥豊玉比売命(ワタツミトヨタマヒメノミコト)」という別名があります。これは、大海神の娘である豊玉姫という意味です。

「玉」という言葉には「神の御霊(みたま)」という意味が込められており、古来より玉の字を持つ女性は巫女の力を持つとされていました。

そのため、豊玉姫の名前には「豊かな神の御霊が依りつく巫女」といった意味があると言われています。

 

ご神格

豊玉姫には三つのご神格があります。
  • 水の神
  • 祈雨の神
  • 聖母神
  • 福の神
豊玉姫は、海を司る神である大海神を父に持ちます。そのため海や水の神様として祀られることが多く、神社によっては雨をもたらす神様としても信仰されています。

また、夫の火遠理命(ホオリノミコト)との間に息子をもうけることから、聖母神だとも言われます。

他に、様々な幸運を呼び込む福の神だと言われることもあります。

 

ご利益

豊玉姫には様々なご利益があります。
  • 安産
  • 子宝
  • 子孫繁栄
  • 縁結び
  • 漁業繁栄
  • 農業守護
  • 航海安全
  • 開運招福
安産など子供にまつわるご利益の他、海や水に関するご利益や福を呼び込むご利益があります。

 

豊玉姫(トヨタマヒメ)の神話

橋本ユリ
それでは、乙姫様のモデルとなった豊玉姫の神話について見ていきましょう。


物語は、ホオリノミコトがワタツミの宮を訪れるところから始まります。

 

海幸彦と山幸彦

火遠理命(ホオリノミコト)は山の幸をとって暮らしていたため「山幸彦」と、兄の火照命(ホデリノミコト)は海の幸をとって暮らしていたため「海幸彦」と呼ばれていました。

ホオリとホデリは、天照大神の孫である瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の息子です。

ある日ホオリは、海の幸を取ってみたくなり、兄のホデリに頼み込んで互いの道具を交換します。釣り道具を借りて海の幸をとろうとしたホオリでしたが、思うように魚はとれません。しかも、ホデリに借りた釣り針を失くしてしまうのです。

怒ったホデリに「必ず失くした釣り針を持ってこい」と言われたホオリは途方に暮れ、浜辺でしくしくと泣いてしまいます。

するとそこに塩椎神(シオツチノカミ)という神様が通りかかり、一体どうして泣いているのかと尋ねました。ホオリが事情を説明すると、シオツチは竹を細かく編み上げた船を用意し「この船に乗ってワタツミの宮を目指しなさい」と言います。

ホオリが「ワタツミの宮に辿り着いたらどうしたらいいのですか?」と聞き返すと、シオツチは「泉のほとりの桂の木の上で、ワタツミの神の娘を待ちなさい。その娘がきっとあなたを助けてくれるでしょう」と言いました。

 

ホオリと豊玉姫の出会い

広い海原をまっすぐに進んでいくと、やがてホオリの目の前に立派な御殿が見えてきました。ホオリは御殿の門の傍らに泉と桂の木を見つけ、木の上でワタツミの娘を待つことにしました。

しばらく待っていると、水がめを持った侍女が泉に現れます。水をくもうとした侍女は、泉にキラキラと何かが光っているのを不思議に思います。光の正体は、ホオリの首飾りについていた美しい玉だったのです。

侍女が桂の木を見上げると、ホオリがこちらを見ていることに気付きました。ホオリは侍女に向かって「水を一口飲ませてほしい」と頼みます。侍女がホオリに水がめを差し出すと、ホオリは水を飲む代わりに首飾りの玉を一つ、水がめの中に落としました。

ホオリが落とした玉は、不思議なことに水がめの底に張り付いて離れません。仕方なく、侍女は玉の入った水がめをそのまま豊玉姫のところへ持ち帰りました。

豊玉姫が「この美しい玉はどうしたの?」と尋ねると、侍女は「桂の木の上にいる麗しい男性が落としていかれました」と答えます。気になった豊玉姫は自らホオリに会いに行きます。

