神社チャンネル

神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

素戔嗚尊(スサノオノミコト)

2017年11月19日

橋本ユリ
こんにちは、北極神社の新米巫女、橋本ユリです。
今回は、龍殺しの英雄なのに、実はマザコンで娘と妻を溺愛する、ムチャクチャだけど憎めない神様を紹介します。

神話

スサノオの誕生

イザナギ、イザナミの夫婦神は、日本の国を作り神々を生みましたが、火の神を生んだとき、イザナミはやけどを負って亡くなってしまいました。イザナギは、愛する妻イザナミを黄泉の国まで迎えに行ったのですが、「見てはならない」の禁忌を破り、変わり果てたイザナミの姿を見てしまいます。怒ったイザナミに追われてかろうじて逃げ延びたイザナギは、千引きの岩で黄泉の国との通路をふぜぎ、イザナミに離縁を申し出ました。

その後、黄泉の国の穢れ(けがれ)をはらうために、水に入って禊(みそぎ)をし、そのときにも色々な神様が生まれました。

最後に左目を洗うとアマテラス大神が、右目を洗うとツクヨミが、鼻を洗ったときに生まれたのがスサノオでした。イザナギは大喜びです。

「なんと素晴らしい。最後に立派な神々が生まれた!
アマテラス大神は高天原を、ツクヨミは夜の国を、スサノオは大海原を治めなさい」

イザナギはそう伝えました。

スサノオの追放 (スサノオ語り)

俺が生まれた時、姉さんと兄さんが明るく輝いていたのを覚えている。特に姉ちゃんはまぶしいくらいキラキラで、見るからに高位の女神様だ。兄ちゃんだって、柔らかい光に包まれておっとり笑っている。

俺だけなんで輝いてないんかなあ~。太陽と月ときたら、星じゃないの、俺?

父ちゃんはすごく嬉しそうに姉ちゃんに首飾りを掛けて高天原を、兄ちゃんに夜の国を、俺には海を治めるように言った。ええ~~。姉ちゃんと兄ちゃんは天の昼と夜で、俺は地上の海か?

それならいっそ母ちゃんのいる黄泉の国に行きたいよ。そう思ったらもう我慢できない。

母ちゃ~~ん。会いたいよお~~!!!
うわあああ~~~ん!!

俺は、泣きに泣きに泣いた。俺の大声は嵐になった。青々した山を枯れさせ、河も海も干上がり、悪霊がハエのように湧いてあらゆる災いが起きていた。そんなことも気づかないくらい、俺はひたすら泣いた。

うおお~~~。一目でいい。母ちゃんに会いたいんだよお~~~。

俺は、髭が胸に伸びるまで泣き続けていたから、たまりかねて父ちゃんがやってきた。

「おまえ、海を治めるように言っただろう。なんでこんなにでかくなっても、泣いてばかりいるんだ!」

俺は言った。

「父ちゃん、俺、死んじゃった母ちゃんに会いに、根之堅洲国(ねのかたすくに)に行きたい!」

それを聞いた父ちゃんは、すごく怒った。

「お前、そんなこと考えているのだったら、もういい。この国に住むな。出ていけ!」

へん、なんだい。父ちゃんも黄泉の国に行ったくせに。子どもが母ちゃんに会っちゃいけないのかよ。

追放上等だ!こんなところ、出て行ってやらあ。

俺は、母ちゃんの国に行けてむしろ嬉しかった。でも、姉ちゃんには、行き先を言って挨拶しとこう。

光り輝く姉ちゃんに、俺はひそかに憧れている。俺は高天原に上っていった。

アマテラス大神との誓約(うけい=占い)

