【解説】神社の年中行事と各行事に込められた意味
こんにちは、北極神社の新米巫女、橋本ユリです。
今回は、意外と知らない、神社の行事に関するお話です。
神社の行事とは、すなわち「祭り」。
あなたが思い浮かべたのは、お神輿や山車や人々の掛け声で賑わう様子ではありませんか?
しかし、厳粛な「祭り」もあるのです!
目次一覧
祭りには「宮中祭祀」「神宮祭祀」「神社祭祀」「民間祭祀」の4種類がある
実は、祭りの語源は「奉る(神様に供物を献上する)」だと言われています。
つまり、祭りとは神様へ感謝したり、幸せを祈ったりすることなんです。
そして、幸せを祈る範囲の違いで、「宮中祭祀」「神宮祭祀」「神社祭祀」「民間祭祀」に分けられます。
宮中祭祀
天皇陛下が国家・国民の平安を祈る祭り。
神嘗祭や新嘗祭など。
神宮祭祀
最高格式の伊勢神宮で皇室・国家の平安を祈る祭り。
神社祭祀
全国の各神社でそれぞれの地域の平安を祈る祭り。
例大祭など。
民間祭祀
各家庭で家内安全・繁栄を祈る祭り。神棚などを中心に行う。
これらのうち、私たちがよく目にしているのは「神社祭祀」。
京都の祇園祭や東京の神田祭、地元の神社の夏祭りなどが、これにあたります。
自治会などが運営していることが多いです。
例を挙げてみていきましょう。
有名な神社祭祀の年間スケジュール
夏は都市部で災厄除去の祭りが多く、秋は五穀豊穣を祈る農耕祭祀が集中します。
1月
- 十日戎(今宮戎神社)
- 1月9日~11日、大阪府大阪市にある今宮戎神社にて商売繁盛を祈願する祭事。常に青々とした葉をつける笹に生命力と神秘性を見出し、参拝者は吉兆を表す縁起物を配られた笹につけて家に帰る。
2月
- 追儺神事(長田神社)
- 2月3日、兵庫県神戸市で室町時代から続く行事。神々の使いである七匹の鬼が松明の炎で災いを祓い清め、参拝者はその灰をかぶることで祓いを受ける。松明の燃え残りを家の入口に吊るして除災招福を願い、餅花(柳の大枝に餅とみかんを付けたもの)を食べて無病息災と家内安全を願う。
3月
- 祭頭祭
- 3月9日、茨城県鹿嶋市にある鹿島神宮にて五穀豊穣と弥栄を祈る祭り。色鮮やかな衣装を着た囃子方が手に持った樫の棒を激しく束ねるように繰り返しながら神前へ進み、奉納する。
4月
- 犬山祭
- 4月第1土曜日、愛知県犬山市で380年以上続く祭り。3層になっている13両の車山(やま)すべてにからくり人形を備えており、針綱神社へ奉納する。夜には365個の提灯を灯して桜並木を練り歩く。
- 長浜曳山祭
- 4月9日~17日、滋賀県長浜市で行われる、日本三大山車祭の一つ。羽柴(後の豊臣)秀吉に初めての男の子が生まれたことを祝って城下に金をふるまい、町民がそれをもとに曳山(山車)を作り八幡宮の祭礼で曳き回したのが始まりとされる。
- 日立さくらまつり
- 4月上旬、茨城県日立市で開催される祭り。日本のさくら名所百選にも選出される日立の桜を愛でながら、高さ15mにも及ぶ巨大な山車と、そのうえで繰り広げられるからくり人形芝居を見られる、日立風流物(ふうりゅうもの)が見どころ。
- 高山祭(山王祭)
- 4月14日~15日、岐阜県高山市にある日枝神社の例祭。12台の屋台(山車)が曳き揃えられ、うち3台ではからくり奉納が披露される。夜には100個もの提灯が各屋台で灯され、漆黒の町並みを通っていく。昔ながらの衣装をした大行列と神輿も見もの。
- 古川祭
- 4月19日~20日、岐阜県飛騨市で行われる祭り。神事から始まり「御神輿行列」、夜に「起し太鼓」が出発し、豪華絢爛な「屋台行列」という三大行事で構成。そのほか、子供歌舞伎やからくり人形など見どころ満載。櫓(やぐら)の上では若者が勇ましく大太鼓を打ち鳴らす。
5月
- 高岡御車山祭
- 5月1日、富山県高岡市で行われる、前田利長公を祀る高岡關野神社の春季例大祭。豊臣秀吉が後陽成天皇を迎える際に使用した御所車を、前田利家公がもらいうけ、二代目の前田利長公が町民に与えたのが始まりとされる。華やかな7基の山車が曳き奉られる。
- 知立まつり
- 5月2日~3日、愛知県知立市で行われる祭り。西暦偶数年には本祭(ほんまつり)が、奇数年には間祭りが開催される。本祭では、5台の山車が出され、台上では人形浄瑠璃芝居の「からくり」「山車文楽(ぶんらく)」が上演される。間祭りでは、5台の花車が知立神社へ奉納される。
