【天手力男命】必勝祈願!ここ一番の突破力の神様
こんにちは!北極神社の新米巫女、橋本ユリです。
天手力男神(アメノタヂカラオ)は『古事記』や『日本書紀』などの日本神話に登場する神様です。その名前の通り、力の強い神様として知られています。
日本神話の中では様々な神様が登場しますが、「力が強い」という神格を持つ神様は珍しいものです。
橋本ユリ
さて、そんな珍しい神格を持つアメノタヂカラオは一体どのような存在の神様なのでしょうか?
今回の記事では、アメノタヂカラオの神話やご利益について解説をしていきます。
それでは参りましょう!
天手力男神とは
アメノタヂカラオは、日本神話において「天の岩屋」という物語の中で活躍をします。天の岩屋というのは、天照大神(アマテラスオオカミ)がスサノオが引き起こした出来事にショックを受け、閉じこもってしまうという物語です。
アマテラスが閉じこもってしまった世界は暗黒に包まれました。そこでアメノタヂカラオは、アマテラスを天の岩屋から引き出す役割を担いました。オモイカネという知恵の神の策略により、アメノタヂカラオは無事にアマテラスを引き出すことに成功します。
アメノタヂカラオの力が無ければ、アマテラスは天の岩屋から出てこず世界は暗闇に包まれたままだったかもしれません。
そのような神話を持つアメノタヂカラオは、勝運や開運の神様として古来より信仰を集めてきました。戦国武将の織田信長やもアメノタヂカラオを信仰しており、アメノタヂカラオを祀る神社を祈願所と定めていたといいます。
現代でも必勝の神として信仰されるアメノタヂカラオは、スポーツ選手や受験生からの人気が高い神様です。
別名
アメノタヂカラオは古事記と日本書紀でそれぞれ漢字表記が異なります。
『古事記』
- 天手力男神
『日本書紀』
- 天手力雄神
他には下記の別名があります。
- 手力男神(タヂカラオノカミ)
- 手力雄神(タヂカラオノカミ)
- 天之手力男命(アマノタヂカラオノミコト)
- 天之手力雄命(アメノタヂカラオノミコト)
- 天手長雄命(アメノタナガオノミコト)
- 田力男命(タヂカラオノミコト)
文献や神社によって表記名が異なるようです。
ご神格
アメノタヂカラオは、腕力・握力・筋力などといった「力」を象徴する神様です。神話では天の岩屋に閉じこもってしまったアマテラスの手を取り、岩屋から引っ張り出す役割を担いました。
現代では「力の神」「スポーツの神」「技芸の神」として信仰されています。神社によっては学業成就の神としても祀られています。
ご利益
アメノタヂカラオのご利益は下記の通りです。
- スポーツ向上
- 技芸上達
- 厄除け
- 開運招福
- 勝運
- 五穀豊穣
- 必勝祈願
アメノタヂカラオは力を象徴する神様であるため、スポーツ向上や必勝のご利益があります。スポーツ選手からの信仰を特に集めています。
天手力男神の神話
アメノタヂカラオは、アマテラスが岩屋に身を隠してしまい、世界が暗闇に包まれてしまう物語の中で登場します。
アメノタヂカラオがどのような活躍をしたのか、神話を紹介していきます。
アマテラスとスサノオ
まず、なぜアマテラスが天の岩屋に身を隠してしまったのか、その原因は須佐之男命(スサノオノミコト)にあります。
スサノオはアマテラスの弟にあたります。母に会うため根の国へ旅立とうとしたスサノオは、最後に姉のアマテラスに挨拶をするため高天の原へ向かいました。
轟くようなスサノオの足音を聞いたアマテラスは「スサノオが高天の原を奪いにきたに違いない」と考え、大きな弓を携えてスサノオを迎え撃ちます。
何をしに来たのかと尋ねるアマテラスに、スサノオは「母のいる根の国へ行くので、姉さんにお別れを言いに来たのです」と言います。しかしアマテラスはそれを信じられず、スサノオを高天の原に入れようとはしません。
そこでスサノオは「では二人でウケイをして、子供を生んでみましょう」と提案します。ウケイというのは古代の日本で行われていた占いです。スサノオは、自分に邪心が無いかどうか子供を生んで占おうと提案したのです。
アマテラスはスサノオの剣を受け取り、三つに折って泉の水で清めました。剣を口に含み、噛み砕いて吹き出すと三柱の女神様が生まれました。
