神社チャンネル

神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、架空のキャラクターの
新米巫女の橋本ユリが、神社に関する知識をわかりやすく解説します。

神道と海外の宗教(キリスト教、イスラム教、仏教)の違い

2019年11月24日

こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。

橋本ユリ
皆さんは神道というと、何を思い浮かべますか?


「神社」「巫女さん」「厄払い」などなど。
もちろん、それも神道の一部なのですが、神道は日本人の性質が生み出した、とても温かい宗教なのです。

まずは、神道がどのように生まれたか、ご紹介します。

それでは参りましょう!

神道は日本人らしい?~歴史・宗派などなど~

神道のもとになったのは何か?という質問に回答するのは、結構むずかしいのです。

というのも神道は、日本の神話や伝承、祖先や自然、言葉や仕草(所作)など、ありとあらゆる事柄に神が宿っている、という考えから成り立っているのです。

後程お話しますが、神道には創設者がいません。
逆に言えば、全ての神話の神々・偉大な祖先・自然が神様なのです。いわゆる八百万の神々です。

他の宗教のようなブッダ、キリスト、アッラーのような方が「このような考え方で生きていきなさい!」と教えを説いた教科書(正典と言います)もないのです。

簡単に言うならば、とても緩やかで幅広く、奥深く優しいのが神道の特徴です。

神社には、ご祭神がいらっしゃいます。各地の神社に、多くの神様がいらっしゃいますよね。
天津神のみならず国津神、そして、歴代天皇や皇后も神として祀られています。

それだけでなく、動物や自然(山・火・田圃・水など)までも含んで、総合的に成立しているのです。
長く続いている神道には、根幹となる教えがあります。祖先から続いている想いの集合体です。すごいことですよね。

 

神道の歴史と教え

神道の原形ができたのは、なんと縄文時代だとも言われています。
とても古いですよね。ただ、自然神や祖先を祀り始めたのは、その頃であっても不思議ではありません。

初めて神道という言葉が文献の中に出てきたのは、日本書紀です。31代天皇である用明天皇が仏法を信じて、なおかつ神道をとても尊んでいた、という記述があるのです。
つまり、仏教とは別に、神道がきちんと存在していたことになります。

神道は、古事記や日本書紀の神話の神々を祀り、さらに国を治め、人々を繁栄させてきた歴代の天皇を、神様として祀っているのです。
そして、地域ごとの偉大な人物(豪族や知識人など)や自然も巻き込んでいき、大きな神道が形づくられたのです。

不思議なことに、多くの集合体であるにも関わらず、神道には主たる精神が通っています。

「清明正直(セイ・メイ・セイ・チョク)」です。浄明正直とも言われています。
直訳すると「清らかで明るく、正しい心持ちで素直に」となります。

まずは物理的にも、精神的にも清らかでなければならない、それが命の源となります。
その清浄が保たれると、自然に曇りや偽りのない、正しい物事ができるようになり、感謝で満ちあふれた毎日を、過ごすことができるのです。
仏教やキリスト教では、来世での幸福の実現に重きが置かれていますが、神道では今、暮らしているこの瞬間を生き生きと、幸せにいきる方法を述べています。

とても単純明快ですが、いざ実行するのは難しい世の中ですよね。しかし、現在でも自然に「穢れを祓う」「身を清める」といったことが重んじられている日本は、神道の精神が生き続けている感じがします。

この根本的な精神から派生して、いくつかの教えがあります。

 

・生命・人々の結びつきを貴ぶ

生命が誕生し、人々が出会い成長し、豊かな暮らしをしていくことが良いことである、と神道では述べています。
これを「産霊(ムスヒ)」と言います。日本神話の中でも、イサナギ・イザナミの国造りの神話はまさにムスヒにあたります。
また、歴代の天皇がこころ配りされたのも「民の安寧と繁栄」です。どの代の天皇も、表現の違いこそあれ、それを願ってきました。そこには神道の精神が、受け継がれていたのではないでしょうか?

