神社チャンネル

神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、新米巫女の橋本ユリが、
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ずっと先の未来も神社を残すために~丹生都比売神社宮司・丹生晃市さん2

2022年11月14日 2022年11月17日

あなたの心に火を灯す、東洋思想及び神道研究家の羽賀ヒカルです。

今回も丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)の丹生宮司をお招きしてお届けしていきます。

どうもよろしくお願いします。



地域から日本を盛り上げる地域と神社の関係性


【羽賀ヒカル】

神社チャンネルの理念は、日本をより良くしていくことです。

より良くしていくためにも、やはりこの日本の伝統や文化を守っていくこと、かつ国政や政治が変わっていくことも重要なんですけども、地域・地方から盛り上げていくことが大事だとお伝えさせていただいています。

地域・地方から盛り上げていくために、日本人は昔から神社や祭りを中心に盛り上げてきた歴史があると思うんですけど、地域・地方の神社には伝統や文化を守っていくことが厳しいところもあるのが現状です。


それこそ、今から20年後には少子化・人口減が本当にリアルに迫ってくる中で、いかに神社を守っていくのかが大きな課題だと考えています。

こちらの丹生都比売神社では、そういった問題をどのようにお考えでしょうか?


【丹生宮司】

丹生都比売神社では、地域との関係性を大事にしていきたいと考えております。

単に、ここに参拝者が来てくれれば良ければ、北海道から沖縄までの人たちが来てくれたら良い訳です。

極端に言えば、和歌山県の人、あるいは周辺の地域の人がそんなに参拝へ来なくても良いという方針でも、もしかしたら神社自体は存続できるという考え方もあるかもしれないですが、神社は日本に8万社以上あって、各地域の人の思いでそこに神様を祀る。

丹生都比売神社の場合は、非常に広い範囲がテリトリーで、昔からある神社なんですが、そこから考えると、地域が存続してここに人が住んでくれなければ意味がない、やはり地域が栄えてくれなきゃいけない。

神社経営的に言えば、そういう人たちが神社にお賽銭を上げてくれています。


地域の人たちの気持ちがまず一番ありがたいと、どこの神社も考えていると思うんです。

私ども神社としましては、そのようなことを考えつつも、全国各地の一つひとつの神社が、昔からその地域の一つのコミュニティをなして神様を祀っている訳で、神様の祀り方もお祭りも、地域毎で8万通りある。

それがやはり日本の良さであって、日本が成立している訳なんですよね。

だから、「各神社をどうやってみんなに知らせていくか?」を考えています。

狭い地域のことで恐縮なんですが、我々の伊都郡(いとぐん)という高野山を中心とした地域には神社が64社ありまして、それらが一つのまとまりとして「支部」という形で運営をしています。

ここが面白いというか、僕はスゴイなと思っているのは、高野山の場合「お寺はすごいけど、神社は、、、」と思われるかもしれないですが、実は祈りという意味で神社もスゴイんです。


【羽賀ヒカル】
どういうスゴさがあるんですか?

地元愛に支えられる丹生都比売神社


【丹生宮司】
伊勢神宮は式年遷宮と言って、20年ごとに社殿と神宝を建て直していますよね。

我々の支部の64社のうちの半分は、神社を建て直すところまではいきませんが、20年に1回、修理をしている形が未だに残っているのです。

皆さんご存知で、心配していただくように、兼任の神社が多く、64社あっても宮司は11人ぐらいしかいないのです。


【羽賀ヒカル】
多い方で10社ほど受け持っているということですよね。


【丹生宮司】
それなのに兼任の神社も含めて、ちゃんと遷座祭(せんざさい)を20年ごとにやっているんですよ。


【羽賀ヒカル】
神社の社殿の修復にはお金がかかると思うんですが、どのように守られているんですか?


【丹生宮司】
もちろん、その地域に氏子(うじこ)さんが居れば、その人たちがお金を出すんですが、そうでない神社もある訳ですよね。

氏子が一番少ない神社では、7人しかいません。

そういう神社でも遷座祭をやろうとした時に、出氏子(でうじこ)という考え方があるんです。


【羽賀ヒカル】
(地域を)出た氏子ということですか?


【丹生宮司】
そうです。

ふるさと納税という納税のシステムがありますが、出氏子は見返りのないもので、自分の元々のルーツの場所に対してお金を出すという考え方なのです。

東京や大阪、和歌山市内へ出て行った人が、自分が元々住んでいたり、あるいは今も家だけある地域の神社が遷座祭をするためのお金を寄付するんです。

先ほどお話した氏子が7人の地域では、なんと和歌山を出て行かれた方が中心になってお金を集め、それで何百万円もお金を集めて大修理をしています。

でも、みんな出て行ってしまっていて、地域に氏子が7人しかいないので、今後のことを考えてコミュニティセンターまで作ってしまいました。

コミュニティセンター作るお金は和歌山県から実は補助金が出るんですけど、何しろ人口が7人じゃないですか?

出氏子の方々は、そこに住んでいる人たちではないので、補助の要件が整わないんです。


【羽賀ヒカル】
どうしたんですか?


【丹生宮司】
宝くじの補助金をもらってきて建てたんです。


知恵ものでしょう?


【羽賀ヒカル】
それは地方の行政と交渉したんですか?