豊玉姫は泉の前に立つと、桂の木を見上げました。すると、木の上にいた凛々しい若者ーーホオリと目が合います。じっと見つめ合うふたりは、すでに心惹かれ合っていました。

 

ホオリと豊玉姫の結婚

豊玉姫は父の大海神に、ホオリが来たことを報告しました。大海神はホオリを見つけると「天津神の御子ではないか。ぜひ我が家へお入りください」とホオリをワタツミの宮へ招き入れます。

大海神は、自分の娘とホオリが惹かれ合っていることに気付き、すぐに婚礼の準備を始めます。こうしてホオリと豊玉姫は、ワタツミの宮で結婚しました。

それから、豊玉姫とホオリは幸せな日々を過ごします。あっという間に三年の月日が流れたとき、ホオリは兄の釣り針のことを思い出しました。悩むホオリはそっと溜息を漏らします。

夫の溜息を豊玉姫は聞き逃しませんでした。心配になった豊玉姫は大海神に相談をします。大海神がホオリを呼び出し「何か心配ごとかな」と尋ねると、ホオリは釣り針のことを打ち明けました。

大海神は「そんなことか」と頷き、海中の魚を呼び集めました。そして魚たちに釣り針の行方を尋ね、すぐに釣り針を見つけて出してしまいます。

ホオリは兄に釣り針を返すため、地上へ戻ることになりました。その際、ホオリは豊玉姫から不思議なふたつの玉を渡されます。この二つの玉の名前は「潮満珠」と「潮干珠」といい、潮の満ち引きを自在に操れる玉だったのです。

 

豊玉姫のお産

地上に戻ったホオリは兄に釣り針を返します。その後、大海神に授けられた知恵と、豊玉姫に授けられた玉を使い、兄との争いをおさめます。

こうして、ニニギの三人の息子のうち、末っ子のホオリが中つ国をおさめることになりました。

それからしばらくすると、ワタツミの宮から豊玉姫がはるばるホオリに会いにやってきます。豊玉姫はホオリとの子を身ごもっていました。

ホオリは豊玉姫のために浜辺に産屋を建てさせます。柱を立て、鵜の羽で小屋の屋根を覆いました。しかし、まだ鵜の羽が葺き終わる前にお産のときが迫り、豊玉姫は産屋にこもることになったのです。

豊玉姫は「海の国のものである私は、お産のとき元の姿に戻ります。恥ずかしいので決して中を覗いたりはしないでくださいね」と言い、ホオリを産屋から遠ざけました。

しかし、ホオリは待っている間に豊玉姫のことが気になって仕方がありませんでした。そして、とうとう鵜の羽の間から産屋の中を覗いてしまいます。

産屋の中では、八尋もある巨大な鮫がのたうち回っていました。それを見たホオリはたまらず逃げ出してしまいます。

豊玉姫は無事に男の子を出産しました。子供は鸕鶿草葺不合命(ウガヤフキアエズ)と名付けられます。「鵜の羽が葺き終わる前に生まれた子」という意味があります。

豊玉姫はホオリが産屋を覗いていたことを知り、とても恥ずかしがりました。そして「あの姿を見られてしまった以上、もうあなたのもとへやって来ることはできません」と言い残し、ワタツミの宮へと帰って行ってしまうのです。

中つ国には、ホオリとウガヤフキアエズが残されました。

 

豊玉姫の歌

豊玉姫は、ワタツミの宮へ帰ってからも、愛しい子供のことが忘れられずにいました。そこで妹の玉依姫(タマヨリヒメ)を中つ国へつかわし、ウガヤフキアエズの世話をしてもらうことにしたのです。

豊玉姫は玉依姫に息子の様子を聞き、そして歌を言づけてホオリに届けました。ホオリもまた、玉依姫に歌を言づけて豊玉姫に届けていました。

互いに愛し合っていたにも関わらず、豊玉姫とホオリが会うことは二度となかったのです。

ホオリはその後も高千穂で中つ国をおさめつづけ、580歳で崩御されました。

ウガヤフキアエズは後に玉依姫と結婚し、四柱の子供をもうけます。そのうちの末っ子が後の初代天皇である神武天皇となるのです。

豊玉姫は、神武天皇の祖母にあたることになります。

 