- 亀崎潮干祭
- 5月3日~4日、愛知県半田市で300年もの歴史ある神前神社の祭り。ご祭神の神武天皇は海から上陸したという伝説から、豪華な刺繍幕のかかった5輌の山車を潮が引いた浜に曳き下ろす。
- 青柏祭
- 5月3日~5日、石川県七尾市にある、大地主(おおとこぬし)神社の春の例大祭。高さ12m、重さ20トンの日本一大きな3台の「でか山(山車)」が奉納される。直線部や辻廻しの際は、一般観光客も綱を引いて参加できる。
- 城端(じょうはな)曳山祭
- 5月5日、富山県南砺市にある城端神明宮の祭り。先頭の獅子舞と剣鉾(けんぼこ)が邪気を払い、傘鉾が神霊をお迎えしたのち、囃子を演奏しながら庵屋台、曳山(山車)と続く。庵屋台の中では若連中が庵唄や曳山囃子を奏でる。夕刻からは提灯がともり、小京都を彩る。
- 大垣祭
- 5月15日までの15日に近い土日、岐阜県大垣市にある360年の伝統を誇る祭り。合計13両の軕(やま)が大垣城下を巡行するほか、掛芸の披露や八幡神社での奉芸などが行われる。からくり人形は中京圏の、軕上(やまじょう)での芸能披露は近畿圏の山車行事の影響と言われている。
6月
- 御田植神事(住吉大社)
- 6月14日、大阪府大阪市にある住吉大社の境内にある御田(おんだ)で行われる五穀豊穣を祈る祭り。神功皇后が田を設け、稲を作らせたのが始まりといわれている。田や苗に宿る穀霊の力を増すため、八乙女の田舞(たまい)や住吉踊などを踊り、歌をうたう。
7月
- 博多祇園山笠
- 7月1日~14日、福岡県福岡市で開かれる祭り。実際に動く「舁(か)き山笠」と展示用の「飾り山笠」に分かれており、舁き山笠がスタートするのは10日から。15日早朝の太鼓の合図で走り出す「追い山笠」まで「おっしょい」「おいさ」の掛け声が響き渡る。
- 祇園祭
- 7月1日~31日、京都府京都市にある八坂神社の祭礼で日本三大祭の一つ。始まりは政治抗争で亡くなった人の鎮魂により疫病や天変地異を防ぐことが目的。世界的にも有名な山鉾巡行では、17日に23基、24日に10基が繰り出し、祭りのハイライトとなる。
- 佐原の大祭(八坂神社祇園祭)
- 7月10日以降の金~日、千葉県香取市で開かれる祭り。10台の山車が曳き回される。日によっては曳き綱を使わずに魅せる、難度の高い特別な曳き回し「曲曳き」が見られることも。
- 土崎港曳山祭り
- 7月20日~21日、秋田県秋田市にある土崎神明社の例大祭。約20台の曳山(山車)が港ばやしとともに港町を練り歩く。武者人形が乗っている曳山が多い。「カスベ祭り」「浴衣祭り」とも。
- 山あげ祭
- 7月第4土曜日を含む金~日、栃木県那須鳥山市にある牛頭天王を祀る八雲神社の祭礼。歌舞伎が盛んになった江戸時代に奉納余興として踊り、その舞台背景として山水を描いたものを人力で持ち上げたことから「山あげ」と呼ばれる。路上で歌舞伎を披露しながらめぐる。
- 戸畑祇園大山笠
- 7月第4土曜日を含む金~日、福岡県北九州市で行われる、飛幡八幡宮・菅原神社・中原八幡宮の夏祭り。昼は幟山笠として幕類・勾欄・幟(のぼり)で飾られ、夜になると飾りをすべて取り外し309個の提灯を飾った大山笠に変わる。
- 尾張津島天王祭
- 7月第4土曜日と翌日、愛知県津島市で600年もの歴史を持つ、日本三大川祭りのひとつ。天王川に車楽船(だんじりぶね)が浮かぶ。夜にはたくさんの提灯を半円形に吊り飾ったまきわら船として、津島笛などが楽を奏でながら進む。
- 日田祇園祭
- 7月20日過ぎの土日、大分県日田市で行われる約300年の伝統ある祭り。疫病や風水害を払い、安泰を祈る。土台部に巻かれる「水引」と対をなす、背面の垂れ幕を「見送り」と呼び、緋羅紗地(ひらしゃじ)に金糸などで龍や虎が刺繍され、豪華である。
- 八戸三社大祭
- 7月31日~8月4日、青森県八戸市にて、江戸時代から約300年続く祭り。三神社(おがみ神社、長者山新羅神社、神明宮)の神輿行列と、神話や歌舞伎を題材に毎年新たに作られる、高さ10mにも及ぶ山車が合同で練り歩くのが見どころ。
8月
- たてもん祭り