追放されてちょっとやさぐれた気分だったから、ドスンドスン乱暴に歩いたら、高天原はぐらぐら揺れた。

警戒されたのか、姉ちゃんは男の戦装束で弓を振り上げ、地面にめりこむほど足を踏みしめて立っていた。

「スサノオ!なにしにやってきたの!」

「え~。姉ちゃん。俺、悪いこと考えていないって。父ちゃんに母ちゃんの国に行きたいって言ったら、スゲー怒ってさ、出ていけ~って言うんだよ。で、これから黄泉の国に行こうと思ってるんだけど、姉ちゃんには挨拶しとかなきゃって思って来ただけ。」

「信じられないわ。それ、どうやって証明するのよ」

「誓約(うけい=占い)をしようか。それぞれが子を産むってどう?」

それで俺たちは天の安河(あまのやすかわ)をはさんで向かい合った。

俺が先に自分の剣を渡すと、
姉ちゃんは剣をバキバキ3つに折り、真名井の井戸ですすぐ。
それをバリバリかみ砕いて、フッと吹くと、その霧の中から、美人三姉妹の女神が現われた。

姉ちゃんやるなあ、よし、俺もがんばるぞ。

姉ちゃんの右の角髪(みずら=男の髪形)に巻いた勾玉飾りを洗い清め、かみ砕いて吹きだした。

すると立派な男の子がうまれた。

名前が面白くて、「正勝吾勝勝速日天之日天の命(まさかつあかつあめのおしほみみのはやひ)=正に勝った、私は勝ったアメノオシホミミノカミ」こりゃ、もう勝っちゃったなあ。

その後、姉ちゃんの左の角髪の玉飾り、額の蔓飾りの勾玉、左右の手の勾玉もかみ砕いて吹き出したら、
凛々しい男神ばかり、全部で5人生まれた。アメノホヒアマツヒコネイクツヒコネクマノクスヒ

ふふん、どうだ、姉ちゃん!

そしたら、姉ちゃんが言うんだ。

「あとから生まれた5柱の神は、私の持ち物から生まれたのだから、私の子。先に生まれた3柱の女神が、あなたの子よね。(アメノオシホミミは私の子よ!)

俺は、負けじと声をはりあげた。

「そうでしょう!これで、俺の心が清く正しいことが証明された。だって、俺の生んだ子は、みんな清らかな女神だった。俺の心がきれいだから、優しい女神が生まれたんだ。だから、俺の勝ち!

それ以上、姉ちゃんが何か言う前に、俺はガッツポーズで勝った、勝った~~~と叫んで走り去った。

先に言ったもん勝ちだよ。誓約(うけい)のルールを決め忘れてたから、文句言えないでしょ?

振り返ると、姉ちゃんは、黙って俺を見送っていた。

天の岩戸隠れ

俺は、勝ったものの、ムシャクシャしてた。父ちゃんも姉ちゃんも俺のこと分かってくれない。

俺は、母ちゃんが好きで、姉ちゃんも好きなだけなのに、みんな俺をダメダメな乱暴者扱いする。

くそ~、もう、本当にぐれてやる!

走り回って、田んぼの畦(あぜ)を踏み壊してやった。用水路が土で埋まり、水が田んぼに行かなくなった。

それから、姉ちゃんの食事を供える神殿に、ウンコしてやった。

俺はさらに色々やったんだけど、お咎めはない。無視されたみたいで、気分が悪い。

よーし、さすがに姉ちゃんでも怒るしかないことをしてやろう!

俺は、ブチ模様の馬を捕まえて、その皮を尻から剥いた。(これは禁忌の皮の剥き方だ)

そして、姉ちゃんの機織り神殿の屋根に登った。

そこは清らかな乙女たちが、神聖な衣装を織っている場所で、姉ちゃんは機織り工場長というところだ。

俺は屋根をぶち抜いて、気味悪い姿になっている馬の死骸を落としてやった。

案の定、娘たちはキャーキャー叫んで逃げ惑う。大騒ぎを面白いと思って見てたら、ひとりの娘が倒れたはずみに、機織りの道具を下腹に突き刺して死んでしまった。これは予想外だ。

