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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、新米巫女の橋本ユリが、
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日本のスゴイ秘密 武田邦彦先生対談4

2021年9月10日 2021年09月09日

前回までの内容はこちら↓
日本が滅びるたった一つの理由 武田邦彦先生対談1
神社で奇跡の神秘体験 武田邦彦先生対談2
科学と宗教 知られざる関係 武田邦彦先生対談3


羽賀ヒカル
せっかくですので、武田先生へ質問はありますか?


歴史を学ぶことの意義


質問者
-ヨーロッパ人は気候や地形によって自然と敵対する考えになって争いが多くなり、日本ではそういう考えにならなかったとおっしゃっていましたが、ヨーロッパ人が日本のような環境に移住したり、反対に日本人がヨーロッパのような環境に移住したら考え方は変わりますか?


武田邦彦
-歴史的にはもちろん移動した人がどういう生活をしたかという話はありますが、北方・中国・中央アジアの少し南・中東・ヨーロッパの北にいる騎馬民族が大陸側の厳しさを生み出しています。

その騎馬民族が時々、ダァーッとやって来て、一家皆殺しにし、さらにそこら辺の作物を盗っていくということを繰り返しています。


ユーラシア大陸そのものがそのような構造を元々持っていて、正直に生きているだけでは殺されてしまうので、中国人がウソをつくのは生きていくために必要で仕方のないことでした。

それからヨーロッパ側でも、とにかく血で血を洗うような戦いに勝たなければ生きていけなったので、同じような構造となりました。

だから、地理的な関係だとむしろ大陸の方が生活環境が厳しいし、人が自由に移動できるので、自分が働きたくなくて他人の物を盗って生活しようという人が多くなるということです。


現在でも、人口10万人当たりの殺人数は日本は極端に低いです。

私もこれまでたくさんの国に行きましたが、海外は今も常に命の危険があります。

私が海外に行き始めた40年ほど前は、ほとんどの先進国が女性は夜歩けませんでした。

その当時からすでに日本では、女性が夜10時でも歩いていましたので、僕は非常に違和感を感じていました。

だから、今までの歴史が非常に厳しかったということです。


外国人から見ると、日本人は何回でも騙せると言う人は実際います。

昨年の1月にアメリカのトランプ元大統領のアドバイザーと大統領選挙の投票偽装問題が起きた時にお会いし、その時に彼が言ったことを私は非常に面白く感じました。

日本人はバイデンとトランプに投票し、その票を書き換えることは悪いことで、きちんと正確に数えるべきだと思っていますよね。

その人が言った話では、それは日本人が2千年間ずっと一緒の民族で生活してきたので、「正しい」のコンセンサスがあり、投票した票を入れ替えることは良くないことだと思っています。

しかし、アメリカ人は3百年しか歴史がないので、正義が勝つのではなくて、勝った方が正義であり、勝つために票を書き換えても別に構わないと考えています。

日本人はトランプ大統領の票をバイデンに切り替えたから良くないと言っていますが、それは日本人の感覚であり、アメリカ人は良くないとは思っていないのです。

彼はそれが日本とアメリカの歴史の差だと言っていましたが、私もそう思ってます。


私たちは何気なく歴史を勉強しますが、我々の常識・考え方・日常・家庭生活・男女など、全て歴史を背負って我々の判断になっているので、そこが歴史・古文・漢文を勉強する価値なんです。

勉強していくうちに相手の国のことも分かっていきます。


今のご質問にも当てはまることで、例えば、この前、テレビでヒトラーの悪口をみんなが言うので、私は「ヒトラーは別に悪くないですよ」と言うと、「武田先生は何を言うんだよ」と並み居る評論家はみんな言ってました。

しかし、あの当時のワイマール憲法下でヒトラーの政治がベストだったので、その結果ヒトラー政権が誕生したのです。

だから、世界史や世界の政治を理解するためには、自分自身が相手の国の立場になって、相手の国の歴史も含めて理解すれば、そこが正しく理解できると思います。

なぜ人と意見が一致しないのか?


質問者
-先ほど人間の大脳以外の細胞は、他人に対して「他人=自分」と思っているとおっしゃいましたが、もし自分がその他人と信頼関係を築き上げるとなった時、その人のある性格的な部分が自分の中で受け入れ難いことになるのはどうしてですか?

