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神道専門家の羽賀ヒカル監修のもと、新米巫女の橋本ユリが、
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天皇も使う密教の秘密

2022年4月13日 2022年04月21日

日本人の心に火を灯す、東洋思想及び神道研究家の羽賀ヒカルです。

今回は「密教の秘儀」というテーマで、お話しします。

橋本ユリ
羽賀さん、2022年の講座は「最澄と空海」で、仏教、とくに密教なんですね。

密教って、なんだか秘密で怪しい感じがします~。


羽賀ヒカル
密教は占いの世界にも関係ありますし、昔から天皇や武将が使ってきました。

それだけ、現実を変える力があるのです。


密教とは?


私がこの道に入ったのは、15歳の時でした。

師匠・北極老人と出会って運命学・占いを教わってきましたが、実はこの占いの世界にはかなり密教の世界に関わっています。

実際に、弘法大師空海は占いを使いこなしたとされています。


また、占い師をされている方は、色んな人生相談や悩み相談に乗ります。

その時にアドバイス(言葉)によって、相手の人生を変えるため、その裏側で特別なお祈りをしている方が、実は多くいらっしゃいます。

また、誰かの悩み相談に乗ることは、相手の持つネガティブなエネルギーを受けるため、そのエネルギーを祓う時に「密教の術」を使うのです。


私もこの道に入ってから、裏側では密教の秘儀を行ってきました。

実はこれは占い師だけではなく、日本の歴史上の人物のかなりの方が密教の秘儀を、裏側で使ってきたことをお話ししていきます。


そもそも日本における、「密教」という言葉の定義は非常に広いです。

例えば、キリスト教の中にも、密教の奥義がありますし、ユダヤ教にもイスラム教の中にも秘密の教えがあります。

それは例えば、王から王へ、もしくは一族の中でも特別な人間にしか伝えられないような知恵のことであり、これを「密教」というのです。

インドにも当然、密教があります。

また、チベット密教や中国密教など、多くの人に伝え広まっていない、様々な特別な術があるのです。

密教を日本に広めた二人の人物


日本において「密教」という言葉が使われるようになり、広まっていくことになったキーパーソンがいらっしゃいます。

それが伝教大師最澄さんと、弘法大師空海さんです。


最澄さんは比叡山において天台宗を、空海さんは高野山において真言宗を開いたとされています。

実はこの2人が開いた密教には呼び名があるのです。

それらは「天台密教」・「真言密教」でも良いんですが、省略されて「台密(たいみつ)」・「東密(とうみつ)」と言います。

なぜ「東密」と言うかというと、空海さんが開いた東寺というお寺があり、そこになぞらえて東密と呼ばれるようになりました。

つまり、最澄さんや空海さんが使っていた、「祈りの秘術」があったのです。


実際に、最澄さんも空海さんも、当時の朝廷の方や天皇陛下に対するお祈りを行っています。

最澄さんは、そういったお祈りによって病気を治すことを、実は嫌っていたのではないかという説もありますが、空海さんはかなりこの「術」を使って、その教えを残されています。

実際に、高野山・空海さんの真言密教は、後の皇室・天皇に強い影響を与えています。

最澄さんも同じく残っているところもあります。

密教を駆使した歴代の天皇


こちらは宇多天皇と白河上皇です。


白河上皇は、平清盛・源義経・源頼朝といった源平の騒乱の時代に背後で動いていた天皇陛下です。

この平安時代のお2人の天皇は、かなり密教の秘術を使っています。

実際に、宇多天皇の肖像画には、密教の法具が手に持たれています。

白河上皇に関しては、後ほど取り上げます「愛染明王(あいぜんみょうおう)」という密教の仏様を、かなり熱く崇敬し、祈っていたという話もあります。

例えば、天皇が武士を使うこともあり、その裏側で密教の秘術を使いながら、どちらが政権を握るのかを祈りによって動かしていたのです。


実はこれがさらに進んでいくと、鎌倉時代の天皇陛下(後深草天皇・後醍醐天皇)のうち、後深草天皇の時から、天皇陛下にしか知らされないような密教の特別な呪文が伝えられるようになったという話があります。