姉ちゃんは、ちょうど神殿にいて、全部を見てたから衝撃が大きかったようだ。

血相を変えてそのまま神殿を走り出ると、天の岩屋戸に入り、ぴったり戸を閉めてしまった。

とたん、あたりは真っ暗になった。そういえば、姉ちゃんは太陽の神だった。

これはまずい。やりすぎてしまった・・・。

昼が来ない夜だけの世界に、たくさんの神々の不安の声がわきあがり、あらゆる災いが起きた。

八百万の神々は、天の安原に集まって、知恵の神オモイカネの提案した祭を始めた。アメノウズメが陽気に踊り、神々は笑い、不思議に思った姉ちゃんはつい岩屋戸から顔を出して、怪力のタジカラオに連れ出された。これで、太陽がまた出ることになった。正直俺もホッとした。

それから、神々は、姉ちゃんが岩屋戸に隠れる原因になった俺を、どう処罰するか相談した。

俺は、千倉の置戸(ちくらのおきと)という罰を受けて、千の台の上に様々な貢物を載せて、高天原の神々に差し出した。

さらに神々は、俺の髪の毛を剃り、手足の爪をはいだ。これは穢れを落とすためでもある。

その上で、俺は「高天原から追放する決定」を告げられたのだった。

スサノオの追放

まあ高天原は立ち寄っただけだし、いずれ出ていくつもりだったからいいさ。俺は高天原を出て行った。

それにしても腹が減ったな。ここらへんに食べ物の神、確かオオゲツヒメが住んでいるはずだ。

見ると、地上近いところに家があった。うまそうな料理の匂いがしてくる。

「おーい、オオゲツヒメは、おられるか?腹が減っているのだ。何か食べ物をもらえないか?」

オオゲツヒメは食べ物の神らしい、ふくよかで人の好さげな女神だった。

「あらまあ、スサノオ様。今から旅立ちか。よろしゅうございます。美味しいものを用意しましょう。たくさん食べて元気をお出しくださいな。」

オオゲツヒメは、そういうと、食べ物を出してくれた。

うまい!さすがは食べ物の神の料理だ!腹が減っていた俺は、あっという間に食べてしまった。

ニコニコ見ていた姫は「もっと、色々お持ちいたしましょう」と言って、家の奥へ入って行った。

こんなうまい料理、どんな材料でどうやって作っているのかなあ?

俺はこっそり覗いてみた。すると・・・。

オオゲツヒメは、鼻をかみ、ゲロをし、お尻からはうんこを出した。しかも、それを器に盛り付けている。(それが本物の食べ物になるのだが、スサノオはそんなこととは知らない。)

「おのれ、俺をバカにするのか!食べちゃったじゃないか~~」

俺は怒りのあまり、オオゲツヒメを切り殺した。オオゲツヒメの死体からは、ザラザラと何かがこぼれ出た。

頭からは蚕、目からは稲、耳からは粟、鼻からは小豆が、陰部からは麦が、尻からは大豆が生ったのだ。

「こんなもの、食べられんわー」俺は、空腹を抱えながら地上に向かった。

(高天原の高いところからこれを見ていたカミムスビの神は、「スサノオの奴、また無茶をやりおって・・・」と言いつつ、「種」が無駄にならぬよう、地上の人々に授けたのだった。これが五穀の始まりになる。)

八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治

俺は空腹をかかえながら、地上に降りて行った。

うっそうとする森の中、何か食べるものはないかと探していると、川上から箸が流れてきた。

「これは・・・。川上には家があるということか。何か食べ物を分けてもらおう」

少し山道を登ると、果たして一軒の家が川のそばに立っていた。近づくと、中から泣き声がする。

見ると、美しい娘と老夫婦が大泣きしているではないか。

「おーい。お前たちは何者だ。なぜ、泣いているのだ?」と俺が問うとじいちゃんが答えた。

「この土地の神であるオオヤマツミの神の子で、私はアシナヅチ、妻はテナヅチ。娘はクシナダと言います。わたしには、はじめ8人の娘がいましたが、毎年遠い北の大地からヤマタノオロチがやってきて、ひとりずつ食べてしまうのです。もう娘はクシナダしかおりません。今年もまたオロチがやってくる時期になりました。この最後の娘まで生贄(いけにえ)になるのかと思うと、悲しくて泣いているのです。

