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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

【国土の守護神】国之常立神は何者なのか?

2019年11月16日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

国之常立神(クニノトコタチノカミ)は、日本神話に登場する神様の一柱です。

「国土を守護する神」として一部の宗派では非常に重要視されている神様なのですが、神話の中では登場してすぐに姿を消してしまうため、一般的にはあまり広く知られてはいないのではないかと思います。

橋本ユリ
では、私たちの国土を守護してくれている神様である国之常立神について、詳しくご紹介をさせてもらいます。


それでは参りましょう!

国之常立神とは

国之常立神は国土の守護神なのですが『古事記』と『日本書紀』では少々登場の仕方が違います。

『古事記』では、神世七代(かみのよななよ)において最初に生まれた神様として登場します。神世七代は別天津神(ことあまつかみ)の次に登場する七代の神様たちの総称です。

神世七代の神様は以下の通りです。
  1. 国之常立神
  2. 豊雲野神(トヨクモノ)
  3. 宇比地邇神(ウヒヂニ)・須比智邇神(スヒヂニ)
  4. 角杙神(ツヌグイ)・活杙神(イクグイ)
  5. 意富斗能地神(オオトノヂ)・ 大斗乃弁神(オオトノベ)
  6. 淤母陀琉神(オモダル) ・阿夜訶志古泥神(アヤカシコネ)
  7. 伊邪那岐神(イザナギ)・伊邪那美神(イザナミ)
国之常立神と豊雲野神は独り神とされており、以降の神様たちは男女一対で一世代とされています。なお三世代~六世代の神様は全て兄妹ですが、イザナギとイザナミのみ夫婦です。

さて、『古事記』では別天津神の次に登場した国之常立神ですが、『日本書紀』では一番最初に現れた神様として登場します。そのため一部の神道では、国之常立神は根源神として崇められているのです。

 

名前の表記も『古事記』と『日本書紀』では少し違います。
  • 『古事記』…国之常立神
  • 『日本書紀』…国常立尊(クニノトコタチノミコト)
呼び方は少し違いますが、名前に込められた意味は共通しています。

 

国之常立神の名前の中の「国=国土」、「常=永久」を表しており、「永久に国土が立ち続け、不変的であるように」という意味が込められているのです。

また別名で「国底立尊(クニノソコタチノミコト)」と呼ばれることもあります。

国之常立神は、別天津神の中で最後に生まれた天之常立神(アメノトコタチノカミ)の対となる神様だと言われています。

天之常立神は天の世界に属する神様であるのに対し、国之常立神は国土=大地に属する神様です。そのため大地を意味するような「底」という字が使われたのではないかと考えられています。

 

御利益

国之常立神は国土を守護する神様ですので、国土や国家への御利益が大きいです。しかし個人に対しても様々な御利益があります。
  • 国土安穏
  • 国家安泰
  • 出生成功
  • 開運招福
  • 商売繁盛
  • 悪霊退散
  • 厄除け
  • 病気治癒
  • 立身出世
  • 交通安全
厄を祓い、幸運を招くご利益が多々あります。

 

スサノオとの関係

スサノオは、イザナギが生んだ神様です。日本神話の中では接点が無かったように見受けられますが、国之常立神と一体どのような関係があるのでしょうか?

実は日本神話をもとにした『霊界物語』という教典の中で深いつながりがあるのです。

霊界物語は新宗教「大本」の教祖である出口王仁三郎が口述筆記しました。出口王仁三郎の義母・出口なおが神懸かり、国之常立神の神託により口述筆記されたと言われています。

霊界物語によると、国之常立神は日本を作り出した龍神だとされています。しかし、強大な力を持っていた国之常立神は八百万の神々によって恐れられ、地上を追放されました。そして艮の方角に隠退せざるを得なくなってしまいます。

艮とは鬼門の方角です。鬼門に押し込められた国之常立神は、やがて「艮の金神(うしとらのこんじん)」として恐れられるようになっていきます。

国之常立神が追放された後、日本神話の通りにイザナギとイザナミが国を作り、スサノオが生まれます。アマテラスによって高天の原を追放されたスサノオは贖罪神となり、国之常立神を追放に追い込んだ悪神たちを改心させていきます。

このように霊界物語においては国之常立神とスサノオが中核となって日本を作り上げているのです。日本神話では一見関わりのないように見えていた国之常立神とスサノオですが、実は深いところで繋がりがあるのかもしれません。

なお大本教において国之常立神は正義の神として崇められていますが、艮の金神は鬼門の方位に位置する神として恐れられてきました。そのため国之常立神を「鬼門=鬼=悪魔」として恐れる宗派もあるのです。

 

ヤハウェとの関係

ヤハウェはユダヤ教の唯一神です。日本神話と聖書に似通った点があることはよく指摘されることですが、国之常立神とはどういった関係があるのでしょうか?