そして、その背後では貴族たちが動いていて、それが二条家や五条家といった方たちです。

呪術廻戦というアニメをご覧になっている方は分かると思いますが、五条悟(ごじょうさとる)という最強のキャラクターが出てきます。

この五条悟の「五条」は、まさに密教の秘法を使いこなした一族であり、鎌倉時代からずっと朝廷の背後で動いていた人たちなのです。


天皇陛下が受ける密教の特別な儀式のことを「即位灌頂(そくいかんちょう)」と言って、天皇陛下にしか受け継がれないものなのです。

後醍醐天皇が特に真言密教の秘術を使いこなしたと言われていて、その背後にも真言宗のお坊さんがいたとされています。

特に、後醍醐天皇の真言立川流(しんごんたちかわりゅう)は、時に邪教(じゃきょう)と言われることもあります。

少し悪い意味かもしれませんが、呪いを使うような秘法が、当時の鎌倉幕府から室町へと時代を移り変わっていくのに、1つのパワーになったのかもしれません。

後醍醐天皇が深く崇敬した仏様が、愛で染めると書いて「愛染明王(あいぜんみょうおう)」という明王様です。


愛染明王が手に持っているものは弓矢です。

まさに愛の力で煩悩(ぼんのう)を焼き尽くし、愛・慈しみのエネルギーで、人もしくは世の中に対して、ふわーっと広がっていくようなパワーが愛染明王にはあるのです。

文献には、愛染明王が発していると言われる「十二大願(十二の誓い)」があります。


その1つ目が次のような誓いです。

「智慧(ちえ)の弓と方便(ほうべん)の矢を以って、衆生(しゅうじょう)に愛と尊敬の心を与えて、幸運の心を授ける。」

愛染明王様とは、そういった明王様なのです。

密教と戦国大名


後醍醐天皇の後も、このような密教の秘術は天皇家では使われて来ました。

それは皇室だけではありません。

かなりの戦国大名も密教の秘術を使っています。

特に、密教の秘術を使ったのが上杉謙信公で、それが「毘沙門天(びしゃもんてん)」への祈りです。




そして、こちらは天台宗系のお坊さんの天海上人(※注)で、「密教の秘術」と「風水の知恵」を使いながら、江戸という都市を設計したとされています。

※注:天海上人(てんかいしょうにん)
天台宗の僧。徳川家康の側近として、江戸幕府初期の朝廷政策・宗教政策に深く関与した。陰陽道や風水に精通し、これに基づいて江戸の町を設計したという説がある。