「オロチとは、どんなものなんだ?」と俺が問うとアシナヅチが言う。

「その目はホオズキのように赤く輝き、頭は8つ、尾が8つ、体にはコケやヒノキ、杉などが生え、体の大きいことと言ったら、8つの谷、8つの峰にわたり、腹は血でただれて、いつも生贄を探しているのです。」

俺は、話を聞いている間も美しいクシナダに見とれていた。

「なんという化け物だ!これはほっておくことができないな。なんとかしてやろう。ところで、アシナヅチよ。もし俺がヤマタノオロチを退治したら、クシナダを嫁にくれるだろうか?」

「畏れ多いことです。しかし、私はまだあなたのお名前も存じ上げておりませんのです」

アシナヅチが、恐る恐る言う。

「俺はスサノオという。アマテラス大神の弟だ。今、天から降りてきたところよ」

それを聞いた老夫婦はとても喜んでくれた。

「そうでしたか。畏れ多いことでございます。喜んで娘を差し上げましょう」

そこで、俺は、娘を湯津爪櫛(ゆづつまくし=神聖な櫛)に変えて、髪に差した。

オロチ退治をする間も俺と共にいた方が安心だもんな。

そして俺は、アシナヅチとテナヅチに、こう命じた。

「オロチ退治に考えがある。8度繰り返して醸(かも)した強い酒を準備してくれ。垣根を作りそこに8つの穴をあけて台を置くのだ。そこに酒船(酒を入れる器)を乗せて、強い酒をなみなみと満たしてほしい」

2人は俺の命令どおりに懸命に働いてくれた。

準備万端で待っていると、聞いた通りのおぞましい姿でヤマタノオロチがやってきた。

空は真っ暗になり、稲光も走る。風は強く生臭くなってきて、すさまじい地響きがした。

暗闇に赤い目が16個ギラギラと光っている。とその動きが止まった。酒の匂いを嗅いだらしい。

8つの頭はズルズルと、垣根を押しつぶす勢いで酒に突進した。


しばらくあたりは強い酒の匂いとグビグビのどを鳴らす音だけが聞こえた。酒をすべて飲み終えるころ、オロチの頭は地に落ち、いびきをかきはじめた。

「いまだ!」俺は十拳剣(とつかのつるぎ)を抜いてオロチに切りかかった。


次々首をはね、胴体を切り裂いた。オロチの血がほとばしり、近くを流れる斐伊川(ひいかわ)は真っ赤に染まった。

尾を切り落としていると、カチーン!固いものに当たって剣が欠けてしまった。

何に当たったんだ?覗き込むと、それはそれは神々しい剣が出てきた。


「これはすごい神剣だ!霊力をビンビン感じるぞ。迷惑をかけちゃったし、姉ちゃんに差し上げよう」

アマテラス大神に献上されたこの剣は、のちに草薙の剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれ3種の神器のひとつとなった。

出雲の国に住む

さあ、これでクシナダ姫と新婚生活だ!新居を建てよう。どこがいいかなあ。

俺は、肥の川を下って行った。すると、豊かで穏やかな森が広がる山のふもとにやってきた。

「ああ、なんて清々しいところだろう。色々な穢れがすべて晴れた気がする。」

俺はその地に宮殿を建てた。(*今もその土地を須賀(すが)とよぶ。島根県大原郡大東町須賀)

