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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

経津主神(フツヌシノカミ)

2017年8月18日

橋本ユリ

こんにちは

北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

今回は、タケミカヅチと共に
オオクニヌシに国譲りを迫った武神で、

最強の武力と深い慈悲を合わせ持つ神様、
「フツヌシノカミ」について、ご紹介します。





神話

橋本ユリ
日本書記やホツマツタエでの登場シーンをご紹介します。

古事記には出てきませんが、
実はそれを匂わせる暗号が秘められているんです・・・!

それでは参りましょう♪

日本書紀

イザナミの死の原因であるカグツチがイザナギの手により切り殺されたところから生まれ出るシーンと、
オオクニヌシがつくった国をアマテラスの子孫に譲るように迫った「国譲り神話」に登場します。

 

生まれた時のお話

日本の国や神々をたくさん産んだイザナミは、火の神カグツチを生んだとき、大やけどを負って亡くなりました。

「こいつが生まれなければ!」

夫のイザナギは、悲しみのあまりカグツチを切り殺します。

 

ポトポトポト・・・。ムクムクムク・・・。

 

十束剣(トツカノツルギ:こぶし10個分の長さがある剣)から滴った血が固まって、岩がたくさんできました。
その岩から生まれたのが、磐裂神(いわさくのかみ)根裂神(ねさくのかみ)です。

この二柱の神から磐筒男神(いわづつのおのかみ)磐筒女神(いわづつのめのかみ)が生まれ、この二柱を親として、経津主神(ふつぬしのかみ)が生まれました。

シャキーン!
この神様は刀剣の神で、最強の武神フツヌシとなりました。

 

国譲り神話

国津神(地上の神)であるオオクニヌシが頑張って国作りしたので、良い国ができつつありました。

その繁栄を見たアマテラスは、
「私の弟(スサノオ)の子孫が作ったってことは、天津神(天上の神)の国ということよね。あの国は、私の子孫に治めさせたいわ!」
と言います。

そこで、
「国を譲らない?」
と話し合う使者を送ったのですが、オオクニヌシの魅力に心酔して帰らない者、オオクニヌシの娘を妻にして出雲に居ついてしまう者などばかりで、どうもうまくいきません。

神々を集めて、次の使者をだれにするか相談すると、
「これはもう、武力でいくしかないでしょう。最強の武神、剣の神フツヌシで決まりです!」
と満場一致でした。

その時、
「オッホン!武力に優れた神は、フツヌシだけじゃないですよ、私もいます!」
と売り込んだのがタケミカヅチ

そうして、二神を出雲に派遣することになりました。

二神は、オオクニヌシに国譲りを迫ります。

「アマテラス様は、この地を子孫に治めさせようと考えている。我々の方がよい統治ができるからだ。この地を治めるために、我々はやってきた。お前はどうする。逆らうのか、闘うのか、どうなんだ!」

「私の子どもたちに聞いてみましょう」
と、オオクニヌシは苦渋の声で言いました。

釣りをしていた文系のコトシロヌシは、突然の事に驚きましたが、武力では敵わないのを見て取ると、
「父も私も逆らう事はないでしょう」
と、自分の船をひっくり返して、隠れてしまいます。

もう一人の子どもタケミナカタは、体育会系の力自慢でした。
「おまえ、いきなり来て、何言ってんだ~~。俺たちが、苦労して作った国なんだぞ!勝負しよう。俺が勝ったら、あきらめるんだな!」
と怒ります。

しかしタケミカヅチは、超能力的力技をもっており、まったく歯がたちません。

タケミナカタは、どんどん追い詰められ追い詰められ、諏訪まで逃げて、
「ここから出ませんから助けてください」
と命乞いする羽目になりました。

これを聞いたオオクニヌシは、立派なお社を立てることを条件に国を譲ることを承知しました。こうして建てられたのが、出雲大社です。

古事記

日本書紀と同じく国譲り神話がありますが、その主役はタケミカヅチで、フツヌシは出てきません。

しかし、タケミカヅチの別名が建布都神(タケフツ)豊布都神(トヨフツ)と、名前の「フツ」がフツヌシを匂わせています。

ホツマツタエ

偽書という説もあるホツマツタエでは、日本書紀や古事記とは登場人物の設定が少し異なりますが、フツヌシが出てくるシーンの国譲り神話は日本書紀と同じようなお話です。もう一つのシーン、「六ハタレ退治」は香取神社の神様になった経緯が描かれています。

 

国譲り神話

オホマヌチ(大国主)が出雲を去った後、タケミカヅチとフツヌシは2人で逆らう者は斬り、従う者をほめて、出雲の秩序を取り戻します。

凱旋した2人に、タカキネ大臣はお褒めの言葉をかけました。
「フツヌシの筋の通った裁きは、非常に優秀であった!アッパレじゃ~~。タケミカヅチは武人として曲者を正し、逆らう者を討伐し世の秩序を回復した功により、カシマカミのカンヘ(称号)を与えよう」

そうして、タケミカヅチは、鹿島神宮の神様になったのです。

 

六ハタレ退治

朝廷に、はや雉(はやきじ;伝書ハトのようなもの)が飛んできました。
根国の立山にハタレ(ねじまがった想念の生霊)の大軍が集まっているとの連絡です。

これは六ハタレ(6種類の悪霊つきの人たち)の第二番目でした。

フツヌシ出陣!

