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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、新米巫女の橋本ユリが、
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高天原はどこにある?知っておきたい高天原神話

2019年9月13日 2019年09月15日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

今日は、高天原についての記事をお届けいたします。

橋本ユリ
高天原について詳しくなれること請け合いですよ!


それでは参りましょう。

高天原とは


高天原と漢字を見て、ピンとくる方は少ないかもしれません。

古事記や日本書紀を研究していた方や、日本古代史に詳しい方はご存じかもしれませんが、「高天原」は日本の神々(天照大御神を筆頭にした多くの天津神)が住んでいる場所のことなのです。

また、神々が住んでいる場所との関連から、神主や神官のことを指す場合もあります。

古事記によると、その「高天原」からイザナギの命、イザナミの命が舞い降りてきて、槍のようなもので地面をかき混ぜて日本列島を作ったとされています。
とても神聖な場所なのですね。

 

高天原の読み方


そもそも、「高天原」は何と読むのでしょうか?
これには諸説あります。

一般的とされているのが「たかまがはら」です。

しかし、これは最近(と言っても江戸時代ころですが)の読み方であり、上代文学においては「たかまのはら」「たかあまのはら」が正しい読み方であるという説もあります。

「たかまのはら」の「の」が「が」に変化したと言われているのですが、あくまでもこれは、時代ごとの資料から検証した結果です。

いま普通に読むと「たかあまはら」と読む人も、多いのではないでしょうか?

 

高天原の神話


天高原は、神々のいらっしゃるところです。

天高原がはじめて文書に出てくるのは古事記であり、日本列島を作る神話が語られています。その神話のあらすじを物語風にご紹介します。

大昔のはなしです。天照大御神(あまてらすおおみかみ)を中心とした多くの神々(天津神)がいらっしゃいました。そこは高天原という場所で、神々は穏やかに暮らしていたのです。

ある日、ふと神々が高天原から下を見てみました。すると、下界は見わたす限りの海が広がり、そこにドロリとしたクラゲのようなものが、いくつもユラユラと漂っているばかりだったのです。

「このようなことではいけない」と神々は思い、なんとかしなければと話し合いをしました。結果、イザナギの命とイザナミの命に陸地を作るように命じたのです。
二人には天沼矛という大きな槍が与えられました。槍で海をかき混ぜて陸地を作ることが、二人の使命だったのです。
イザナギの命とイザナミの命は高天原から天浮橋まで降りていき、そこから下界の海を槍でかき混ぜました。
かき混ぜる度にドボドボと大きな音がして、何かが練りあがっている感じがします。
そこで二人が槍を引き抜くと、槍の先からドロドロとした雫がたれて、それがあっという間に固まって島になったのです。(この島が淡路島だったとも言われています)

二人はその島に降りて、結婚式を挙げました。そののち、二人の協力により次々と、いくつもの陸地が出来上がったのです。
イザナミの命は、人々がその陸地で生きていけるように海・風・石・土の神様などを生みました。
国は豊かになっていきましたが、イザナミの命が火の神様を生んだときに大やけどをして、それが元でイザナミの命は死んでしまうのです。

イザナギの命はとても嘆き悲しみました。
どうしても諦めきれず、黄泉の国に行き、イザナミの命を連れ戻そうと決心したのです。イザナギの命は地下へ続く道をどんどん降りて、イザナミの命と黄泉の国の門の前で対面します。

イザナギの命はイザナミの命に、どうか自分と一緒に地上に戻って欲しい、と懇願したのです。
しかしイザナミの命は「私は黄泉の国の食べ物を食べてしまったのでもう戻ることはできません。ただ、黄泉の国の神のお許しが出れば戻れるでしょう。相談してくるので、それまで絶対に中を覗かず外で待っていてください。」そう言ってイザナミの命は門の中に戻りました。

しかし、いくら待ってもイザナミの命は現れません。しびれを切らしたイザナギの命は、松明を持って黄泉の国の中に入ってしましました。

そこで目にしたのは、腐敗しウジのわいたイザナミの命の身体でした。しかもその体には、恐ろしい雷神がとりついていたのです。

醜い姿を見られたイザナミの命は激怒し、黄泉の国の悪霊たちに「イザナギの命を殺しなさい!」と命じます。

イザナギの命は必死で地上へ向かって逃げました。途中で捕まりそうになりながらも、なんとか地上にたどり着きました。しかし最後に、イザナミの命が追いかけてきていたのです!

イザナギの命はあわてて、黄泉の国と通じる穴を大きな岩を動かして、間一髪で塞ぐことができました。

それでも気が収まらないイザナミの命は、岩の内側から呪いをかけます。
「私はこれから、地上の人達を1日に1,000人ずつ殺すから、覚悟なさい!」
イザナギの命はとっさに「それならば、私の力で地上の人が1日に1,500人生まれるようにする!」と言いました。
こうして、地上では人々が増えて栄えていったそうです。

橋本ユリ
高天原に関わる国造りの神話を、解りやすく述べてみました。
高天原がどういった場所なのか、ご理解いただけたかと思います。

高天原はどこにある?