実は「艮の金神」の正体はヤハウェなのではないかという説があり、先ほどの霊界物語に準ずると「艮の金神=国之常立神」であるため、「艮の金神=国之常立神=ヤハウェ」だとする考え方があるのです。

また、他にもスサノオはヤハウェの系統の神であるとする説もあります。

このように日本神話と聖書には、やはり通ずるものがあるようです。

 

国之常立神 神話

天地開闢

この世の形が定まらず何もなかった時代、天の世界に天之御中主神(アメノミナカヌシ)という神様が生まれました。続いて高御産巣日神(タカミムスビ)と神産巣日神(カミムスビ)という神様が生まれます。

しかし、この三柱の神様たちはそれぞれが立ち上がると、誰にも姿を見せることなく姿を消してしまうのです。

こうして天の世界に神様が生まれていた頃、地の世界でも神様が誕生していました。

地の世界で最初に生まれたのは宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂ)と天之常立神(アメノトコタチ)です。この二柱の神々は葦の芽のように力強く天にぐんぐん伸びていきましたが、やはりすぐに姿を消してしまいます。

そして次に現れたのが国之常立神と豊雲野神(トヨクモノ)だったのです。

国之常立神はこの国の土地がいつまでも栄えるよう国土を守護する神として生まれました。一緒に生まれた豊雲野神は大地を司る神様です。

この二柱の神様も、誰にも姿を見せることなくすぐに姿を消してしまいました。

その後、国之常立神が姿を現すことは二度と無かったそうです。

 

龍神説

日本神話において国之常立神は天地開闢以降姿を現すことはありませんでした。しかし、国之常立神には様々な逸話が残されています。

その一つが国之常立神は龍神であったという説です。

国之常立神は国土を守る神様であり、また一部では日本を作ったという説もあります。そして日本は龍のような形をしていることから、日本を作ったとされる国之常立神は龍神ではないかと言われているのです。

もしかしたら私たちの日本そのものが、龍神である国之常立神なのかもしれませんね。

 

豊受大御神と同一神説

伊勢神宮の外宮で国之常立神が祀られていると言われることがあります。しかし、伊勢神宮には国之常立神が祀られているという記述はありません。では何故このように言われるのでしょうか。

それは、伊勢神宮の外宮で祀られている豊受大御神(トヨウケノオオミカミ)と国之常立神は同一神だとされているからです。

豊受大御神は食物や穀物を司る女神です。そして国常立大神は国土=大地を司る神様です。食物は大地で生み出されることから、同一の神様であると扱われることがあるのです。

また伊勢神宮で生まれた「伊勢神道」の中では、「豊受大御神は天之御中主神と国之常立神と同一神であり、この世で最初に生まれた始原神であり、豊受大御神を祀っている外宮は内宮よりも立場が上である」という旨の記述があります。

国之常立神は、天之御中主神と共に伊勢神宮外宮において豊受大御神として祀られているのです。

 

稲荷説

国之常立神は、稲荷神と同一神であるとも言われることがあります。こちらの説は先ほど説明させてもらった豊受大御神と同一神であるという説とつながってきます。

まず稲荷神は、稲を司る穀物や農耕の神様です。稲荷神は京都の伏見稲荷大社において、宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)として信仰されています。「宇迦」は穀物や食物を意味し、「ウケ」の古形であるとされています。

穀物や食物を司るという共通点から、宇迦之御魂神と豊受大御神は同一視されることが多々あります。

食物の神である稲荷大神(宇迦之御魂神)は豊受大御神と同一神であり、また豊受大御神は国常立大神と同一神でもあります。

このようなつながりから国常立大神は稲荷神なのではないかという説があるのです。

 

国之常立神を祀る神社

玉置神社

玉置神社は奈良県玉置山の頂上付近に位置する神社です。

標高1000mの山奥にある神社なのでアクセスはしづらいですが、神秘的な雰囲気からパワースポットとしても知られ人気のある神社です。

社務所は重要文化財にも指定されています。お時間があればぜひお参りに行ってください。
  • 住所:〒647-1582 奈良県吉野郡十津川村玉置1
  • アクセス:JR「八木駅」または「五條駅」からバスで十津川温泉下車
  • 御利益:厄除け、開運招福、出世、商売繁盛、家内安全
  • 御祭神:国之常立神、伊弉諾尊、伊弉冊尊、天照大神、神日本磐余彦命
 