 

・神(祖先)を敬う

これは、神々や天皇だけでなく、自分たちの祖先やその土地の森林や川、山や海などを敬うことでもあります。
神々、祖先を敬うことにより、自分自身を律することができ、祖先に恥じない生き方をしていくことができます。

また、自然を敬うことによって、自然と人々が融和し、それによって恩恵を得る、それが日々の豊かな暮らしにつながる、ということです。
神社には、その土地独自の神様が祀られていたりします。それは、神を身近に感じることでもあり、素敵なことですよね。

 

・人と人との和を重んじる

日本人は争いを好みません。よく「物事をはっきり言わない」と、他国から非難されることもありますが、様々な考え方の中で調和する形を考えます。
その最も象徴的なことが、「八百万の神」です。これは、神も人も自然も全て調和することを表しています。

他の宗教のような「絶対的な力を持つもの」はいない、というのが不思議なところです。
実際、神々の中にはお互い敵どうしだった者もいますし、自然神の中には大きな災害を起こした川や海なども含まれています。
しかし、それらも含めて皆で国を豊かにしていこう、というのが神道の考え方なのです。

 

・立ち居振る舞い、言葉には霊が宿る

万葉集には、多くの帝を讃える歌、国の繁栄を祝う歌があります。また、神事に祝詞は欠かせません。これらには、言葉の持つ力を信じる心が現れています。
今でも、「口に出す言葉には気をつけなさい」と言われていますよね。実際、お祓いは言葉と所作によって行われるのです。

また、思わず口に出したことが本当に起ってしまった、という体験をした方もいらっしゃると思います。
また、美しい所作や動作には神が宿ると言われ、神事での動作は、細かく決められています。伝統芸能である能も、観る人の心を動かすのはその所作の美しさ、最小の動きで感情を表現することへの感動があるからだ、と思います。

それでは、これだけ幅の広い神道には、どのような種類があるのでしょうか?

 

神道に種類がある?

神道は、ゆるやかな集合体です。たぶん、他の宗教ならば宗派争いが起るでしょう。(実際に、キリスト教では各宗派は相いれないことが多いようです)
神道は広く捉えるならば「道」なのかもしれませんね。人々の暮らしを支える道標ともいえるでしょう。

ここで神道を分類してみますが、それぞれに特色があり「神道って奥が深いんだ」と感じていただければ嬉しいです。

 

・皇室神道

これは、天皇が祭司となって、国家安寧や人々の暮らしがより豊かになるように、祈願する祭祀です。
新嘗祭などがこれにあたります。また、元旦の早朝に行われる、四方拝(しほうはい)も有名ですよね。天皇の即位、退位もこの神道に則ってとり行われます。
いにしえより、天皇は日本を豊かにするために、力を尽くされてきました。神話の中でも数々の苦難を乗り越えて、人々を守り日本を繁栄に導いてきました。
その願いが祭祀となって、脈々と受け継がれているのです。
神道の根幹ともいえるでしょう。

 

・神社神道

私たちが身近に感じる、ポピュラーな神道です。それぞれの神社が、創建されたときからの祭祀を行うものです。
ひとつひとつの神社には、それぞれ深い願いが込められており、地域の人々に支えられ、また神社も地域を守り続ける、これが神社神道です。
あなたのお住まいの、一番近くにある神社を訪ねてみてください。きっと、昔から受け継がれてきた想いがあるでしょう。知らず知らずのうちに、守られていたことを感じると思います。

 

・民俗神道

自然を信仰したり、その地方で行われてきた風習や祭りを、神道として受け継いだものです。旅の安全を願う道祖伸や、山岳信仰もこの中に含まれます。その精神は、まさに神道と一致します。

 

・教派神道

明治元年、神仏分離が行われて、国が祭祀と政治を一体化することを決めました。

当時、明治維新を終えた日本は、海外の国に追いつくことが急務でした。幕末にアヘン戦争で清がイギリスに敗れ、植民地化してしまったことに、日本政府は危機感を覚えていました。明治維新の原動力ともなったこの出来事ですが、長州藩・薩摩藩などの新政府要人は、外国と日本の国力の差に、焦りを覚えていたのです。