クシナダ姫を守るように垣根を八重にめぐらせた。

誰も姫に手出しができぬように。怖い思いをさせないように。

一生大事にするよ、クシナダ姫。

俺は姫を愛して初めて、ずっとあった胸の隙間が、寂しさが、温かい思いで満たされた。

出来上がった宮殿を見ていると、「出雲」という名にふさわしい、美しい雲が立ち上った。

まるで、俺たちを祝福してくれているようだ。感動と感謝で、俺は思わず和歌を口ずさんだ。(*この和歌は、日本で初めて詠まれた和歌)

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を

そして俺は、姫がひとりで寂しくないように、この須賀の宮にクシナダ姫の父を呼び寄せて、須賀の宮に仕える者たちの長にした。「稲田の宮主 須賀の八耳の神(いなだのみやぬし すがのやつみみのかみ)」というカッコイイ名前も送った。

俺とクシナダ姫の間には、八島士奴美神(ヤシマジヌミ=出雲の海の島々を支配する神)が生まれた。(*この神から6代目に大国主が生まれる)

後になって、俺はアシナヅチの父神であるオオヤマツミ神の娘、神大市媛(カムオオイチヒメ)も妻にした。

この姫には、大年神(オオトシのかみ)之御霊神(うかのみたまのかみ)が生まれた。

俺はやっと本当に求めていた、温かい家庭を持つことができたのだ。

大国主への婿試し

80人兄弟の末っ子であるオオクニヌシは、いつも兄たちから家来のように扱われていました。しかし、兄たちが求婚したヤガミヒメは、オオクニヌシを夫に選びます。嫉妬した兄たちはオオクニヌシを何度も殺しにかかり、そのたびにオオクニヌシは逃げました。最後にかくまってくれたオオヤビコの神は、オオクニヌシを地底の国、根の堅洲国(ねのかたすくに)に行くように言いました。根の堅洲国の大神スサノオは、オオクニヌシの先祖になりますから、力になってくれるだろうと思われたのです。

オオクニヌシがスサノオの神殿に行くと、中からスサノオの末娘、スセリビメがでてきました。

2人は出会ったとたん恋に落ち、そのまま結ばれました。

 

(スサノオ語り)