- 8月の第1金・土曜日、富山県魚津市の諏訪神社周辺で見られる祭り。90余りの提灯を三角形に吊り下げた、高さ約16m・重さ約5トンの「たてもん」が豪快かつ優美に曳き回される。
- 須成祭
- 8月第1土曜日とその翌日、愛知県蟹江町の冨吉建速神社(とみよしたけはやじんじゃ)と八剱社の川祭り。「車楽船(だんじりぶね)」とご神体となる葭にケガレを託して川に流す「神葭(みよし)流し」からなり、7月から10月まで続く100日祭のハイライト。
- 桑名石取祭
- 8月第1日曜日とその前日、三重県桑名市にある春日神社の神事。午前0時「叩き出し」で一斉に鉦(しょう)と太鼓の音を打ち鳴らす爆音により「日本一やかましい祭り」と言われる。43台もの祭車が一堂に会し、練り歩く。
- 鯨船まつり
- 8月14日~15日、三重県四日市市の鳥出神社に奉納する神事。捕鯨をしたことのないこの地域で、200年前から続く祭り。舟形の山車と少年が、鯨取りの物語を演技する。鯨の起こす波で船が揺れる様子を、豪華絢爛な山車を激しく動かすことで表現している姿は圧巻。
- 花輪ばやし
- 8月19日~20日、秋田県鹿角市で、幸(さきわい)稲荷神社・花輪神明社に奉納される祭り。笛・太鼓・三味線からなる花輪ばやしは、リズム・メロディともに独特で、東京の神田囃子、京都の祇園囃子とともに日本三大囃子として数えられることもある。10台の雅やかな山車が囃子とともに夜通し練り歩く。
- 新庄まつり
- 8月24日~26日、山形県新庄市で開かれる祭り。ビビットな色合いと豪奢なつくりの20台の山車がライトアップしながら競演する。
9月
- 角舘(かくのだて)のお祭り
- 9月7日~9日、秋田県仙北市で、約400年の伝統ある祭り。山車には飾山(おやま)ばやしの囃子方が乗り、それに合わせて舞台では秋田美人が手踊りを踊る。山車同士が激しくぶつかり合う「やまぶっつけ」も見どころ。
10月
- 鹿沼秋まつり
- 体育の日前の土日、栃木県鹿沼市で今宮神社に奉納される祭り。豪壮で緻密な彫刻屋台(山車)が向かい合い、囃子を競演する「ぶっつけ」や屋台が集結したところは見もの。
- 高山祭(八幡祭)
- 10月9日~10日、岐阜県高山市にある桜山八幡宮の例祭。11台の屋台(山車)曳き揃え、4台の曳き回し、1台のからくり奉納のほか、伝統衣装の大行列や雅楽・お囃子、夕方からの提灯100個を灯した屋台と曳き別れ歌が魅力。
- 佐原の大祭(諏訪神社秋祭り)
- 10月第2土曜日を含む金~日、千葉県香取市で開かれる祭り。小江戸と呼ばれる町並みの中、日本三大囃子に数えられることもある「佐原囃子」を響かせながら14台の山車が曳き回される。
- 川越まつり
- 10月第3日曜日とその前日、埼玉県川越市で行われる氷川神社の例大祭。最大の見どころは夜の「曳っかわせ(ひっかわせ)」。数台の山車が向かい合い、踊りや囃子で競演する。
- 上野天神祭
- 10月23日~25日、三重県伊賀市にある上野天神宮の、400年余りの歴史を誇る祭り。神輿、大御幣、百数十体の鬼たち、豪華な装飾幕や彫金金具で仕立てられた9基のだんじりが、城下町を練り歩く。
11月
- 唐津くんち
- 11月2日~4日、佐賀県唐津市にある唐津神社の秋季例大祭。くんち(供日)とは収穫感謝の意が込められている。見どころは、獅子や兜、鯛などをモチーフにした、原色鮮やかな漆塗りの曳山14台。
- 八代妙見祭
- 11月22日~23日、熊本県八代市にある八代神社の秋の例大祭。神幸行列には、獅子、神輿、笠鉾、故事に基づく亀蛇の演舞など様々な出し物が練り歩く。神社界隈では、神馬(しんめ)や飾馬(かざりうま)の疾走も行われる。
12月
- 秩父夜祭
- 12月1日~6日、埼玉県秩父市で開かれる日本三大曳山祭の一つ。350年もの歴史を持ち、提灯のともった傘鉾2基と屋台4基の山車が囃子を打ち鳴らしながら引き回される。屋台では秩父歌舞伎などが上演され、大仕掛けの花火も。女神と男神がお旅所で逢瀬する祭り。
荒々しくぶつかり合ったり、火の上を歩いたり、危険な神事も少なくないのは、それらの起源が神話であることが多いから。
「祭り」と聞いてエネルギッシュなイメージを浮かべる方が多いのも、うなずけます。
いっぽう、一番祈りの範囲が大きい「宮中祭祀」は、最も重要ながらあまり知られていないのです・・・!