このハタレは、イソラ(逸霊=龍になる前の未熟な蛇)が人や獣に憑りつき化けたもので、妖術を使います。

「うわ~。地形が変わったぞ!」
野山を変貌させ、
「雲が出て、暗くなってきた~」
雲を起こしたり(まだ雨は降らせません)、
「え、太陽があっちにも、こっちにも・・。方角が分かんないよー」
偽物の太陽を複数輝かせたりできたのです。

「ひるむな、正義は我らにあり!」
そう激励したフツヌシも、棘矢(とげや)をつかみ、指を怪我します。
「一旦引け!アマテル様に相談申し上げる!」

戦況を報告すると、アマテル神(ホツマツタエでは男性の太陽神)は、作戦としてオコシ(お菓子)と蕗を与えました。
フツヌシは棘矢対策として手袋をつけることに。

フツヌシは、ハタレたちに、
「アマテル神より土産がある。このオコシを受け取るがいい」
とお菓子を見せました。

ハタレは喜び
「神はなぜ我々の好物を知っているのか?貴様らは我々に降伏する気か?」
と言うと、フツヌシは
「いやいや殺す気である。お前たちの魂を守るため、化けの源であるイソラ(悪霊)を討つのだ」
と答えました。

ハタレは、怒りましたが、フツヌシがオコシを投げ入れると、
「これは、俺のものだ」
「触るな、俺が先だ~~」
「俺にもよこせ」
と我さきに奪い合い、味方同士で争いを始めます。
その機に乗じて、フツヌシの軍は蕗を焚き燻して、ハタレがむせて逃げていくところを追い詰めて捕えました。
その数、1000のハタレマ(ハタレに憑りつかれた人)でした。

それでも、余裕で向かってくるイソラカミ(悪霊の頭)。
「ふん、雑魚キャラはマヌケにやられたが、俺様はダンジョンボス。そう簡単にはいかないぜ!」
と自慢げにしゃべる間に四方を囲み、ついに生け捕って牢屋に入れました。

そして、1100ものハタレマを地方長官に預けて、凱旋したのです。

紀州(キシイ)国に上陸したイツナミチというハタレの討伐には、タケミカヅチが選ばれました。
アマテル神から賜った大曲餅(フマガリ;お菓子の一種)で捕まえたら、その数は9900人にも上りました。

しかし、ここでタケミカヅチは大失敗をしてしまいます。

怪力のタケミカヅチは、捕虜全員を自ら高野山に引き登りましたが、力強く引き過ぎて多くの者の首が締まり、死者が続出したのです。
タケミカヅチは落ち込みました。敵の捕虜とはいえ、殺してよいわけがありません。

報告を聞いたアマテルは、自ら牢屋に行くと、イツナミチというハタレは、姿が猿そっくりで、顔は犬のようでした。
同情して先祖を聞いてみると
「昔、我らの先祖が猿と結婚してできた子孫が増えて、皆猿のごとくになってしまったのです」
アマテル神は言いました。
「魂返しをすれば、人に還るだろう。先に死んだものも、魂の緒(たまのお;魂[精神]と魄[肉体]の結びつき)を解けば、人に生まれ変わるぞ」
それを聞いたものたちは、全員
「願わくば、人間に生まれ変わらせてください」
と、自ら命を絶ちました。

アマテル神は、フツヌシとツワモノヌシとタケミカヅチに命じて、
「死者の霊を猿から解放せよ」
と、魂返しの秘法をさせました。

この魂返しの術は、別名ココストといいます。
ツワモノヌシの父イチヂが編集した魂返しの術で、心を清くし、正しい教えに結ぶ秘文です。
ツワモノヌシはこの功績で「カスガドノ(春日殿)ココトムスビ(心瓊産霊)」と名をもらいました。
ココトムスビには、香取神フツヌシの妹アサカ姫が嫁ぎ、カスガマロ(春日麻呂)を生んでいます。
カスガマロ(真名はワカヒコ)が後の春日大社のご祭神アメノコヤネ(天児屋根)で、藤原氏の氏神様になりました。

こうしてフツヌシは、六ハタレを退治した功によって、カグヤマ(ホツマ国)の統治者の称号「カトリ尊(ミコト)」の名をもらいます。今でいう右大臣に当たるくらいの役割だったとか。そして香取神社の神様になりました。

「タケミカヅチ様は、本当にお強い。一番の武神だわ!フツヌシ様は、めったに剣を抜かれない、でも、本物の名人は、戦わずして勝つっていうの?剣の真の名人はフツヌシ様ではないかしら~~」と、女神さま方から言われたとか、言われなかったとか・・・。

系譜

名前の由来

別名:
  • 布都努志命(ふつぬしのみこと)
  • 布都主神(ふつぬしのかみ)
  • 伊波比主神/斎主神(いわいぬしのかみ)=神様の降りる場所の主
  • 香取神(かとりのかみ)
「ふつ」=刀で物を切ったときの音

「ふ」「つ」=曲がっているものを正す

ゆかりの地

古事記や日本書紀には、はっきり記されていません。

地震封じの要石がある香取神宮
※鹿島神宮の要石とセット

祀られている神社

香取神宮
鹿島神宮とともに、東国拠点
一之宮貫前神社(いちのみやぬきさきじんじゃ)
フツヌシを物部氏の祖神として祀ったのが始まり
春日大社
鹿島神宮から勧請された 平城遷都ごろからの古社
塩竃神社(しおがまじんじゃ)
タケミカヅチの本宮かもしれない、謎をはらむ塩の神の古社
枚岡神社(ひらおかじんじゃ)
元春日 創建は神武天皇の即位より前という

ご利益

勝負運に恵まれるので、絶対負けたくない試合・試験・交渉事

そのほか

家内安全、産業指導、海上守護、心願成就、縁結び、安産、勝運、交通安全、厄除け、体育勝運守

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