国全体をあげて一致団結し、国力を高める必要があったのです。
人々の心の支えであった神道の力を使い、心を一つにするために、政府は神道を公式に認可することにしたのです。
その神道が13団体だったので、神道十三派とも呼ばれています。天理教・黒住教・金光教などがあります。

 

・復古神道

記紀のころに行われていた神道を復活させよう、というのが復古神道です。

【復古神道】日本人が知っておくべき国学四大人



日本書紀や古事記などの神話や、様々な伝承をもとに、源流に立ち戻った神道を目指すものです。神道は寛容な宗教ですから、様々な宗教の影響を受けてきました。仏教や儒教などが、その主だったものです。「良いところを取り入れる」のは日本人の良さなのかもしれませんね。

ただ、神話時代の神道に対するあこがれも、理解できます。それほどまでに、日本書紀・古事記に描かれている神話は感動的で奥深く、様々なことを象徴的に、物語っているのです。
そのころに立ち返った神道を目指そうとするのは、自然な流れなのかもしれません。

他にも、橘家神道・雲伝神道などがあります。

橋本ユリ
このことだけ見ても、神道の幅広さがわかりますよね。


それでは、海外の宗教と日本の神道にはどのような違いがあるのでしょうか?

 

海外の宗教と神道との違い~仏教・キリスト教・イスラム教との比較~

海外のメジャーな宗教(仏教・キリスト教・イスラム教など)との大きな違いは「統一された正典の有無」「リーダーもしくは神が一人」という2点にあります。

 

神道は八百万の神々

さきほどもお話した通り、昔からの神道には正典もありませんし、創始者もはっきりしません。(これは源となる神道のことで、創始者・正典のある神道も存在します)
日本書紀や古事記の神話、伝承や偉人などを敬い、祀ったことが始まりと思われます。

ここが、神道のすばらしいところかもしれません。創始者がいる場合は、その人物を中心に信者が組織化されてしまい、本来の教えが伝わらないケースもあります。

また、正典がないことも、様々な自然神や伝承を受け入れる間口の広さにつながるのです。
神道は柔軟であるがゆえに、日本人に好まれているのかもしれませんね。

 

仏教・キリスト教・イスラム教については?

それでは、創設者、唯一神のいる宗教について解説してみましょう。

 

・仏教

ここでお話する仏教は、海外の仏教のことを指します。日本に伝わった仏教は、神道とも交わり、独自の進化をとげて、日本人らしい形となっているからです。

創始者はゴータマ・シッダールタです。インドで生まれました。釈迦と言ったほうが、解りやすいかもしれませんね。
正典は仏典と呼ばれています。実はその名前、三蔵というのです。あの、孫悟空の話の中の、お坊さんの名前ですよね。意味深です。律・経・論の3つからできているので、三蔵となります。
仏教は輪廻思想が根本にあります。何度も何度も生まれ変わる、しかもその生は、苦しみに満ちているというのです。
この苦しみから逃れる方法が仏教では示されており、それを解脱と言います。修行を積んで努力し、解脱を目指す、これがもともとの仏教の教えなのです。
人生を苦、修行の場としてとらえている部分は、神道と違っているかもしれませんね。

また、仏教と日本人は相性が良かったようで、神道と融合して独自の仏教を作り上げています。

 

・キリスト教

イエス・キリストが創始者です。
正典には聖書(旧約聖書と新約聖書)があり、旧約聖書は神の天地創造と、アダムとイブの楽園追放、モーゼが十戒の天啓を得るなど、神話や律法について描かれています。また、預言者による記述もあり、難解でありつつ、面白さもあります。
ちなみに、ユダヤ教はこの旧約聖書のみを正典としていて、似ていて非なるものなのです。
新約聖書はキリストの生涯とその弟子たちの話が書かれており、この言葉が、信者の拠りどころとなっています。
特徴的なのは、キリスト以外の神を認めていないことです。キリスト以外の神を崇めることは、偶像崇拝とされ禁じられています。
また、聖書が唯一正しい正典であるともされているので、他の宗教との対立も起こりました。
また、一口にキリスト教と言っても宗派によって違いがあり、カトリックは儀式・教会による統治を重んじ、プロテスタントは聖書の教えを重視しています。(マルティン・ルターによる宗教改革で、プロテスタントは生まれました)