宮中祭祀の年間スケジュール
1月
- 四方拝
- 元日の早朝に、天皇陛下が伊勢神宮、山陵(天皇皇后のお墓)、四方の神々を拝まれる儀式。
- 歳旦祭
- 四方拝に続き、皇室と国民の繁栄を祈るもので、宮中の三殿で祝詞と拝礼を行う儀式。出席者は天皇陛下と皇太子殿下。
- 元始祭
- 1月3日に、歳旦祭と同じく三殿で国家国民の繁栄を祈る儀式。出席者は皇族、宮内庁、皇宮警察職員など。
- 奏事始(そうじはじめ)
- 1月4日、祭祀をつかさどる掌典長(しょうてんちょう)が、伊勢神宮と宮中祭事のことを天皇陛下に申し上げる行事。
- 昭和天皇祭
- 1月7日(昭和天皇の崩御にあたる日)に、皇霊殿で行われる祭り。
2月
- 祈年祭
- 2月17日に、賢所・皇霊殿・神殿の三殿で、その年の五穀豊穣を祈る祭り。
3月
- 春季皇霊祭
- 春分の日に、皇霊殿でご先祖をお祀りする祭り。
- 春季神殿祭
- 春分の日に、神殿で神様へ感謝申し上げる祭り。
4月
- 神武天皇祭
- 4月3日(神武天皇の崩御にあたる日)に、皇霊殿で行う祭り。
- 皇霊殿御神楽(みかぐら)
- 4月3日夜、御神楽を演奏して神霊をなごめる祭り。
6月
- 節折(よおり)
- 6月30日、天皇陛下のためのお祓い行事。
- 大祓(おおはらい)
- 6月30日、皇族をはじめ、国民のためのお祓い行事。
9月
- 秋季皇霊祭
- 秋分の日に、皇霊殿でご先祖をお祀りする祭り。
- 秋季神殿祭
- 秋分の日に、神殿で神様へ感謝申し上げる祭り。
10月
- 神嘗祭
- 10月17日、その年に新たに取れた穀物をお供えする、神様へ感謝申し上げる祭り。
11月
- 新嘗祭
- 11月23日、最も重視されている祭り。その年に収穫された穀物を調理したものを、天皇陛下が神々にお供えし、感謝申し上げ、お供えの一部を天皇陛下みずからもお召し上がりになります。
12月
- 賢所御神楽
- 12月中旬、御神楽を演奏し奉り、神霊をなごめる祭り。
- 天長祭
- 12月23日、天皇陛下のお誕生日を祝して行われる祭り。
- 節折
- 12月31日、天皇陛下のために行われるお祓い。
- 大祓
- 12月31日、皇族をはじめとする国民のためのお祓い。
これらの中でも最も重要とされているのは新嘗祭。多くの人が勤労感謝の日として休日を過ごしている中、夕方から翌未明にかけて神聖な儀式が行われます。
いかがでしたでしょうか?
色々な形の神様とのかかわり方があることを知っていただけたと思います。これらは「感謝」の気持ちから生まれるもの。
まだいまいちピンと来ていない、
自分はちゃんと感謝できているのかな・・・?
と思う方は、まず参加してみるところから始めてはいかがでしょうか?
この記事をまとめた人
- 神社チャンネルのメインキャラクター。北極神社の新米巫女。2017年、神社参拝セミナーで羽賀ヒカルと出会い、日本人の良さと伝統を伝えていきたい!という思いから、この神社チャンネルサイトが始まりました。(という設定です。)
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