神社チャンネル

神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

天之常立神とは?神話ですぐに姿を消してしまう神様の謎に迫る

2020年1月30日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

橋本ユリ
天之常立神(アメノトコタチノカミ)という神様を知っていますか?


あまり馴染みのない名前かもしれませんが、日本神話の中で五番目に誕生した特別な神様なんです。

では、そんな特別な神である天之常立神は一体どのような神様なのでしょうか?

天之常立神は登場してすぐに姿を隠してしまうため、謎に包まれた部分が多い神様です。ということで今回の記事では、そんな天之常立神の謎を紐解いていきます。

それでは参りましょう!

天之常立神とは


天之常立神は日本神話の「天地開闢」のお話で登場した神様です。天地開闢では特別な五柱の神様が生まれるのですが、誕生した神様の順番は以下の通りです。

  • 天之御中主神(アメノミナカヌシ)

  • 高御産巣日神(タカミムスビ)

  • 神産巣日神(カミムスビ)

  • 宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂ)

  • 天之常立神(アメノトコタチノカミ)


この五柱の神様は天の世界である高天の原で生まれました。高天の原に住まう神のことを「天津神(あまつかみ)」といいます。また、天地開闢のときに生まれた上記五柱の神様たちのことを「別天神(ことあまつかみ)」といいます。

別天神は高天の原に住む神様の中でも特別な存在とされています。別天神は性別のない独神(ひとりがみ)です。独神の中でも、高御産巣日神には娘がいるのですが、天之常立神を初め他の別天神には子孫というものが存在しません。

最初に登場した五柱の神様は誕生してすぐに姿を消してしまい、その後は神話の中にほとんど登場せず、子孫も残していないため謎が多いのです。

情報の少ない天之常立神ですが、『先代旧事本紀』という史書によれば、天之常立神は天之御中主神と同一神であるという記述あります。ただ、その天之御中主神も生まれてからすぐに姿を隠してしまうため、あまりはっきりとしたことは分かっていません。

橋本ユリ
天之御中主神は、その名の通り「天の真ん中に立つ神様」です。天の世界の恒常性を表す天之常立神と役割が似ていますね。


ただ『古事記』や『日本書紀』では天之常立神と天之御中主神は別々の神様として書かれているので、天之常立神と天之御中主神が同一神であるというのはあくまでも一つの説です。

 

別名


アメノトコタチノカミは『古事記』では「天之常立神」、『日本書紀』では「天常立尊」と表記されています。

他には下記のような表記があります。

  • 天常立神(アメノトコタチノカミ)

  • 天之常立命(アメノトコタチノミコト)

  • 天常立命(アメノトコタチノミコト)

  • 天之常立尊(アメノトコタチノミコト)

  • 天之常立大神(アメノトコタチノオオカミ)

  • 天底立神(アメノソコタチノカミ)


書物や神社によって漢字の表記が少しずつ異なります。

 

ご神格



  • 天の根源神

  • 天の恒常性を示す神

  • 高天の原を守護する神


天之常立神は「天」を神格化した神様の中でも、根源となる部分や恒常性を表すという見方がされています。

また、高天の原そのものを表した神様であるとも言われます。

 

ご利益



  • 産業振興

  • 五穀豊穣

  • 交通安全

  • 必勝祈願

  • 家内安全

  • 開運招福

  • 商売繁盛


 

天之常立神の神話


橋本ユリ
では次に、天之常立神が登場する日本神話を紹介していきます。


 

国生み


天之常立神が登場するのは、日本神話の始まりである「国生み」の神話です。

この世がまだ何もなかった時代、世界は天と地に別れました。そこで天の世界の中心に生まれたのがアメノミナカヌシという神様です。

次に生まれたのがタカミムスビとカミムスビという神様です。
アメノミナカヌシ、タカミムスビ、カミムスビはどこへともなく姿を隠しました。

次に生まれたのがウマシアシカビヒコヂです。
大地がくらげのように漂い、形が定まらなかったのにも関わらず、葦の芽が生えるように力強く生まれ出た神様です。

そして、最後に生まれたのがアメノトコタチでした。ウマシアシカビヒコヂと同じように、くらげのような大地から葦の芽が生えるように生まれました。

アメノトコタチとウマシアシカビヒコヂも、先に現れた造化の三神と同じようにいつの間にか姿を隠してしまいました。

次に神世七代(かみのよななよ)と呼ばれる七代の神様が登場し、最後に生まれたイザナギとイザナミが国作りを始めます。

国が生まれたことによって、高天の原と地の世界で様々な神話が生まれるのですが、アメノトコタチが姿を見せることは二度とありませんでした。

 