国造りの神話に基づくならば、高天原は「神々がいらっしゃる天上界のこと」になります。つまり高天原は地上にはない、というのが通説でした。

しかしその後、古事記や日本書紀の研究が進み「イザナギの命とイザナミの命が舞い降りた場所が高天原なのではないか」「大和の国が誕生する歴史を神話として表現している。大和の国の始まりの地が、高天原なのではないか」という説が出てきたのです。

高天原の場所については諸説あるのですが、その中でも有力なものをご紹介します。
また、日本書紀の中では高天原を「天高市」とも表記しているので、それも含めて考えてみました。

 

奈良県御所市高天周辺


この場所には葛城王朝があった、という説があります。

大和の国の発祥の地が「高天原」だとすると、御所市の葛城山、この地一帯が高天原とも言えるでしょう。
実は地名にも、高天原と関連のあるものが多く存在します。

葛城山(金剛山)を高天原山と呼んだり、国造りの神話の中に出てくる黄泉の国を、大岩で塞いだとされる岩戸という地名、高天台や高天という地名も、高天原と関係がありそうです。

この説は古くから言われており、江戸時代に新井白石が、常陸の国が高天原だという説を唱えるまでは、一番有力な説でした。
明治以降、日本創生の歴史研究が盛んになって諸説生まれましたが、御所市高天、広くは奈良盆地全体が神聖な場所である、と考える人は多くいるのです。

 

常陸の国の多賀郡(茨城県)


先にも述べた通り、新井白石が唱えた説です。実際に高天原という地名もあります。

新井白石によると、「高天原」は当て字である。それぞれ「高(タカ)」は多珂の当て字で多珂の国を指す。「天(アマ)」は阿麻でありこれは昔の呼び方で海を指す。原は地面を指すので「多珂の海の近くの陸地」となり常陸の国となる、ということなのです。
国学者らしい論理的な説ですね。

歴史的なロマンはありませんが、説得力はあります。ちなみに、常陸の国には高天浦や高天ノ原という地名もあったので、新井白石の説の証拠となるかもしれませんね。

 

宮崎県高千穂町


天照大御神が、岩戸の中に隠れてしまったのを呼び戻すため、舞を踊ったのがアマズノウメです。それが今でも高千穂の夜神楽として伝承されています。
つまり、神々との縁が深い場所なのです。

天照大御神の孫であるニギノミコトが舞い降りたのが、高千穂と言われています。
先程の国造りの神話とも照らし合わせてみると、「神が舞い降りた地」つまりそこが、高天原という説はうなずけます。

この説を後押しするのが、様々な伝承です。高千穂の地には高天原という地名があり、そこに天津神(多くの神々のこと)がいらっしゃった、という伝承があるのです。
神話の中に高千穂という地名が出てくることから、奈良であるという説とともに、有力な説でしょう。

他にも邪馬台国(九州北部)が高天原であったという説や、熊本県の阿蘇近辺が高天原であったとする説など、数多くの説があります。

めずらしいところだと、イスラエルが高天原であるという説まであります。これは日本人とユダヤ人が同じ祖先から生まれている、と考えるところから来ているのですが、いまのところ、日本国内にあるという説が、大勢を占めています。

 

高天原と神社の関係


高天原は神々がいらっしゃる神聖な地です。当然、神々が祀られて神社ができたとしても、不思議なことはありません。

高天原がどこにあったかとも深く関連していますが、高天原にまつわる神社を、いくつかご紹介致します。

 

奈良県御所市高天周辺の神社


まず、高天彦神社があります。白雲峯という山をご神体とする神社です。
この神社には高皇産霊神が祀られていますが、この神は、この地で栄えた葛城氏の祖先と言われています。国が造られた始まりの地が高天原ならば、神話とのつながりもありそうですね。
実際に葛城氏は、大和朝廷より先に葛城王朝を築き、その後も蘇我の一族として力を持っていたそうですから、まさに神話と一致する部分があります。

次に風の森神社です。稲作の神が祀られています。神話を読み返してみると、イザナミの命は、様々な神を生んだとされていますよね。稲作の神が祀られていることは、イザナミの命が舞い降りた地かもしれませんし、なにより稲は繁栄の象徴ですから、高天原との関連性があるとも言えるでしょう。

この地には高鴨神社もあります。阿遅志貴高日子根命(あぢしきたかひこねのみこと)などが祀られています。

実はこの神は、とても高貴な神で大御神と呼ばれているのです。大御神は他に天照大御神と、伊邪那岐大御神しかいらっしゃいません。大切な神様が祀られているということは、この地は、神々がいらっしゃった地である証なのかもしれません。

 

宮城県高千穂町


ここには高千穂神社があります。先程も述べた、高千穂の夜神楽が楽しめます。

ここでは熊野修験も行われたりして、独特の信仰を有しています。

天照大御神の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)も祀られています。天照大御神の命により、他の神々とともに高千穂に舞い降りた、とされています。
このくだりが神話と相まって、高千穂が高天原である、とする根拠になっているのかもしれません。

ご神木として、樹齢800年の秩父杉が祀られており、縁結び・夫婦円満のご利益がある神社です。

 

まとめ


橋本ユリ
高天原について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?


神々がいらっしゃる場所として、訪れてみてはいかがでしょうか。特に、奈良の葛城古道を巡るコースは、独特の落ち着いた雰囲気があります。ヒーリングスポットとしてもおすすめです。


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