キリスト教は、死後、天国に行けるように善行を積むことが根幹にあります。どちらかというと、来世主義なのかもしれません。

 

・イスラム教

アッラーが唯一の神とされています。正典はコーランです。
イスラム教も、偶像崇拝を禁じています。
戒律が厳しく、断食や礼拝、日常生活における禁止事項(豚肉を食べない・女性は肌や髪を出して外出しない等)、生活だけでなく社会のありかたも決めてあるのです。
神に全てを捧げる、というイメージが強いですが、それとともに良い行いを推奨し、慈愛をもって生活するよう、教えられています。

このように見ていくと、やはり宗教の多くは「唯一神への信仰」「整えられた正典」があるようですね。

逆に、神道は本当に日本人らしさが表れています。共存共栄を望み、争いを好まない。自然を恐れ敬い、恩恵を得ることを喜びとする。人と自然の融合(神と自然の融合)があり、現世を明るく暮らすことが、神道では説かれています。

それでは、現世において、皆が最も多くの時間を割いている「労働」について、神道とキリスト教では、どのように捉えているのでしょうか?

 

「労働」は喜び?苦役?~神道とキリスト教の労働観の違い~

神道とキリスト教の大きな違いは「労働観」です。

まず、キリスト教における労働観ですが、宗教改革が起る前と後で、違いがあります。
宗教改革前については、旧約聖書に基づき「労働は、人間が生まれながらにして持っている罪に対する罰」とされています。
アダムとイブは無邪気に楽園で暮らしていました。ところがある日、ヘビにそそのかされて、とある木の実を食べてしまうのです。

木の実の名は「知恵の実」。神様から、食べることを禁じられていました。
神様は怒り狂って、二人を楽園から追い出してしまうのです。

神様はその時「汝(なんじ)、額に汗してパンを得るべし」と言いました。つまり、苦労して日々の糧を得なさい、ということなのです。極論でいうならば、労働は苦役である、ということなのです。結構厳しいですね。

しかし、宗教改革後は「働くことにより魂を磨くことができる、仕事は神から与えられた使命である」という、修行的な考えに変わってきました。

一方で、神道はどうなのでしょうか?神道では物を産みだすムスヒを、善いこととして捉えています。つまり、労働は「尊いこと」と位置付けられているのです。
また、いにしえの労働は、稲作などの農業がほとんどでした。これは、天津神も行っている行為で、神聖なものとされています。
日本書紀にも「高天原において作られた神聖な稲をあなたに渡します。葦原中国に持っていき、私の代わりに、大切に育ててほしい」と書かれています。
つまり、働くことは神事にたずさわること、とされているのです。
労働は神聖なもの、苦しみや生活のためだけではなく、自分自身に喜びを与えてくれるものなのですね。
このような考え方は、めずらしいのではないでしょうか。

 

まとめ

神道は、日本人の「和を尊ぶ心」が生み出したものです。もしかしたら、日本人の細胞の奥深く、DNAに組み込まれた「自然を慈しみ、全ての人や物に対する敬意」が、神道を作り上げたのではないでしょうか?

「葦原の 瑞穂の国は 神ながら こと挙げせぬ国」神道の精神を一言で表している、柿本人麻呂の歌です。
意味としては「稲が多く実る美しい国、日本の国では、たとえ神様であっても、強く言ったりはしない(理屈を言ったり、相手を言い負かしたりはしない)」という感じです。

他の宗教と争わない宗教は、めずらしいのではないでしょうか?
日本人の魂の源である神道は、平和と慈しみの心に満ちています。もしかしたら、人々が平和に暮らす姿が、神道では示されているのかもしれませんね。

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