【丹生宮司】
補助金をどうやってもらったのかは知りませんけども、そのお金で神社の境内にコミュニティセンターを社務所に併設して作ったので、みんなで集まるところがある訳です。

だから、そこの神社は今後、その地域に住んでいる人が少なくても、元々そこにいた人たちが集まって、みんなでお祭りをするシステムになっている訳です。


【羽賀ヒカル】
地元愛ですよね。


【丹生宮司】
そうなんですよ。

そんなことをしてまで、20年に1回、遷座祭を続けています。

これを残していくことがすごく大事です。

本当に今、過疎化してしまって、神社合併とかいろんな問題も起きています。

正直言って、私どもの中でも起きています。

でも、そこまでいかないうちになんとか歯を食いしばってやっていかないといけないんですが、そのために出氏子という考えがあるんです。


そして、もう一つはやっぱり、神社にみんなに注目してもらうことなんですよ。

例えば、その氏子地域の住んでいる人が5軒とか10軒しかなくなったら、やっぱりそこに集まる人が減っているということですよね。

だから、そこの神社の存在というものを知ってもらう。


あるいは、新たに外から来た人たちが入って来ないコミュニティがあるんですね。

それに対して、例えば、うちの地域では地域FMを活用したりしていて、そこに64社の総代さんにみんな出てもらって、1年間、毎週日曜日に放送しています。

そうすると、みなさん聞いてくれるじゃないですか?

自分の神社のことを聞いてくれて、神社があることを知ってもらう。

そのラジオを聞いて来てくれる人もいるので、更に神社をまとめたガイドマップにする。

それに、今は御朱印ブームじゃないですか?


御朱印を渡せるような神社さんでは、電話を掛けての対応や、予約もできるかもしれませんし、その地域に住んでいる人だけに限らず、みんなに神社へ来てもらったり、お祭りの時にも来てもらう。

それで、今度はお祭りを地域FMで取材して、ガイド本を出そうという話になったんですね。

それを公民館などに置いてもらう。

神社は文化の拠点ですから、この地域に移り住んでくれる人が、そこに行ったら地域のしきたりとか文化、昔から伝わっているものが分かるような、文化センター的な機能を神社が果たしていく。

宮司がいなくても総代さんはいますから、今この地域ではこれらのことを考えてやっています。


【羽賀ヒカル】
なるほど。

まずは地元にいる人たちが、神社やお祭りを大事にしていくことですね。


そして、その地域・地方を離れた人たちが、地元愛でまた繋がって、年に1回でも帰ってきて守るところが、地元の産土神社を守ることにも繋がってきますね。


【丹生宮司】
学生さんで、ボランティアで手伝いたい人もいるんですよね。

大阪から来ている方もいらっしゃいます。

ある意味では、興味を持ってくれる人やご縁がある人たちを結んでいくことが必要なのかなとも感じます。

自分たちだけで頑張るのって、もうなかなか難しいですよね。

丹生宮司が考える、理想の循環システム


【羽賀ヒカル】
もう1つ、お伺いしても良いでしょうか?

神社本庁や神社の側として、変わっていった方が良いと感じることや思うところはありますか?


【丹生宮司】
今すごく有難いなと思うのは、こうして若い方が来てくださって興味を持って下さることです。

やはり、これはスゴイことだなと思っているんですね。

パワースポットブームみたいなのが始まって、目につく神社さんにはたくさん人が行きますし、その延長線上で「本質は何か?」を、神社チャンネルさんのように考えて下さっていますね。


最初はご利益信仰で、なんだか疲れてしまったり、バブルが弾けた後でもう将来の希望がなくてちょっと癒しに神社に行く時であったり、パワーもらいに行くところから、今は更に本質的な神社の祈りを求めて来てくださる、あなた方みたいな方たちが出てきています。

でも、その行先はどこかというと、やっぱりある程度有名な神社になってくる訳です。

その中で最たるものが伊勢神宮なんですよ。


我々神職からすると、伊勢神宮のお札である「神宮大麻(じんぐうたいま)」を授与させていただいています。

伊勢神宮の式年遷宮には莫大な費用がかかっていますが、これを守ることが一番大事で、この式年遷宮をやる事自体が、1300年続いている神道のシステムを守ることなんです。

だから、神社の側から伊勢のお礼を頒布させていただいている訳です。


できたら、氏神様で本当に大変な神社もある訳ですから、今度は逆にこういったシステムも伊勢参拝に行った方にも伝えて欲しいんです。

地方の神社は、伊勢のお札を頒布させて頂いていても、伊勢に行った人は伊勢だけを目指して行かれる人もいる訳です。

今、この記事を読まれている方はそうじゃないと思いますけど、伊勢神宮に行かれた方に、「日本には8万の神社があって、氏神があるんですよ。あなたの担当の神社は氏神ですよ。そこに行かなくてどうするの?」と知らせなきゃいけないんです。


神社本庁には、伊勢神宮でそれができるシステムを考えていただけたら良いなと僕は思うんですけどね。

平成26年の式年遷宮の後には、1,420万人もが参拝しているんですよ。

この人たち一人ひとりが全員、氏神さんに行ってくれたら、スゴイことになるじゃないですか?


【羽賀ヒカル】
そうですね。

伊勢神宮を中心としながらも全ての神社が繋がり合えるような、まさに八百万の循環システムができれば、理想なのではないかなと認識しました。


今回は「地方の神社を守っていくにはどうすれば良いのか?」というテーマでお届けさせていただきました。

非常に重要な内容になったと思います。

丹生宮司、どうもありがとうございました。


【丹生宮司】
どうも、ありがとうございました。


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この記事をまとめた人

さめっち
さめっち
5歳児を子育て中のママ。ゆにわ塾歴5年。ゆにわ塾で学ぶ前は、自分を変えたい!現状を変えたい!とばかり思っていて、でも変われなくて... もがいていました。ゆにわ塾での学びと、あたたかみのある関係のおかげで、いつの間にか家族や仕事もビックリするぐらい変わりました。

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