ほほを染めたスセリビメが、ごろ寝をしている俺を起こしに来た。

「お父さま、すごく立派な麗しい神様がいらっしゃいます!」

俺は一目で分かった。スセリは、その男に惚れている。しかも、どうやらもう結ばれているようだ。

なんという手の早いやつだ!スセリは跡継ぎ姫だ。ろくでもない男にスセリはやれないぞ。

「なんだ、あんな醜い男。葦原色許男(アシハラノシコオ=地上から来た醜男の神)とでも言えばいいんだ。スセリ、そいつを蛇の岩屋で寝かせてやれ」

どうせ、恐れをなして帰っていくか、朝にはボロボロになっているだろう。スセリをあきらめてさっさと帰るんだな。

そう思っていたのに、翌朝奴はニコニコ起きてきた。

「スセリ、あの男を今夜は、蜂とムカデの部屋に寝かすがいい」

しかし、また奴はけろりとした顔で起きてきた。

どうやら、スセリが助けているらしい。俺はスセリが助けようもない方法を考えた。

男を連れて俺は草原に出た。そして、鏑矢(音を立てて飛ぶ矢)を放った。

「いいか、あの矢をとってこい。」

男が草深くに入っていくのを見て、俺は草に火をつけた。たちまち火は草原に燃え広がった。

もう、これで帰ってくることはあるまい。スセリは大泣きに泣いていたが、これでいい。一夜の男なんぞ、いずれ忘れるだろう。

俺は、まだ煙のくすぶる草原に踏み込んだ。スセリも泣きながら葬式の用意をしてついてきた。

ところがどうだ、男は煤だらけ、土だらけの姿で、白い煙の向こうから現れて言った。

「お命じになった鏑矢、確かに取ってまいりました」

そして、矢を俺に差し出したのだった。

・・・なかなかやるじゃないか。

俺は自分の住む太い柱に囲まれた大岩屋に男を入れてやった。そして、命じた。

俺の頭のしらみをとれ。かゆくて仕方ない」

実は頭にはムカデを仕込んであるのだ。これをかみ砕いて吐き出すことなぞできはしないだろう。

しかし、男はムカデをかみ砕いては吐いていく。俺は内心感心した。

素直な奴だ。案外いい奴かもしれない・・・。

俺は気持ちよさについウトウトと眠ってしまった。

と、ガラーン! すさまじい音が響いた。天の沼琴(あめのぬごと)の音だ。

「天の沼琴を盗られた!」

俺が飛び起きると、岩屋戸の柱がガラガラと崩れた。

柱に髪の毛を括りつけられていたから、柱を引き倒してしまったんだ。

「若造め、よくもやったな!」

そう言いつつ、俺は、笑ってしまった。もう許してやろう。
素直なだけでなく、知略もある男にならスセリをやってもいい。

俺は、黄泉平坂まで追いかけた。遠くに神器を持ち、スセリを背負って逃げる姿が見えた。俺は大声で叫んだ。

「おーい。その神宝、生太刀(いくたち)生弓矢はすごい武器だがくれてやる。それでお前の兄たちをやっつけろ。山の裾、川の瀬まで追いつめて打ち払え。いいか、今後お前は、オオクニヌシ、宇都志国玉神(うつしくにたま)と名乗って国を作るのだ。わが娘スセリを正妻にするんだ。出雲の山に、深い場所の石を土台に、太い柱を立て、屋根の千木が高天原に届くような立派な宮殿を作れ。そして、幸せに暮らせよ。こいつめ!分かったか!」

遠くから2人が俺に向かってお辞儀をした。

俺は2人を見えなくなるまで見送った。

 

系譜

イザナギ
イザナミ
アマテラス
ツクヨミ
クシナダ、カムオオイチ

名前の由来

別名:
建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
神須佐能袁命(かむすさのおのみこと)
牛頭天王(ごずてんのう)
祇園様(ぎおんさま)
天王様(てんのうさま)

神名にある「建」も「速」も、勇猛さを意味します。
「スサ」は「荒(すさ)ぶ」「凄(すさ)まじい」などに通じる言葉です。
  • 「スサ」=「荒(すさ)ぶ」より、嵐の神・暴風雨の神とする説(高天原でのスサノヲの行いは暴風雨の被害を示すとする)
  • 「速」=「進む」で、勢いのままに事を行う神とする説
  • 出雲西部にある須佐[飯石郡須佐郷]にちなむ(スサノオは須佐郷の族長を神格化したもの)とする説
など。

ゆかりの地

出雲、紀州熊野

*荒ぶる神としての強大な神威が、武塔神(むとうしん)や牛頭天王(ごずてんのう)という疫病を鎮める疫神として信仰され、祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)という形でも残っています。

祀られている神社

氷川神社
氷川信仰の総本山(関連神社は関東に200社)。埼玉県さいたま市高鼻町
津島神社
津島信仰の総本山(全国に3000社)。愛知県津島市神明町
八坂神社
牛頭天王と同一視されている、八坂信仰神社の総本山(全国に2600社)。京都市東山区祇園町
熊野本宮大社
スサノオが、この地で初めて「火」を生み出した。火の神事がある。和歌山県東牟婁郡本宮町
日御崎神社
島根県簸川郡大社町日御崎
須佐神社
ヤマタノオロチ退治に関わる神社。島根県簸川郡佐田町宮内

ご利益

豊穣神、防災除疫の神、歌人の神、冥府の神、荒ぶる神の祖
  • 水難
  • 火難
  • 病難除去
  • 五穀豊穣
  • 文学上達
  • 学問上達
  • 縁結び
 


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