国之常立神との関係


天之常立神の次に生まれたのが国之常立神(クニノトコタチノカミ)という神様です。天之常立神と名前が似ていますよね。

国之常立神は神世七代で一番初めに生まれた神様であり、天之常立神と対となる存在だと言われる神様なんです。天之常立神も国之常立神も性別のない独神です。

では、国之常立神と天之常立神は一体どういった関係なのでしょうか?先ほども紹介した通り、天之常立神は天を司る神様です。それに対し国之常立神は、その名の通り「国=国土」を司る守護神だとされています。国之常立神は国土安穏の神様として古くから信仰されてきました。

国土というのはつまり地の世界における「大地」のことです。大地の対となるのが「天」であるため、国之常立神と天之常立神は対となる神様だとされているのです。天と地は世界を形作るものであるため、それを司る神様は非常に重要な存在なのです。

ただ、国之常立神は天之常立神に比べると、かなり古くから信仰されてきた神様です。このことから天之常立神は、国之常立神と対をなす存在として後から創造されたのではないかと考えられているのです。

確かに国之常立神と天之常立神は名前が一文字違いだけなので、対となるよう創造されたという説には納得ができますね。

また、国之常立神と天之常立神の名前を分析すると、このようになります。

国=国土、大地
天=天の世界、高天の原

常=永久、変わりないこと
立=立つ、成り立つこと

橋本ユリ
国之常立神は「国土に永久に立つ神様」、天之常立神は「天に永久に立つ神様」ということになります。


 

天之常立神を祀る神社


出雲大社


縁結びで有名な出雲大社には、天之常立神を初めとする別天津神がご本殿のご客座に祀られています。御本殿は1744年に造営され、現在は国宝に指定されています。

なお出雲大社は大国主大神を主祭神として祀っています。大国主大神は国津神の代表的な神様で、かつて中つ国をおさめていました。

出雲大社は縁結びのご利益だけでなく、国作りの神話とも深く関わりのある神社なのです。非常に立派な神社なので、ぜひ一度参拝に行かれてみてはどうでしょうか。

住所:〒699-0701 島根県出雲市大社町杵築東195
アクセス:JR「出雲市駅」よりバスで25分

ご祭神:大国主大神、別天津神(客座神)
ご利益:縁結び、子宝、安産祈願、商売繁盛、病気平癒

 

駒形神社


岩手県に鎮座する駒形神社では、天之常立神や天照大神などの天津神が祀られています。駒形神社は約1500年前に造営された由緒正しい神社です。

こちらでは宇宙や地球を守護する六柱の神様を、もっとも尊い神様として祀っています。

年中行事が豊富で、神前結婚式も執り行っているため、地域の人からの信仰を集めています。

住所:〒023-0857 岩手県奥州市水沢中上野町1−83 水沢公園内
アクセス:JR「水沢駅」より徒歩10分

ご祭神:天照大御神、天常立尊、國狭槌尊、吾勝尊、置瀬尊、彦火火出見尊
ご利益:産業開発、社業繁栄、交通安全、合格祈願、必勝祈願、心願成就、方位除け、家内安全、良縁祈願、厄除け

 

金持神社


金運のパワースポットとして有名な金持神社では、天之常立神を主祭神として祀っています。金持郷は、黄金よりも貴重な「玉鋼」の産地でした。かつては鉄のことを「金(かね)」と読んでいたため、「金持郷」と呼ばれるようになったと言われています。

金持神社では開運や金運アップのご利益を頂けます。神社で販売されている「黄色いハンカチ」は特に人気で、宝くじを黄色いハンカチに包んで神棚などに飾っておくと宝くじが当たると言われています。

金持神社の金運アップのご利益は相当強いもので、札所には「宝くじが当たった」「競馬で強くなった」などの声が多数寄せられているそうです。

ギャンブルや宝くじなどが好きな人は一度参拝に行かれてみてはどうでしょうか。

住所:〒689-4512 鳥取県日野郡日野町金持1490
アクセス:JR「根雨駅」よりバスで7分

ご祭神:天之常立尊、八束水臣津努命、淤美豆奴命
ご利益:開運招福、金運、病気平癒、家内安全

 