そして、上杉謙信です。


戦国大名の中でも最強は誰かと言われると、上杉謙信なのではないかと思います。

ただ、上杉謙信自体は領土拡大の欲がなかったので、天下統一することはありませんでした。

しかし、多くの戦国大名が「越後の虎」として、「コイツとは戦いたくない」と言われていたとも伝わっています。

上杉謙信はもちろん頭も良かったし、軍略も素晴らしかったと思いますが、さらに祈りの力による直感力が凄まじかったのです。


有名な話では、戦に備える時に、上杉謙信は毘沙門天に祈ったと言われています。

毘沙門堂と言う、毘沙門天様が祀られているお堂に100日間籠り、毘沙門天と一体化した状態で戦地に向かいました。


そして、その時にひらめく直感、相手が来ることに対する読みは抜群であったと言われていて、毘沙門天への祈りこそが上杉謙信の凄みだったのです。

そんな感じで、戦国大名も密教の秘術を使っていたのです。


また、高野山へお参りすると、弘法大師空海様が祀られている「奥の院」という場所があります。


山道を奥に歩いていく中で、この参道には上杉家・伊達家・織田家・明智光秀・武田家など、様々な戦国大名のお墓がずっと並んでいるのです。

さらに、忠臣蔵の大石内蔵助のお墓もあったりして、戦国大名好き・歴史マニアにはたまらない場所なんです。


では、「なぜ戦国大名がこんなに高野山の奥の院にお墓を建てているのか?」です。

やはり、高野山の霊的パワー、弘法大師空海のパワー、もしくは密教のパワーを借りようとして、多くの戦国大名は高野山にお墓を建てているのです。

現代で使われる密教の秘術


戦国大名の話をしましたが、現代でも実は密教の秘術・秘法は使われています。

私も数年前から、芸能関係の方と一緒にお仕事をさせてもらうことがあります。

芸能事務所の社長さん、特に古い事務所の方は、バックに密教のお坊さん・占い師・霊能者がいるのです。

だいたい、こういう方は密教の秘法・秘術を使われています。


また例えば、私たちが着る衣類は、外から買ってきた後すぐの状態だと、ネガティブなエネルギーを持っている場合があります。

そのため、高野山のお坊さんに頼んで服のお祓いをしてから着るといった、皇室関係の方や大企業の社長さんがいらっしゃいます。

大企業の社長さんも実は、裏側で密教のお坊さんがアドバイザーをしたり、お祈りをしているのです。


表になっているところでは、プロ野球で金本知憲選手という私の好きな阪神タイガースの選手がいました。

金本選手も年始には「護摩行(ごまぎょう)」と言う、密教のお祈りをやってからシーズンを迎えることをされていました。


そうやって良いエネルギーや開運のパワーを授かるといった、まさに高野山系密教の秘術を使っていたのです。

密教の活かし方


実は多くの戦国大名などの歴史上の人物は、結構この秘術・秘法を使っているのです。

では、これを「どのように活かしたらいいんだ?」ということが気になる方がいらっしゃると思います。

少しだけ密教の活かし方をお伝えします。


弘法大師空海が重要視した密教の教えに「三密」があります。

これを「身(しん)・口(く)・意(い)」と言います。

・身とは「手」です。(手の形により仏様・神様を呼び込む。)
・口とは祈りの言葉、「マントラ」です。
・意とは「イメージ」です。

密教の教えを実践することは、「身・口・意」3つを使いこなすことなんです。


密教の教えが広がったのは平安時代からです。

多くの方が不安になり、時代の影響によってこれからどうなるのかといったネガティブな感情がドッと広がった時に、密教の秘術・秘法を使いながら、自身の開運、もしくは家系の守護を祈ってきたのです。


では「何のために」行なったのでしょうか。

どちらかと言うと神道の祈りとは、公(おおやけ)や鎮護国家(ちんごこっか)のためであり、もしくは自然という方向に向かうと思います。

一方で、密教の場合は、自分や家系の開運など、そういった範疇の対象が多いです。


そうやって自分の身を守るという意味で、現世利益や開運という目的はあると思いますし、自分の身を守りながら生きていくことも、今の時代は大事になってくると思います。

そして、世のため人のための気持ちも非常に重要なのです。


この神社チャンネルでも「身・口・意」、合掌(身)の重要性、祈りの言葉(口)の重要性、みんなの幸せを祈ること(意)の重要性をお伝えする中で、改めて実践していって頂きたいと思います。


橋本ユリ
密教って初めて知りました。

すごいんですね。

もっと知りたいです~。


羽賀ヒカル
密教というものは、「密なる教え」です。

こういった場で誰にでも伝えるわけにはいかないこともありますので、今日はこのぐらいになってしまいます。

続きは、講座やゆにわ塾などでは伝えていきますね。


今回は歴史上の人物も、天皇家も、皇室も使ってきた密教の秘術について、お伝えさせて頂きました。

あなたの開運をお祈りしております、羽賀ヒカルでした。


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この記事をまとめた人

のんのん
のんのん
ゆにわ塾歴8年、初期から神社チャンネルのライターをやっています。これからの激動の時代、人は神様と一緒に頑張らなくっちゃ!神様と人をもっと繋いで行きたーい、と願う神社大好きっ子です。

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