次に、スサノオはアマテラスの玉飾りの玉を五つ受け取り、泉の水で清めました。アマテラスと同じように玉を口に含み、噛み砕いて吹き出すと五柱の男神が生まれました。
スサノオの剣から生まれた女神はスサノオの子で、アマテラスの玉から生まれた男神はアマテラスの子だということになります。スサノオの剣からやさしい女神が生まれたということは、スサノオに邪心は無かったということになります。
こうしてスサノオは高天の原に滞在することを許されました。すると途端にスサノオは、高天の原で粗暴な行動を次々に起こすようになるのです。
暴れるスサノオが馬の皮を放り投げたときのことでした。馬の皮は、はたおり小屋に落下し驚いたはたおり娘が倒れた際に、はたおり道具に身体を突き刺し、なんとアマテラスの目の前で死んでしまったのです。
アマテラスはスサノオが起こしたこの事件に酷く悲しみ、天の岩屋の中に身を隠してしまったのでした。
天の岩屋
アマテラスがいなくなってしまったことで、天の世界も地上の世界も全てが暗闇に包まれました。困った神々は、アマテラスに出てきてもらう方法を相談します。
オモイカネという知恵の神様の提案で、神々は大きな鏡を用意します。それから力持ちのアメノタヂカラオを、岩屋の戸の陰に隠れさせて準備は完了です。
アメノウズメという踊り子の女神様が登場し、踊り始めました。神々はアメノウズメの踊りに拍手を送ります。すると、天の岩屋の戸がほんの少し開きました。
アマテラスは「世界は暗闇に包まれているはずなのに、なぜ楽しそうなのか」と尋ねます。アメノウズメは「アマテラス様より素晴らしい神様がおいでなさったのを祝っているのです」と答えました。
自分より素晴らしい神様を見ようと、アマテラスは岩屋の外を見回そうとします。そこへ大きな鏡をさっと差し出しました。アマテラスは鏡に映った光り輝く自分の姿を新しい神様だと思いこみます。
もっと近くで神の姿を見ようとアマテラスが岩屋の外へ身を乗り出したときでした。岩屋の戸の陰に隠れていたアメノタヂカラオがアマテラスの手を取り、岩屋の外へ引き出しました。
こうしてアマテラスは再び高天の原に戻り、天にも地上にも光が差しました。
天孫降臨
アマテラスの孫である瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)は中つ国をおさめるため、高天の原から天下ります。これを「天孫降臨」といいます。
その天孫降臨のお供にアメノタヂカラオが選ばれました。他にオモイカネ、アメノイワトワケもお供としてニニギについていきます。
天手力男神を祀る神社
アメノタヂカラオが祀られている神社について紹介していきます。
手力雄神社
手力雄神社はその名前の通り、アメノタヂカラオを主祭神として祀っています。
戦国武将の織田信長が必勝祈願に訪れたことから、勝運の神として信仰を集めています。織田信長は、この神社を自身の祈願所として手厚く保護していたそうです。
現代の手力雄神社は勝運や開運のパワースポットとして人気があります。必勝祈願がしたい人はぜひお参りに行ってみてください。
住所:〒504-0043 岐阜県岐阜市蔵前6丁目8-22
アクセス:岐阜バスコミュニティ岐阜各務原線「手力雄神社前」下車
ご祭神:手力雄神
ご利益:勝運、開運招福、家内安全、商売繁盛、車祓い、厄除け
戸隠神社
戸隠神社は、天の岩戸が飛来したことで出来上がったとされる「戸隠山」に鎮座しています。「天の岩戸開き」において功績のある神々を中心に祀っています。
多くの大木に囲まれた神社は荘厳な雰囲気を纏っています。美しい自然を散策しながら戸隠神社の五つの社を巡る「五社巡り」は非常に人気が高いです。
五つの社ではそれぞれ違った御朱印を頂くことができます。また、五つの社の御朱印を全て集めると、記念に戸隠神社オリジナルのしおりをもらえます。
参拝される際はぜひ五社巡りをしてくださいね。
住所:〒381-4101 長野県長野市 戸隠3506
アクセス:JR「長野駅」よりバスで「戸隠奥社」下車
ご祭神:天手力雄命、天八意思兼命、天表春命、九頭龍大神、天鈿女命、高皇産御霊命、栲幡千々姫命、天忍穂耳命
ご利益:スポーツ必勝、心願成就、開運、勝運、五穀豊穣
佐那神社
佐那神社は『古事記』の記述にも登場する神社です。「佐那(さな)」というのは、古事記の中の「佐那県」という地名から名付けられました。「大森社」「中宮」とも呼ばれています。