駒形根神社(勅宣日宮)


駒形根神社は宮城県の山間部に佇むひっそりとした神社です。地域の人からは「お駒さん」と呼ばれ親しまれています。

駒形根神社では、天之常立神や国之常立神など、重要な神様たちが祀られています。ひと気が少なく、自然豊かな神社なので静かな場所でゆっくりお参りがしたい人におすすめです。

住所:〒989-5371 宮城県栗原市栗駒沼倉一ノ宮7
アクセス:JR「くりこま高原駅」よりバスで20分

ご祭神:大日孁尊、天常立尊、吾勝尊、國常立尊、天津彦番邇々藝尊、神日本磐余彦火々出見尊
ご利益:商売繁盛、産業振興、病気平癒、家内安全

 

高見神社


高見神社は「ものづくりの神様」を祀る神社として信仰されています。高見神社はもともとは神功皇后によって祀られた神社です。

神功皇后が三韓征伐に出る際、戦勝祈願のために高見に天津神を十二柱祀ったのが始まりとされています。現在では御本社に十二柱、相殿に七柱の神様が祀られています。

高見神社は木々に囲まれた自然豊かな神社で、四季折々の風景を楽しめるのが魅力の一つです。霊格の高い神様がたくさん祀られているため、あらゆるご利益を頂けるのも嬉しいですね。

高見神社では本物の鐵(くろがね)の玉が入っているという「くろがねのお守り」が人気を集めています。こちらのお守りには商売繁盛や開運・金運などのご利益があるとされていますので、商売に携わっている人はぜひ一度見てみてください。

住所:〒805-0016 福岡県北九州市八幡東区高見1丁目1−1
アクセス:JR「枝光駅」より徒歩40分(車で8分)

ご祭神:天之常立神、天之御中主神、髙御産巣日神、神産巣日神、可美葦芽彦遅神、国之常立神、豊雲野神、天照大御神、天忍穂耳命、皇孫瓊々杵命、彦穂々手見命、鵜萱葺不合命
ご利益:商売繁盛、開運招福、安産祈願、子宝、家内安全、交通安全

 

物部神社


物部神社は宇摩志麻遅命を主祭神として祀っおり、境内には宇摩志麻遅命のお墓があります。天之常立神は、相殿神として別天神と共に客座に祀られています。

物部神社は文武両道や勝運の神として信仰を集めてきました。現代でも必勝祈願で多くの人が参拝に訪れています。

境内は比較的広めで見て回れるところが多いので、時間のあるときにゆっくり参拝をしてくださいね。

住所:〒694-0011 島根県大田市川合町1545
アクセス:JR「大田市駅」よりバスで20分

ご祭神:宇摩志麻遅命、別天神、師長姫命
ご利益:必勝祈願、鎮魂祈願、病気平癒、商売繁盛、厄除け

 

総社大神宮


総社大神宮は、国司巡拝のために神様たちを一社にまとめる目的で創建されました。天之常立神は、国之常立神・天照大神と共に相殿に祀られています。

夏祭りや七五三、神前結婚式など各種行事が執り行われていることもあり、地域の人からは「おそんじゃさん」と呼ばれ親しまれています。

歴史のある建造物も見物ですので、気になったらぜひ足を運んでみてください。

住所:〒915-0813 福井県越前市京町1丁目4番35号
アクセス:JR「武生駅」より徒歩5分

ご祭神:大己貴命、孝謙天皇、天常立尊、国常立尊、天照皇大神
ご利益:家内安全、開運招福、商売繁盛、交通安全、延命長寿、厄除け、学業成就

 

まとめ


橋本ユリ
天之常立神について紹介させてもらいましたが、いかがでしたでしょうか?


天之常立神は神話での登場が少ないため、謎の部分が多いのですが少ない情報からも見えてくることがあったのではないかと思います。

国之常立神の対となる存在として後から創造された神様という見方がされていますが、五柱しかいない別天神に数えられる特別な神様であることは確かです。神社でも別天神は客座神として特別に祀られていることが多いです。

天之常立神が祀られている神社は全国でも少なく貴重です。天之常立神からは商売繁盛や開運・金運アップなど様々なご利益を頂けますので、近くに神社がる人はぜひ参拝に行ってください。


これらの記事も合わせて読むと、開運の秘訣がわかります。

「神様」カテゴリの記事

神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。