豊玉姫(トヨタマヒメ)を祀る神社

豊玉姫神社(佐賀)

豊玉姫神社は、佐賀県の嬉野温泉に鎮座している神社です。

境内の「なまず様」に、ひしゃくで「願い水」をかけてお参りをすると、美肌のご利益があるとされています。素肌健康・しわ退散・皮膚病退散など具体的な願いを込めてお参りをしましょう。

美肌の湯で有名な嬉野温泉と一緒に観光ができるとして、女性からの人気が高い神社です。美肌祈願がしたい人はぜひ一度足を運んでみてください。

住所:〒843-0301 佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙2231-2
アクセス:鹿児島交通バス「知覧」下車で徒歩10分

ご祭神:豊玉姫命
ご利益:美肌祈願、安産、子宝、子育て

 

鹿児島神宮

鹿児島神宮は「海幸彦と山幸彦」の神話の伝承地とされています。山幸彦と豊玉姫が主祭神として夫婦で祀られています。

こちらの神社では、獅子の壁画や宝刀剣、八幡宮銅鏡など貴重な文化財を見ることができます。

また、境内には「石體神社(しゃくたいじんじゃ)」という安産祈願で有名な神社があります。境内に積まれた石を持ち帰ると、安産のご利益があるとされています。

住所:〒899-5116 鹿児島県霧島市隼人町内2496-1
アクセス:JR日豊線「隼人駅」より徒歩15分

ご祭神:彦火火出見尊、豊玉姫命
ご利益:安産、家内安全、心願成就、商売繁盛、厄除け

 

和多都美神社

こちらの神社では豊玉姫とホオリが夫婦で祀られています。二つの鳥居が海中に立っていることで有名です。

和多都美神社には竜宮伝説が残されているというだけあって、雰囲気や景観が非常に荘厳です。潮の満ち引きによって変わる景色も必見です。

住所:〒817-1201 長崎県対馬市豊玉町仁位55
アクセス:対馬空港より車で30分

ご祭神:豊玉姫命
ご利益:漁業繁栄、航海安全、縁結び、安産祈願

 

海神神社

こちらの神社では豊玉姫とホオリ、そして息子のウガヤフキアエズを祀っています。家内安全や子孫繁栄などのご利益があります。

境内にある「峰町ふるさと宝物館」では、重要文化財に指定されている銅造如来立像など貴重な文化財を見ることができます。

住所:〒817-1303 長崎県対馬市峰町木坂247
アクセス:対馬空港より車で1時間

ご祭神:豊玉姫命、彦火火出見尊、鵜茅草葺不合尊
ご利益:安産祈願、子孫繁栄、子授かり、家内安全、航海安全

 

豊玉姫神社(鹿児島)

鹿児島県の豊玉姫神社では、毎年7月に開催される「水車からくり人形」が有名です。江戸時代から続く伝統のある行事で、ここでしか見ることができません。

水車の動力を利用した人形の細かい動きは圧巻です。ぜひ一度見に行ってみてください。

住所:〒897-0302 鹿児島県南九州市知覧町郡16510
アクセス:鹿児島中央駅からバスで1時間20分

ご祭神:豊玉姫命、豊玉彦命、玉依姫、彦火火出見尊
ご利益:安産祈願、子宝、子授かり、家内安全、航海安全

 

まとめ

橋本ユリ
豊玉姫の神話やご利益について紹介させてもらいましたが、いかがでしたでしょうか。


乙姫様のモデルとなった豊玉姫の神話を見てみると、ホオリと悲しい恋をしていたことが分かります。浦島太郎も悲しい話でしたが、豊玉姫とホオリの神話はまた違った悲しさがありますね。

もし気になったら、ぜひ豊玉姫の神話と乙姫様の物語を読み比べてみてください。

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