大脳以外の細胞は、他人を受け入れることができるのではないかと思い、自分の中に矛盾を感じています。



武田邦彦
-我々が不幸になったり、悩んだり、対人関係で上手くいかなくなるのは、ほとんど全てが大脳新皮質なんですね。

生まれた時は「自分が生まれた」と分からず、そこから3歳ほどになってようやく分かってきて、小学校4年で親が死ぬのを分かるようになります。

さらに14歳になって自分というものがだんだん分かってきて、思春期に入ります。

これは何かと言うと、親の知識があって生まれてくれば違うのですが、大脳が全く真っ白で生まれてくるということです。

それでずっと勉強や経験を重ねながら大脳を埋めてきて、25歳になると大脳が全部一杯に埋まってしまいます。

大脳が全部一杯に埋まることで、正しい・間違いを自分で判断してしまうという欠陥があり、これが親子喧嘩の原因となります。


親子は絶対に意見が合いません。

それはなぜかと言うと、親と子というのは30年ほどの差がありますからね。

30年前の知識で正しいと思うことと、現在勉強したことで正しいと思うことは違いますので、親子は絶対に同じ意見になりません。

親子がうまくいくために大事なことは、愛情だけです。


私は娘がいますが、娘とは一回も喧嘩したことありません。

娘が正しいと思うことは、僕は間違ってると思います。

それが親子というもんです。

その時に、父親が娘に「お前違うじゃないか!」と言って、もしその娘が非常に素直で「お父さんの言うことが本当だね」と言って娘が意見を変えると、今度はその娘が周りの人と合わず、時代遅れの人になってしまいます。

私は父親の時代の人なので、一方の自分の正しいと思うことを言いますが、娘は30歳下で、もう一方の自分の正しいと思うことを言います。

これは時代の変化によるもので絶対に埋まらないので、親子喧嘩ほど下らないことはないんですよ。

だから、必ず親は娘や息子の言うことを「あっそうか、お前はそういう風に思うのか。なるほど、俺とは違うけどね」と言わなければなりません。

しかし、なぜ私と娘が1回も喧嘩しないかと言うと、「お互いに意見が違うことはもう分かっているから、愛情があれば大丈夫だ」と思っているからです。


人間は「愛情があれば大丈夫」と「意見が一致しないといけない」の二つあって、それを間違ってしまっているということです。

それはなぜかというと、我々の大脳が小脳・中脳・延髄を囲っていなければバランスが取れるのですが、大脳が全て囲ってしまっているので、自分の考えは大脳からしか出て来ません。

だから、自分が住んで生活した環境の中でしか通用しないということです。


夫婦喧嘩の原因も全く同じで、男と女の差や環境も異なって結婚したので、そもそも夫婦は意見が合うはずがないのです。

むしろ、意見が合ったらおかしくて、夫婦をつなぐものは愛情だけなので、人間関係をつなぐものは愛情だけということです。


それから、同級生・同窓生・同郷・同じ学校となれば、大脳に入れてきたものが同じなので、意見が合います。

一方で例えば、A君とB君が喧嘩してる時に、それぞれが「自分は正しい」と言います。

そう思っている根拠を聞くと「自分が正しいから」と言うんですよ。

そしたら、私は彼らに「1億2千5百万個の正しさがあるじゃないか、お釈迦様に行って聞いて来い」と言うと、学生が「お釈迦さんは、もう死んでます」と答えました。

だから、それらはほとんどの親も間違っているのです。


これを大学で親子喧嘩の原因を説明する時があります。

そして、みんなに感想文を書かせると、8割の人は、「あの時、父や母と喧嘩したのは悪かった。意見が違うのは当たり前なのに、俺は父や母を説得しようとした」と反省します。

それは、父親は父親の大脳で考えているから、説得できません。

また、息子は息子の大脳で考えているので、どっちが正しいかは分からないんですよ。


1750年頃のフランスで出版された評論本にも「近頃の若者は」と書いてありました。

今生きてたら300歳ぐらいの人ですが、その当時は若者でした。

つまり、親子の意識の差は永久に埋まらないし、親子や夫婦が意見を一致することはありません。

最近、そういうのをみんな間違って考えているということです。

日本と西洋の宗教観の違い



武田邦彦
-そもそも「個人の尊厳」は西洋的な考えで、日本の神道的な考え方ではオールOKなので「信教の自由」というのは元からありません。

例えば、11月のハロウィンは北方のケルトの神様です。

次は12月になり、私は教え子の学生の結婚式に出ると、二人ともキリスト教でもないのに「イエスの前に愛を誓う」と言っています。

その後、年末には北欧的な行事のクリスマスがあります。

年を開けて正月になると、みんな家族で神社へ初詣に行き、その帰りにはお寺に寄ってお参りしています。


日本人は不思議なことに「俺はキリスト教でこの前、愛を誓ったんだから初詣に行きたくない」とは思わなかったり、初詣で神社でお賽銭をあげて手を合わせて、家族の健康などを真面目に祈っています。

これらは日本の宗教が、ヨーロッパ的な個の宗教ではないからです。

個人が重要ではなく、家族・団体・友達が重要な単位になり、その時は大脳にインプットする情報が違うので、理屈とは異なって愛情が必要だということになります。

羽賀ヒカル
なるほど。

人間理解にとても貴重で大切なお話を伺いました。

武田先生、長時間のお話をありがとうございました。



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この記事をまとめた人

やまちゃん
やまちゃん
2人の娘を持つ父親。ゆにわ塾歴3年。ゆにわと出会って、娘との関係が激変しました。神社chの記事を読んでくださる方々が、羽賀さんやゆにわのみなさんの温かみを感じられるような素敵なサイトにしていけたらと思っています。

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