大鳥神社

社伝によると国之常立神を祀る社にヤマトタケルが祈願をし、その後にヤマトタケルの霊が白鳥としてあらわれ祀られたことで社殿が完成したそうです。

江戸九社の一つに数えられる由緒正しい神社です。
  • 住所:〒153-0064 東京都目黒区下目黒3丁目1-2
  • アクセス:JR山手線「目黒駅」西口下車徒歩7分
  • 御利益:商売繁盛、良縁祈願、厄除け、病気平癒、心願成就
  • 御祭神:日本武尊、国常立尊、弟橘媛命
 

城南宮

平安京遷都の際に都の安泰と国の守護を願うため、国常立尊を八千矛神(やちほこのかみ)と息長帯日売尊(おきながたらしひめのみこと)に合わせ祀った神社です。

交通安全を守護することで有名で、車のお祓いをしてもらうことができます。
  • 住所:〒612-8459 京都府京都市伏見区中島鳥羽離宮町7
  • アクセス:京都市営地下鉄「竹田駅」より徒歩15分
  • 御利益:方除、厄除け、交通安全、無病息災、学業成就
  • 御祭神:国常立尊、八千矛神、息長帯日売尊
 

蘇羽鷹神社

蘇羽鷹神社(そばたかじんじゃ)は国之常立神を主祭神として祀っています。

住宅街の中にある神社ですが、立派な社殿が建てられています。
  • 住所:〒270-0027 千葉県松戸市二ツ木1732
  • アクセス:JR「松戸駅」より徒歩7分
  • 御利益:厄除け、方除、武運長久、勝運、心願成就
  • 御祭神:国之常立神
 

小村神社

こちらの神社では、国宝である「金銅荘環頭太刀拵・大刀身(こんどうそうかんたちごしらえ・たちみ)」という宝剣がおさめられています。

国土を守護する国之常立神を祀り、宝剣をご神体にしたとされています。

宝剣は毎年11月15日に開催される秋例大祭の時にのみ一般拝観が可能です。時間が合えばぜひ拝観に行ってみてください。
  • 住所:〒781-2151 高知県高岡郡日高村下分1794
  • アクセス:JR「小村神社前駅」より徒歩3分
  • 御利益:国家安泰、国土安穏、立身出世、家内安全・五穀豊穣
  • 御祭神:国之常立神
 

出雲大神宮

出雲大神宮は京都府亀山市にある神社で、大国主命(オオクニヌシノミコト)と三穂津姫命(ミホツヒメノミコト)を主祭神として祀っています。また縁結びのパワースポットとしても知られています。

境内の更に奥にある御蔭山(みかげやま)に国常立尊を祀る社があります。御影山は国常立尊の御霊が鎮まった場所だと言われています。

御影山に登るには社務所で入山申請が必要ですので、お参りに際は気を付けてくださいね。
  • 住所:〒621-0002 京都府亀岡市千歳町出雲無番地
  • アクセス:JR「亀岡駅」からバスで出雲神社前下車
  • 御利益:縁結び、厄除け、安産、家内安全、商売繁昌、車清祓、交通安全、病気平癒
  • 御祭神:大国主命、三穂津姫命
 

御岩神社

御岩神社は国常立尊を始めとする国を作り国をおさめた神々を祀っている神社です。

御朱印帳には雄々しい龍神が一面に描かれています。他にも女性向けの可愛らしいデザインのものもありますので、御岩神社に参拝に行かれた際にはぜひ御朱印帳をチェックしてみてください。
  • 住所:〒311-0402 茨城県日立市入四間町752
  • アクセス:JR「日立駅」からバスで御岩神社前
  • 御利益:商売繁盛、家内安全、厄除開運、病気平癒、学業成就、安産
  • 御祭神:国常立尊、大国主命、伊邪那岐尊、伊邪那美尊
 

まとめ

橋本ユリ
国之常立神について紹介をさせてもらいましたが、いかがでしたでしょうか?


私たちの国土を守護してくれている非常に大切な神様ですが、日本神話の中ではすぐに姿を消してしまう謎の多い存在であるため、詳しく知らなかった人も多いのではないかと思います。

国之常立神は国土や国家を守護してくれているだけでなく、交通安全や出世など様々なご利益をもたらしてくれる神様です。

機会があれば国之常立神が祀られている神社へぜひお参りに行ってみてくださいね。


これらの記事も合わせて読むと、開運の秘訣がわかります。

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