佐那神社では天手力男命を主祭神として、他23柱の神様を祀っています。起源は明らかになっていませんが、1000年以上の歴史があると伝えられている由緒の正しい神社です。
境内は大きな森の中にあります。静かな雰囲気の中でお参りがしたい人におすすめの神社です。
住所:〒519-2179 三重県多気郡多気町仁田156
アクセス:JR「佐奈駅」より徒歩9分
ご祭神:天手力男命、邪那美命、天照大御神、須佐之男命、天忍穂耳命など
ご利益:スポーツ向上、必勝祈願、開運招福、技芸上達、厄除け
白井神社
白井神社は尼崎市を中心に4社置かれています。4社全て天手力男命を主祭神として祀っています。
白井神社は古くから「歯神社」として親しまれ、歯に対するご利益があるとされています。歯の治癒へのご利益がある神社というのは珍しいですよね。
歯を守護するためのお守りも販売されています。歯の病気を治したい人はぜひお参りに行ってみてください。
住所:〒661-0953 兵庫県尼崎市東園田町4丁目48
アクセス:JR「園田駅」より徒歩3分
ご祭神:天手力男命
ご利益:歯患平癒、開運招福、厄除け、病気平癒、勝運
湯島天満宮
湯島天満宮は東京の湯島に鎮座しています。必勝のご利益のある天之手力雄と、学問の神様である菅原道真が祀られていることから、学生の合格祈願をする神社として人気が高いです。
境内にある「梅園」には梅の木が植えられており、2月の中旬頃には梅の花が満開に咲き誇ります。2月~3月の初めにかけて「梅まつり」が催され、境内で様々なイベントが開催されます。
学業のお祈りや、必勝のお祈りをしたい人はぜひ足を運んでみてください。
住所:〒113-0034 東京都文京区湯島3丁目30−1
アクセス:東京メトロ「湯島駅」より徒歩5分
ご祭神:天之手力雄命、菅原道真公
ご利益:学業成就、開運招福、必勝祈願、合格祈願、厄除け
雄山神社
雄山神社は霊峰立山をご神体としています。立山の神として、雄山神社で天手力雄神と伊邪那岐神(イザナギノカミ)の二柱を祀っています。
雄山神社は3つの社から成り、「峰本社」「芦峅中宮祈願殿」「前立社壇」があります。
山頂の「峰本社」まで行くためには登山をする必要があります。道は舗装されているので、きちんと用意をしていけば初心者の方でも登れるコースとなっています。
山頂まで行くのが厳しければ、麓の芦峅中宮でお参りをするのがおすすめです。登山自体が厳しい場合、山の下にある前立社壇でお参りをしましょう。
住所:〒930-1406 富山県中新川郡立山町芦峅寺
アクセス:JR「立山駅」よりケーブルカーで約7分
ご祭神:天手力雄神、伊邪那岐神
ご利益:必勝祈願、厄除け、開運招福、スポーツ向上
石刀神社
石刀神社(いわとじんじゃ)は愛知県の一宮市に鎮座する神社です。戦国武将の徳川家康が西へ進軍する際に参拝したと言われています。
毎年4月19日と、その後の日曜日に開催される「石刀祭」が有名です。石刀祭は徳川家康に関する神事で、山車からくりや献馬奉納は見ものです。
石刀神社では手力雄命を主祭神として祀っており、また、開運や厄除けのご利益のある国常立尊も一緒に祀っています。開運招福、厄除けのご利益を頂きたい人に特におすすめの神社です。
住所:〒491-0051 愛知県一宮市今伊勢町馬寄石刀2
アクセス:JR「石刀駅」より徒歩15分
ご祭神:手力雄命、国常立尊、豊斟渟尊、国狹槌尊
ご利益:開運招福、必勝祈願、厄除け
まとめ
橋本ユリ
今回は、アメノタヂカラオについて紹介させてもらいました。
アメノタヂカラオは神話での活躍の機会が一瞬だったので、あまり広く知られている神様ではないのですが、開運やスポーツ必勝の神として「勝利」を祈願する人たちからは篤い信仰を集めているのです。
必勝祈願をするときは、ぜひアメノタヂカラオが祀られている神社へお参りに行ってみてください。
この記事をまとめた人
- 神社チャンネルのメインキャラクター。北極神社の新米巫女。2017年、神社参拝セミナーで羽賀ヒカルと出会い、日本人の良さと伝統を伝えていきたい!という思いから、この神社チャンネルサイトが始まりました。(という設定です。)
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